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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
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41話 作戦会議(2)

 俺たちは昼食にしては遅い、しかし夕食にしては少しばかり早すぎるご飯を食べながら今後どう動くのかを相談していた。


「しっかし弱ったのぉ、蛇のことを考えると迂闊に動けんし……」


 一人一人異なる表情を浮かべて箸やスプーンもどきを動かす中、バーチャマおばあちゃんは困った顔をしながら何かを熟考していた。何かを呟く度に眉が奇妙な形に歪んで声をかけようにも自分の思考に集中しているのか全く気付く様子がない。

 仕方が無いので俺はお椀の残りを平らげると、他の女性陣の話し声に耳を傾けることにした。


「マイ!食事中に寝たら駄目だよご飯が喉に突っかかっちゃうよ、ゴホッ」


 カエデさんが食事中に舟を漕ぎ出したマイに注意するも、言ったそばから自分の食事が喉に詰まっているのを見て少し呆れる。他の女性陣も二人のやり取りを見て苦笑を漏らしていた。

 カエデさんの隣に座るカリンさんがむせるカエデさんを見てすかさず自分のコップを手渡している。

 そんな様子を見ながら俺も水を飲み干すと、隣のタミが俺の袖を引っ張ってきた。何やら真剣な眼差しでこちらを見つめている。俺はそれに応えるようにコップを置きながら姿勢を正すとタミはバーチャマおばあちゃんを指差しながら俺に彼女の話を聞くよう促してきた。

 俺たちを筆頭に全員の視線を浴びるバーチャマおばあちゃん。バーチャマおばあちゃんは真面目な表情を浮かべながら全員の注目を浴びているのを確認すると、少し大き目な声で話しはじめた。


「突然じゃがこれからの予定を決めることにする。まずはオカリナ遺跡の滞在期間じゃが目下の予定は残り二日か三日にする。食糧や水の関係もあるからこれはほぼ決定事項じゃ。そうじゃな、タミ?」


 指を三本突き出しながらそう言うバーチャマおばあちゃんは最後に念を押すようにタミに視線を送りながら全員の了解をとった。


「遺跡の調査については明日、明後日にならないと分からぬ。毎日通れる場所が不規則に変わるからの、これは仕方ないことじゃ……」


 バーチャマおばあちゃんの言葉に全員の顔が一瞬曇る。

 確かにここまで来たのに一度も入れない部屋があったら来た甲斐が無くなるよな…。あっなるほど、だからバーチャマおばあちゃんも何度も足を運んだのか。

 俺が一人納得したように頷いていると、バーチャマおばあちゃんは地面に地図を書いてちょっとした説明をしだした。


「じゃが、どの部屋がどのように使われていたのかぐらいは既に分かっておる。まずは入口付近はもう既に知っておるじゃろ⁈で、その隣には食糧庫があって、それから一番入口から遠いこの左端の二つ部屋は避難所に使われていたようじゃ」


 そう言って右端、左端の部屋を丸で囲んでいくバーチャマおばあちゃんに対して疑問が浮かんだ俺は遠慮がちに質問した。


「じゃあ、真ん中の部屋は?」


 他の女性陣も同じことを思っていたようだ。特にカエデさんなんかは目をキラキラと輝かせて答えを待っている。

 バーチャマおばあちゃんは少しだけ暗い表情で俯いたかと思うと、すぐに顔をあげて気まずそうに答えた。


「残念ながら真ん中の部屋にはまだ入ったことが無いんじゃ。いつ来ても閉まっていての…。もっと長期に渡って調べられればいいんじゃが私にとっても身体が堪えるし、食糧とかの予算が伊達にならなくての、ホホホ。学者と言うのは簡単にはいかんようじゃ。まぁ、じゃから今回来ることにしたんじゃがの、ホホホ」


 それなら納得がいく。確かに何回も来てるはずなのにまだ調査するってことはどこか調査しきれてないところがあるってことだしな。

 予算のことも……って結構シリアスでシビアな話題だけど他の人はともかく俺に話して良かったのか?

 そんなことを考えながら俺たちが共感、というか同情と共に相槌を打っていると、ここまで静かだったマキが突然青ざめた顔で口を開いた。


「じゃあ、キングコブラは真ん中の部屋にいるかもしれないってこと?」


 怯えたように声を震わすマキだったが遺跡の話から急にキングコブラの話になったので誰も流れについていけない。すると、見兼ねたカリンさんが律儀にも手をあげながらマキを庇うようにマキの肩に手を置くと、そのままゆっくりと口を開いた。


「実はその蛇のことでアミ姉様と話し合っていたのですが……」


 カリンさんは全員の視線が集まったことを確認すると、アミさんに目配せをしながらコックリと頷いた。それを何かの合図だと受け取ったアミさんは今度は自分に注意を向けさせながら一人一人目を合わせていった。


「すでに遺跡に潜んでいるのがキングコブラだという立証は出来ています。従って私たちはそれに注意を向けながら遺跡内を調査しなければいけません」


 いつに無く力強く話すアミさんの雰囲気に少しだけ圧倒される俺。


「お姉ちゃん張り切ってるね」

「うん、いつもこういうイベントの時はそうだよね」


 そんな中サリーさんと、サキさんはクスクスと笑いながら小声で何か話している。そんな二人を目で威喝しながらアミさんは言葉を続けた。


「その為にも重要なのが皆がどんな配置につくかです。詳しいことは明日になるまで分かりませんが蛇を意識した調査を心がけてください」


 アミさんがそう切り上げると、みんなはそれぞれ自分のお椀を片付ける為に立ち上がったり他の人のお椀をとっていったりしだした。あまりにも呆気ない終わりに戸惑っていると、後ろからタミが俺のお椀を取っていった。

 どれくらい時間が経ったのだろうか。どんどん綺麗になっていく辺りをボーッと眺めながら座っていると、横からトントンと肩を叩かれた。

 慌てて意識を戻して振り向くとそこにはカナさんとその膝の上で既に眠りについているマイの姿が。


「まだ寝る………」


 夢の中でも寝ている様子のマイに心の中でツッコミをいれながら俺の肩を叩いたであろうカナさんを見つめると、カナさんは手伝って、と一言告げた。

 いきなりそんなことを言われ戸惑った俺は辺りを見渡すが、皆んな片付けやテントの準備で忙しいらしく手が空いてるのは俺ぐらいしかいない。

 しかし手伝おうにもどうすればいいのか分からなかった俺はあたふたと手を動かして挙動不審になっていた。

 そんな俺をみてあきれ返るカナさん。カナさんはサッとマイを抱きかかえると、すぐに俺に渡してきた。

 気づいたら俺の腕の中にいたマイはものすごく軽かった。いや、でもこれってお姫様抱っこでは?あれっ?でもよく考えたらマイ達って本物のお姫様っぽかったような……。

 俺のそんな考えは歩いているとすぐに消える。髪質はいいしマイは案外柔らかいのだ!

 俺はしばし腕の中の感覚に心の中で歓喜の涙を流しながらマイを荷車の中まで運ぶと、既に敷いてあった布団の上に寝かせた。

 小柄だが色気を感じさせる寝顔に僅かだがドキっとする。降ろす時にかかった寝息を思い出して顔が真っ赤になるのを感じながら頭を振って無理矢理そう言うイメージを振り払うと、いつの間に現れたのかバーチャマおばあちゃんがニヤニヤと笑みを浮かべながらからかってきた。


「お前さんもウブじゃのぉ、ホホホ。私も若い頃は色んな男に……」


 いきなり始まった意味不明の話にカナさんはその隣で眉間を押さえている。俺はとりあえず神経を逆撫でするようなバーチャマおばあちゃんの声を無視すると、カナさんも俺の意図を汲み取ったのか静かに後退をはじめた。

 そんな俺たちの様子に構わず話し続けるバーチャマおばあちゃん。俺はその横をスタスタと歩き抜けるとカナさんと一緒に気づかれないようにそうっとその場を去っていった。

 後に残されたバーチャマおばあちゃんは俺たちがいなくなっていることに気付くと肩を落として荷車の隅っこの方で毛布に包まっていた。

 そうとも知らずテントの方まで歩く俺たち。すると、カナさんはふと思い出したかのように足を止め、遺跡がある方向を向いた。不思議に思い俺も足を止める。

 突然、何の前触れも無く遺跡の方を向いていたカナさんは俺の方を向くと小さな笑みを浮かべながらこう言ってきた。


「かずや君、もう一度遺跡の中に入ってみない?」


 太陽が地平線に当たる少し前、徐々にオレンジ色に変わる日の光に照らされたカナさんの顔は魅力的でどこかあどけなかった。

来週からペースが週一に戻ると思います。

ご了承ください。

二週間ありがとうございました。


次回は1月25日12時予定です。

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