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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
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38話 オカリナ遺跡内部

「オカリナ遺跡内にキングコブラがいる」


 カナのその言葉に反応したトゥインカはまるで警報を鳴らすかのようにクケェ、と鳴いていた。そしてトゥインカの鳴き声を聞きつけたのかバザールを始めとするダチョウ達が何事か、と慌てて彼女の下へ駆けつけていた。

 彼らの目線の先にいたのは見知らぬ女と、巨大な鳥。バザール達は彼女達を敵と認識すると恐ろしい形相で鳥に突っ込んでいった。女一人トゥインカが手こずる筈がない、だから自分達は鳥の方を倒す、という判断ゆえの行動である。

 臆する様子を見せることなく鳥を睨みつけながらバザール達は三方向に散らばると、そのまま鳥を中心点に正三角形を作って囲んだ。そしてまるで鏡を見ているかのように息をピタリと合わせて鳥との距離を詰めていった。

 その時、バザールの後方から小さな黒い影が現れた。黒い影は鳥を守るように両腕を広げながらバザールを追い越すと、そのまま彼の突撃を妨げるかのようにバザールの進路を遮った。

 バザールは慌てたようにブレーキをかけようとしたが、一度乗ったスピードは簡単に緩めることが出来ない。

 このままでは衝突する、と誰もがそう思った時、鳥はその小さな黒い影の首元を咥え予備動作も無しに飛躍した。

 突撃する相手が急に上空に移動したため、残りのダチョウ二体、サンドロとココナムは慌てて減速を試みたが時既に遅く、二体はバザールを巻き込んで大激突してしまった。同時にブレーキした時の砂がお互いにかかってちょっとした砂山を形成する。

 三体はぶつかった際に首が絡まってしまい、戦闘不能状態になっていた。

 彼らの姿を呆れたように見るトゥインカ。そして、小さな黒い影を咥えて彼らを見下ろす鳥。

 鳥は黒い影を優しく地面に降ろすと、そのままパートナーであるカナの隣まで歩いていった。

 トゥインカはカナに軽く会釈をすると夫、バザールの前まで行き、彼の頭をミシン針のように高速でつつきだした。バザールは頭を抱えようと翼をバタバタと動かすも、絡まった首のせいで翼が届かない。結局バザールはトゥインカになされるがまま頭の痛みに耐え続けることになった。

 その様子を痛そうに目を細めながら見つめるカナは近くにいたマイに今はどんな状況なのか聞いた。


「マイ、あのリーダーダチョウさんを突ついてるのは誰?それと、あそこにいる小さなダチョウ……」


 カナが二体に近づいて行く小さなダチョウを目で追いながら彼らを指差すと、マイは眠そうな目を擦りながら口を開いた。


「あの突ついてるのがトゥインカさんで小さいのはムブラナ君。二体は親子で、あの突かれてるのはムブラナ君のお父さんのバザールさんですよ、カナお姉様」


 マイがあくびを噛み殺しながらそう答えると、カナは首を僅かに振りながら聞き直した。


「いや、そうじゃなくて。何でその、トゥインカさんは突ついてるの?」


 カナが困惑したような顔でマイを見ると、マイはさも当然といった眼差しでカナを見つめ返した。


「多分トゥインカさんの鳴き声を聞いてお姉様達を敵だと勘違いしたんじゃないでしょうか?で、それを誤解だと止めたのがムブラナ君で、トゥインカさんはバザールさんの考え無しの行動に怒ってると」


 目をトロンとさせながら話すマイに一応納得したカナはハーっ、と溜息をつくと今だにお仕置きをくらっているバザールに近づいていった。カナが近づくと、先ほどまで突ついていたトゥインカはひとまずお仕置きをやめることにした。そのままトゥインカが場所を開けたところを見送ったカナは未だに目を回して倒れている三体に向かって声をかけた。


「えっと、私たちって既に会ってましたよね?何で急に攻撃してきたんですか?」


 カナの言葉に絡まっているはずの首を器用に動かして確認するかのようにお互いを見つめ合うバザール達。その後にカナの姿を頭のてっぺんからつま先まで観察すると、そのままカナの後方にいる鳥を見つめた。あー、と口を開けながら一斉に頷いた三体はその後に自分達のしでかしたことを思い出し、まるで石になってしまったかのように固まった。そしてヒヤリと冷たい汗を流しはじめる三体。

 その時、バザール達の後ろからカツカツと小気味よい何かを打ち合わせるかのような音が聞こえてきた。バザール達はぎこちない動作で恐る恐る後ろを振り向くと、彼らの目線の先には嘴を合わせて鳴らすトゥインカの姿があった。心なしか目がギラリと光っている。バザール達は見えない叫び声をあげながら必死に逃げようとしたが、絡まった首は全くと言っていいほどほどけなかった。

 次の瞬間、バザール達はトゥインカから突きの嵐を浴びせられることになった。そしてムブラナは母の姿を見ながら自分は決して確認なしに突っ込まないと心に誓うのだった。



 ◇◇◇



 俺達は今、暗い砂の下、オカリナ遺跡の内部のとある部屋の中にいた。日の光が届かない灯りも何も無い地中の部屋で頼りになるのはタミの持つランプの灯りだけ。

 その灯りに照らされた部屋の中ははっきり言って殆ど何も無かった。少しばかり荒らされた部屋の内装は至ってシンプルで中央にある机とイス、壁にかかる古そうな絵画以外何も無い。

 俺は顔がオレンジ色に染まった、この遺跡に何度も足を運んだことのあるバーチャマおばあちゃんの横顔を覗きながらこの部屋について尋ねた。


「やけに殺風景ですけど、この部屋はどんな目的で使われていたんですか?」


 バーチャマおばあちゃんはタミからランプを預かりながら部屋の奥へと進んでいく。その途中でバーチャマおばあちゃんは部屋の奥を照らしながら俺の質問に答えた。


「この遺跡はかつて他国と戦争をしていたある国の避難所として使われていたんじゃ。ここには基本的に予備の武器や装備品などが置かれていてのぉ、他には既に回収したが貴重な魔物の素材で出来た鎧や手甲もあったそうじゃ。回収したものはすでに古くなっていて処分したがの、ホホホ。そんなことよりこの部屋少し匂うぞ………」


 バーチャマおばあちゃんの言葉に急いで脇の下や自分の服を嗅ぐ俺だったが隣に立っていたタミが呆れた様子で違う違うと手を振ると、部屋の奥のとある一辺を指差しながら俺にその方向を見るよう促した。俺はその方向を見ると思わず目を見開いた。

 なぜなら俺の目線の先には巨大な蛇の抜け殻と排水口のような大きさの穴がパックリと口を開いていたのだから。

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