47話 オカリナ遺跡調査(2)
そろそろ第一章の山場に差し掛かってきたので、ほんの僅かの間毎日更新に切り替えます。
急な変更申し訳ごさいません。ご了承ください。
「じゃあ、とりあえず一番戦闘経験が豊富なカナから入って私、サキ、サリー、そしてかずや君の順番で進みましょう」
今俺たちは気味の悪い音がした方向に向かって進もうとしている。そして、人が一人這うようにすればようやく入れるくらいの小さな穴に順番に入るよう言われた俺たちは早速アミさんが決めた順に入っていった。
まずはカナさんから。口にランプの取っ手部分を咥えているのは単に蝋燭が持てないからでは無く、両手に武器となるナイフを持っているからでもある。もしまだ他に蛇がいた場合、一番最初に遭遇するのはカナさんだ。その際に武器を持っていなければ危機的状況に対応出来なくなる。とにかく、そのままスピーディーに進んでいったカナさんは穴の外に出られたらしい。
実際にカナさんにしたのは正解だったようだ。もし俺や他の人だったらこんなに早く進むことは出来なかっただろう。アミさん、サキさんとスムーズに終わり、いよいよサリーさんの番になった。サリーさんは最初中々入ろうとしなかったが、最終的には入ることを決意したのか匍匐前進の状態で進んでいった。
そして俺の番。暗い穴の中を這うように突き進む。途中で出っ張っていたり広がったり明らかに人工的に作られたものでは無いというのは分かったが、逆に自然に出来たものでもないというのも明確だった。
やがて穴の外に出るとそこには最初の部屋と似たような作りをした部屋があった。そして、部屋の様子をチェックするアミさん達の姿が。
しかし、何故か全員同じ方向に顔を向けて固まっている。気になった俺は急いで穴から這い出ると彼女達が見ているものに目をやった。
「何だよ、これ」
彼女達の視線の先には今通ってきた穴より比べものにならないくらい大きな穴がポッカリと口を開けていた。
◇◇◇
「ここから先はまだ私も入ったことのない未知の領域じゃ。蛇のこともそうじゃが、危険な罠などが仕掛けられているかもしれぬ。皆気を引き締めていくんじゃよ」
バーチャマの言葉に全員が息を呑んだ。元々戦闘向けではないタミやバーチャマに加え、常に寝ているマイ、一応護衛として選ばれたがどちらかというと拳で戦うタイプというマキで構成されたこのメンバーはハッキリ言うと実力不足であった。
しかし、カリンとカエデが荷車の方を護衛している今、バーチャマ達は覚悟を決めて前に進むか大人しく引き返すかの選択肢しか無かった。
「行きましょう、大叔母様」
そんな中、マキが芯の通った力強い声で前に出たかと思うと真っ先に入ろうとするバーチャマを遮って扉を開けた。その際にマキの引き締まった表情を見たバーチャマはフッと不適な笑いを浮かべると全員に告げた。
「準備はもう出来ている。後は行くだけじゃ」
その言葉に頷く一同の表情に迷いは無かった。タミはマキとバーチャマに続くように荷物を背負い直すと傍らで寝ぼけ眼を擦っているマイの背中を押して扉を通っていった。
◇◇◇
殺伐とした雰囲気。殺気に満ち溢れた部屋。殺意の籠った唸り声。
中央の台座で鎌首をもたげながら舌を鳴らす巨大な蛇はなかなか帰ってこない部下の蛇にいい加減痺れを切らせていた。不機嫌そうに自分の尾の先を振り回すその様子は誰が見ても好き勝手暴れているだけの化け物にしか映らない。
しかし化け物、いや、キングコブラにとってそんな些細な事は関係が無かった。今唯一キングコブラが気にしているのは自身の空腹感だけ。何日間もの間この部屋から脱出する為の方法を模索していたのにも関わらず【鍵】どころかそれに近いものさえ現れなかったこの現状で蛇が気にしているのはそれだけだった。
「まだ帰ってこないのか!!!」
蛇の怒りが頂点に達する。鋭い怒鳴り声と共に蛇は力一杯に尻尾を地面に叩きつけた。それと同時に周囲の空気が揺れ、地面は震える。
もう他の蛇は食べつくしてしまったキングコブラに怒りを抑えるという文字はこれっぽっちもない。それどころか、唯一残された部下でさえも蛇にとっては豪華なご馳走であった。
「シャー!!!」
蛇が掠れた声で叫ぶ。もうすでに水の味でさえも忘れている蛇は代わりに床に溜まった血の池に首を突っ込んだ。
蛇の頂点に立つ蛇の王様、キングコブラ。しかし、今血をガブガブと飲んでいる蛇からは狂いきったオーラと捕食をする為だけの生存本能だけしかもはや見ることが出来ない。
その姿は今や蛇ではなく、ただの怪物。蛇は最後に残っていた理性を捨てると周囲を破壊する為に暴れ出した。
◇◇◇
その頃、地上ではカエデがハーブ二号の側で俯き気味に何かを嘆いていた。
「どうしよっか、ハーブ二号。なんだろ、この感じ。いつもは失敗なんて気にしないのに。やっぱりおかしいのかな、私。かずや君のテントが荒らされた時からなんかモヤモヤする」
まるで自分に語りかけるかのように小さな声で眈々と呟くカエデにハーブ二号は短く嘶きながらその身を慰めるかのようにカエデに擦り寄せる。カエデは心配そうに自分を見るハーブ二号を見つめ返しながら優しく撫でた。白く輝く毛並みが何故だか眩しく感じる。
「心配してくれてありがとう、ハーブ二号」
カエデが生まれた時から一号、二号と親子二代に渡って共に過ごしてきたハーブ二号。今や緑色の鬣を撫でつけるのが癖になっている。
カエデはくよくよしてちゃ駄目だ、と自分の頬をペシンと叩くと、暗い気持ちを振り払うかのように顔を横に振って口角を無理矢理あげた。
「大丈夫だよ、ハーブ二号。もう心配しなくても」
持ち前の明るさでまた元気になったカエデにハーブ二号は嬉しそうに前脚を持ち上げた。同時に、さっきと同じように嘶いた。いや、さっきよりも楽しそうに。
やがてカエデがそんなハーブ二号を撫でていると、荷車の方から足音が近づいてきた。サッと振り返ったカエデの目線の先にはカリンの姿が。
カリンは元気そうに微笑みながらハーブ二号を撫でるカエデを見てホッとしたのか静かに胸を撫で下ろすと、カエデのすぐ隣に立った。
「大叔母様が荷車の見張りを頼むって」
カリンの言葉に頷くカエデ。自分のことを心配してそうしてくれたのだな、と思ったカエデはまた頭が上がらなくなるなと心の中で嘆いた。
同時に感謝の気持ちが溢れている自分もいておかしく感じる。
「ありがとね、カリン」
なんとなく気まずくなって呟いた言葉はしっかりとカリンに届いたようだ。カエデはまた自分に微笑みかけてくるカリンに笑い返しながら息を整えた。
二人と一頭の間に暖かい空気が流れる。
そのせいなのだろうか。彼女達の背後を何者かが見つめている。しかし、その二つの影にカエデ達が気づくことはなかった。
と、言うことで明日更新します。12時までには投稿しておきます。
毎度文章が拙いですね……。もう少し頑張ります。お読みいただきありがとうございます。




