43話 頼まれたこと
遅れてすみません。本当は昨日か一昨日更新する予定でしたが間に合いませんでした。とりあえず今終わったので投稿しておきます。
最後の方の手抜き感が半端ないのですが、まぁ、お楽しみください。
静まり返った闇の中、ランプの灯りを頼りに壊されたテントの片付けをする二人の女性の姿があった。
一人は明るい橙色にも見える暖色系の髪を肩ぐらいで揃えている女性で、もう一人は大人しげな紺色の髪を真っ直ぐ伸ばした女性だった。
どちらも闇に隠れて表情は見えないが、何かを悔やんでいるような、しかしそれでいて悲しみに耐えているような複雑な表情を浮かべていて、何か深刻なことがあったとうかがえる。
急げば五分もかからない簡素なテントであるにも関わらず長い時間をかけて破れたテントだったものを拾う二人はどこか心ここにあらずだった。それ故か二人は互いに声も掛けあわず黙々と作業を続けている。
もう何分経ったのだろうか、まだ続けてただの布切れを拾う二人の前に一人の老婆が現れた。
「もうよしなさい、カエデ、カリン。このまま拾ってるだけじゃ埒が明かない。一旦荷車の中においで」
まるで寝る前に子供に語りかけるような柔らかい声で告げる老婆に、一人は手を止めると名残惜しげに立ち上がった。しかし、もう一人は俯いたまま立ち上がろうとしない。
すると、老婆はその女性に背を向け砂に足を取られないように歩きはじめた。
「…………ですが、大叔母様」
その隣を歩く紺色の髪の女性、カリンがそう声をかけると、老婆は人差し指を彼女の唇に当てて頭を振った。
「今はカエデのことより先にやることがあるからの」
何かを決意したかのように歩を進める老婆の後をカリンはただ静かに辿っていった。
◇◇◇
「シャー‼‼」
パックリ開いた口。生々しい薄紅色をした舌。今俺の前には太いとぐろを伸ばし飛びかからんとする大きな蛇がいた。咄嗟のことで驚いたのかサリーさんは反射的にランプから手を離してしまい、パリーんというガラスが割れる音が部屋の中を響き渡った。そしてそれを合図に蛇は俺たちに飛びかかってきた。カナさんはそんな蛇に素早く反応すると、床に転がったランプの破片を蛇に向けて蹴ってそのまま手に持ったランプを蛇に投げつけて部屋の入口の方に駆け出した。その様子に我に返ったのか、残りのメンバーも入口に向かって一目散に走り出す。しかし情けないことに、今にもまるごと飲み込んできそうな勢いで飛びかかってくるそいつに俺は驚きと恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。
そんな俺の様子に気がついたのか慌てて手に持っている蝋燭を投げようとするサキさん。すると、そんなサキさんを遮るようにカナさんが片手をあげた。
「駄目、サキ。これ以上火を無くしたら…………危ない!!!」
カナさんが言葉を言い終える寸前、蛇は俺に狙いを定めて飛びかかってきた。しかし、先ほど投げつけられたランプで視界がきちんと定まらなかったのか文字通り間一髪のところで蛇の攻撃は外れた。
「シャ〜〜〜!!!!」
どうやら今の攻撃でランプの破片が身体の一部に刺さったらしい。蛇はさっきよりも大きな声をあげると、まるで駄々をこねる子供のようにバタバタと動き始め、身を悶えさせながら痛みと苦しみのあまり暴れ出した。
仰け反ったり、転がったり頭を振ったりする蛇の前になんとか逃げ出そうとする俺たち。すると、蛇は抜けた腰を引きずるように移動する俺の方に倒れかかってきた。当たらないよう必死に身体を転がした俺はなんとか倒れてきた蛇を避けることが出来たようだ。
ふ〜、と息を吐いて隣を見るとなんと蛇の顔がすぐ目の前にある。あまりの迫力に思わず身を強張らせた俺はすぐに蛇から離れようとしたがどうやら俺のターバンの端が蛇の牙に刺さってそのまま床に貫通してるらしい。
俺は力が抜けた身体をどうにかして動かそうとしたが駄目なようだ。やっぱり力が入らない。すると、俺の逆隣から黒い影がスッと現れた。
「えっ⁈アミ……さん?」
そこには小さなナイフを抱えたアミさんが座っていた。それだけなら問題はない。だが、問題はそのナイフを高く掲げて今にも俺に振り下ろそうとしているところだ。
「どうしたんですか?アミさん……!!!」
「ごめんなさい……かずや君」
そしてアミさんはそのナイフを思いっきり振り下ろした。
◇◇◇
私はアミ。今日はお母様に頼まれたことをした。その頼まれたこととは……。
「始末すること」
私がナイフを振り下ろした瞬間、思い出したのはお母様に告げられた冷たい命令の言葉だった。
◇◇◇
オジー王国フーガ村城内。その一室、カーテンが閉まりきった暗い暗い部屋の中で私はオカリナ遺跡に発つ前にお母様と話し合っていた。
「しかし、お母様。それでよろしいのですか?」
お母様は案の定、真剣な面持ちで私に告げてきた。
「そうね、どこから出てきたかも分からない、いわゆる身元不明だから」
その顔はどこか諦めたようで、だけどその目には後悔というか悔しそうな色が宿っていた。
「本来ならもう少し調べてから手を下すところなんだけど今は例の件もあるしそんな時間ははっきりいってないわね。それにこれ以上村民を困らせるようなことは出来ない」
そしてお母様は私に告げた。
「始末すること」
どこか冷たい響きを持つその言葉が頭の中で繰り返される。でも私はそんなこと出来ない。
「ですが、お母様」
でも………。
「いい?絶対よ」
「……。はい、分かりました」
無理だと思うけどやってみるしかない。お母様の命令なら仕方ない。私はそう思うことしか出来なかった。
次回は本当にいつになるかわかりません。もう一度伝えておきますが二月は忙しくなるのであまり更新出来ないかと思います。
必ず埋め合わせはするのでどうか今月は気長に待っていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。




