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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
50/95

49話 キングコブラ(2)

とうとう50話まで更新しました。

達成感が……グフフ。

まぁ、所詮内容があれですけどね。

 どうして崩れないんだろう?俺はアミさんの後を追いながら幾分広くなった穴の中でふと疑問を抱いていた。

 頑丈な地盤や土壌ならともかく、ここはサラサラの砂で溢れる砂漠。ましてやその中に位置する遺跡だ。普通ならこんな穴が出来たらすぐにでも砂に埋れて消え去ってしまうのではないだろうか?

 いや、案外いつだったかバーチャマおばあちゃんが言ったようにここも結界で崩れなくなっているのかもしれない。まあ、とりあえず前に進めているのだから考えるだけ損だ。今はそんなこと関係がない。

 俺は狭いスペースで変な考えを追い払うように頭を振ると、そのまま進んでいった。


「ギュアー!!」


 突然、耳に何かの呻き声が聞こえてきた。いや、何かと言われなくても蛇のものだと分かる。

 脳内を揺さぶるような鋭い声に眉を歪めながら俺は長い時間をかけて穴から這い出た。


「何だよ、これ……」


 俺の目に映った光景、眼下に広がる部屋の内装は一言で言えば壊滅的だった。

 破壊つくされた家具に乱雑に散りばめられたオブジェの破片、まるで足の踏み場がない床に俺はただただ言葉を失った。

 自分の目を疑うというのはこういうことを言うのだと心から思う。この部屋はまるで素人が描いた抽象画のように荒らされていた。

 唯一残っているものと言えば、中央に聳え立つ一本の白くて丸い大黒柱と、その下で荘厳な雰囲気を醸し出す台座、そしてその台座を囲むように円状に広がる階段だ。まぁ、階段といっても直径の違うホットケーキを二段重ねたようなものだが。

 だが、俺にとってはそんなことはどうでも良かった。何故ならその柱を中心に天井に届くか届かないかのギリギリのところで鎌首をもたげている巨大な蛇が部屋の床を半分覆ってしまうほどのとぐろを巨大な蚊取り線香のように巻いていたのだから。

 幸運だったのはまだ蛇が俺のことに気づいてないことと、自分がいる場所の反対側にバーチャマおばあちゃん達がいたことだ。

 突然、蛇が俺のいるところを見てきた。爛々と輝く捕食者の目、威圧感溢れるオーラと滲み出てくる殺意に身体が凍りつく。

 急に加速する心拍数に湧き上がってきた恐怖。肌は既に畏怖の念で鳥肌が立っている。

 身動きすることを制限するかの如く輝く瞳に俺の身体は自分の意思ではなく勝手に従っていた。



 ◇◇◇



「大丈夫、みんな?」


 私はキングコブラの注意がカナお姉様に向かっている隙を見て、今倒れているマキ達の所へ駆け寄っていた。

 幸いにもマキとマイの二人はあの致命的な攻撃を免れたようで、ふらふらとしながらもしっかりと立ち上がった。

 私は内心で胸を撫で下ろす。妹が無事で嬉しくないわけがなかった。

 私は安堵と嬉しさのあまり思わず二人に抱きつく。小柄な二人は簡単に私の胸中におさまった。

 私は暫しその状態でいようとしたが、そんな状況が長く続くはずがなかった。

 マキが私を呼びながら後方を指差す。


「お姉様、大叔母様が……」


 マキの指差した方向を見た私はその光景に絶句した。

 今の攻撃で身体中強く圧迫されたであろう大叔母様は、まるで水中でもがき苦しんでいるかのように酸素を求め、必死に息を吸っていた。

 私は飛び込むように近づくと苦しそうに呼吸する大叔母様の身体中を隈なく触りながら異常がないかを確認した。

 頭、首、胸、腹、と上から順に診ながら今何か出来ることはないかと脳をフル回転させる。

 しかし、医師でもない上に魔物ともまともに戦ったことがない私はこんな時どんなことをすればいいのか分からなかった。

 知らぬ間に焦り出す私。冷静にならなきゃ、と頭では分かっているつもりでもいざ目の前で誰かが倒れていてしかもその人を助けたくてそれから……。


「タ、タミ……」


 冷静な思考を失って混乱している私に突然、声がかけられた。その声が誰のものか一瞬分からなくなったが、声と同時に服の袖を引っ張られた私はそれが大叔母様のものだとようやく気づいた。

 慌てて視線を下に向ける。すると、大叔母様が絞り出すように声を出しながら強い意志が籠った目で見つめてきた。


「タミ……バ……身を……く!!!」


 しかし声が掠れていて聞こえない。私は耳を大叔母様の口元まで持っていくと、今度は一言も聞き逃さないように全神経を右耳に預けた。


「バッグの中身を早く!っげほ、っげほ!」


 私は咳き込む大叔母様の言葉に従い、バッグの中身をひっくり返すと、大叔母様はその中から小さな瓶を指差して私に渡すよう頼んできた。

 緑色の液体が入った小瓶を渡すと大叔母様は危なっかしい手つきで蓋を開けながら中身を飲みはじめた。途中、瓶を落としそうになったので支える。

 やがて中身を飲み終えるのを確認した私は咳き込む大叔母様の背中をさすりながら顔色をうかがった。

 徐々に咳が治まり、呼吸が整っていく。

 完全に元の状態に戻った大叔母様を見て身体に異常がないか聞くと、大叔母様は


「もう心配せんでも大丈夫じゃよ、タミ。なに、思っていたよりもあやつの攻撃が強過ぎて守護結界の為の魔力を使い過ぎてしまっただけじゃ。まぁ、タミがすぐに【魔力茶】を飲ませてくれなかったら危なかったがの、ホホホ」


 と、まるでさっきまで苦しんでいたのが嘘のように茶目っ気のある声で笑った。しかし、その瞳は怖いくらい真っ直ぐにキングコブラを見据えている。

 そして大叔母様は心配していた私の手を優しくほどくと、今度は不敵な笑みを浮かべながら宣言した。


「乙女を傷つけた罰じゃ。あんな蛇、私が成敗してやる」


 いつも通りの冗談を交えながらも、纏う雰囲気をガラッと変える大叔母様。

 その目線は蛇を貫くほど真っ直ぐに突き刺さっていた。

明日更新する時間は分かりません。


ありがとうございました。

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