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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
46/95

45話 それぞれの動き

今回なんとピッタリ2000文字です。ニヤリ

「あの生意気な坊主のことなら心配せんでいい。きっと今頃遺跡の中でアミ達と何かをしているじゃろう」


 オカリナ遺跡入口前に停まった荷車の中でバーチャマは確信を持ったようにそう告げた。それを聞いてそれぞれのやり方で喜ぶ一同。しかし、その内の一人カリンは納得がいかないのか、顔の不安の色を隠しきれないままバーチャマに伝えた。


「ですが、かずや君のテントは壊されていたんですよ⁈それにもし遺跡に入ったなら今頃帰ってきてるはずです。何せ、ついさっき時間が変わったのですから」


 テントがめちゃくちゃにされていたのとかずやの件は関係ないはずだが、いささか混乱しているのだろう。カリンは自分が直接見たものと、今バーチャマから聞いた話、どちらが正しいのか分からず動揺していた。

 すると、バーチャマが彼女を落ち着かせるようにカリンの頭を優しく撫でるとそのまま真剣な眼差しでカリンを見つめた。


「落ち着きなさい。いつものカリンらしくない。大丈夫、坊主は安全じゃよ。その証拠にテントからあやつの身体は見つからなかったしの」


 その言葉を信じてなんとか息を整えようとするカリンの姿をみたバーチャマは次に残りのメンバーを見渡すと、今何をすべきなのかを伝えた。

 各自、即座に準備に取り掛かる。そして全員が軽い荷造りを終えた頃、バーチャマはもはや清々しいくらいの黒い笑みを浮かべながら立ち上がった。


「ここからが本当の遺跡調査じゃ。日付も変わったことだし、次の部屋の様子を見に行くとするかの、ホホホ。じゃが、カリンは万が一の時の為にカエデと一緒にいなさい。他は全員私と一緒じゃよ」


 バーチャマの言葉に全員力強く頷くと、そのまま全員足を揃え荷車の外へと出て行った。

 遺跡調査二日目。真夜中に行われる本格的な調査が今始まった。



 ◇◇◇



 床にぶちまかれた血から鼻をつく鉄分の臭いが溢れる。蝋燭とランプ、二つ残された灯りを頼りに部屋の内部まで戻ったかずや達一同がまず感じたのはその強烈な血の臭いだった。

 皆顔を顰めながら鼻を抑えて必要以上に嗅がないようにしているが鼻腔にこびりついたように残る臭いはなかなか消えることはなかった。


「うっ…………。とにかく今は何が出来るか話し合おうか」


 鼻を服の裾で隠しながらそう告げたカナは視線で部屋の角の方に移動するように呼びかけると、全員が賛同し、そのまま一同は部屋の角の方へ動き出した。かずややサリーは蛇の血を踏まないよう、足元を見ながらそろりと歩いているのに対して、アミ達はとにかく臭いから離れたいのかかなりの急ぎ足で移動した。

 最短距離を進み終わったアミ達は壁に背を向けて寄りかかるように座りこむとそのまま腰を落ち着ける。それに続くようにかずや達も腰を下ろすと、部屋の壁に身体を預けながら壁に沿うように座った。

 ふー、と一息つくかずや。その顔には疲労感が滲み出ていて、精神的にも肉体的にも参っているのが一目で分かった。そしてそれに同調したのかかずやの隣に座るサリーも頭を壁につけて天井を見上げながら目を閉じるとふー、と小さく息を漏らした。

 サリーの行動の一部始終を見守るかずや。彼の目に映ったのはサリーの綺麗なうなじとその上に垂れ落ちた髪だった。そして目線をあげると、そこには典麗な顎を僅かにあげ、何かに祈るように目を瞑るサリーの整った顔が。

 思わず見惚れてしまったかずやは目をパチっと開けたサリーの様子に気づくと慌てたように視線を逸らした。

 そんなかずやを見てクスっと笑うサリーの頬からは小さな笑窪が現れ、視線を逸らしたはずのかずやはまたその光景に見惚れてしまった。

 ズルいなぁー、と思わずにいられなかったかずやだったがそこはなんとか目線を逸らすと、何やらコソコソと話し合っているアミ達に向かい声をかけた。


「それで、今から何をするんですか?」


 かずやに急に声をかけられたのに驚いたのか肩がピクッと反応したサキは無理矢理笑顔を作ると何かを誤魔化すように答えた。


「ん〜、今考え中⁈かな」


 サキの曖昧な返事にはー、と困ったように呟くかずや。そんなかずやに対してまたもやクスリと笑い出したサリーはどこかこの場に合わないような明るい声で全員に提案した。


「じゃあちょっとした昔話なんかはどう?かずや君がどんな事してたのかも気になるし。それに暇つぶしにもなるから、ね⁈」


 茶目っ気たっぷりにウインクまでするサリーに少しだけ動きが止まるかずや。しかし、他にいい案も見つからなかったのでかずや達は休憩がてら昔話を始めることにした。


「でも、やっぱりあれをどうにかしてからにしない?」


 ……はずだったが、鼻を摘まんだサキの言葉によって中断され、まずは蛇をどうするかを考えることになった。

 この時、誰か一人だけでも耳に神経を集中させていれば穴から何者かの声が聞こえていたかもしれない。

 しかし、目の前の大きな蛇に意識を向けていたかずや達はその奇妙な無声音を聞くことはなかった。

次回は一週間後か来月の一日になります。

くどいようですが、気長にお待ちください。


いつもご理解いただき誠にありがとうございます。

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