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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
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36話 オカリナ遺跡調査(1)

「では、入ろうかの、ホホホ」


 今俺たちはオカリナ遺跡の入口を囲むように立っている。バーチャマおばあちゃん特製の結界、エアコンがない今、俺の背中と頭からは大量の汗が流れ出ていた。そんな中、全くと言っていいほど暑さに屈した様子を見せないバーチャマおばあちゃんはいつものようにホホホと笑いながら遺跡に入る合図を出した。

 俺は早速中に入る為に足を踏み入れようとすると、バーチャマおばあちゃんが俺の身体に待ったをかけるかのように腕を伸ばした。その行動に疑問を覚え首を傾げる俺を他所にバーチャマおばあちゃんは後ろにいたカリンさんから何かを受け取ると、遺跡の穴に放り投げた。

 一秒と経たずに底に落ちた音が聞こえてくると、バーチャマおばあちゃんはうんうん、と嬉しそうに頷きながら穴の中に身体を投げ出した。

 危ない、と思った束の間、スタっ、という音と共に着地したバーチャマおばあちゃんはそのまま上にいる俺たちに向かって呼びかけた。

 穴の側にある岩の影のせいで始めは中の様子が見えなかったが、今度はマキが布に包んだ蝋燭と、何かしらの火をおこす道具を穴の中に投げ入れると、それを上手く掴んだバーチャマおばあちゃんがすぐに蝋燭に火を灯して穴の中を明るくした。

 僅か数十秒の出来事に俺が唖然に近い感心を抱いていると、いつの間にか俺の隣に立っていたタミがいつもの苦笑いを浮かべながら俺に話しかけた。


「凄く手慣れてるでしょ、大叔母様。大叔母様がオカリナ遺跡に来たのは初めてじゃないんだ。もう既に一人で何回もここに来てるからこの遺跡のことは凄く詳しいんだよ。今回かずや君を案内したのも大叔母様が直々に調べたいこともあったからなんだって」


 タミが俺に話す最中に一人ずつ穴の中に入っていく。しかし、俺はそんなに知ってるならなんでまた調べる必要性があったんだ、と不思議に思っていると、俺の考えを読んだのかタミが続けて口を開いた。


「じゃあ、なんでまだ調べてるんだって考えてたでしょ?フフ、それはね……」


 タミが続ける前に順番が回ってきたのか、一旦会話を中断させると、そのまま穴の中に飛びこんだ。

 俺も着地点を定め、タミがどいたことを確認すると、勢いをつけて穴の中へジャンプした。ほんの数秒の浮遊感の後に着地すると、俺は背中の重りという名のカバンのせいでよろけ、そのまま尻餅をついた。

 倒れた俺に手を差し出すタミの手を取って立ち上がると、そこには十メートルほどの長さで三メートルくらいの高さの大人二人がやっと通れそうなほどの幅しかない廊下があった。

 それもかなりボロボロのタイル張りで、今にも天井が崩れそうである。そんな廊下に対して不安を感じていると、バーチャマおばあちゃんが俺たち全員が揃ったことを確認して話しかけてきた。


「この遺跡見た目はボロボロじゃが、壁と天井を支える柱やタイルの部分に結界が張ってあってちょっとやそっとじゃ崩れないようになっているのじゃ。その証拠にほれ、中は結構涼しくなっとるじゃろ?」


 そう言われてみると、確かに俺の身体からダラダラと流れていた汗は綺麗さっぱりと消えている。俺はバーチャマおばあちゃんの言葉にホッとしていると、穴に入ってすぐの右側の廊下に五つのくり抜かれたドアがあることに気づいた。

 俺は早速ドアを開くためにと手をかけようとしたが、これもまたもや出されたバーチャマおばあちゃんの手によって遮られた。


「ここのドアは特殊での、横に引いたりするんじゃなくて前に押して開けるタイプなんじゃよ、ホホホ」


 バーチャマおばあちゃんの得意げな説明に俺はどこが凄いのか意味を理解しあぐねていると、見かねたのか横にいたタミがバーチャマおばあちゃんの言葉を引き継いで話しはじめた。


「まぁ、いいからとにかくどこか一つ選んで開けてみて」


 内心良く分からなかったが、俺は言われた通りに適当な右から二番目のドアを選んで開けてみると、開ける途中で奥の何かに当たって止まった。引っかかって開かないんじゃないかとヒヤヒヤしながら何度も開け閉めしていると、マキが中央に立ったバーチャマおばあちゃんの隣のドア、左から二番目のを選んで開けてみた。

 しかし、マキのドアも全く開かずに途中で突っかかっている。

 今度は中央にいたバーチャマおばあちゃんが開けようとドアに手をかけると、またも同じように開かずに止まった。

 何でだ、と頭に大量の疑問符を浮かべていると、バーチャマおばあちゃんが答えを言うかのように口を開いた。


「この五つのドアの裏には三つのドア分の大きさの壁が二枚あっての、一日に一回場所を入れ替えて入れる場所を制御しているのじゃ。まぁ、結界の一種じゃの、ホホホ」


 最後の方は何故か、元気なく笑ったバーチャマおばあちゃんは俺の方を向いて分かったか聞いてきた。

 バーチャマおばあちゃんが言ったのはつまりこういうことだ。

 五つのドアの後ろには三つのドアが入るくらい大きな壁が二つあって毎日動く位置を変えて入れるドアを制御している。

 そんな類のことをバーチャマおばあちゃんに話すと、彼女は嬉しそうにニッコリと微笑んで首を縦に振った。


「その通りじゃよ、ホホホ。お前さん、魔法結界学の才能があるかもの、ホホホ。まぁ、じゃが二枚の壁はただの壁ではないんじゃ」


 目を閉じて息を一瞬吸い込みすぐに吐き出すバーチャマおばあちゃん。その後すぐに俺の方を見たバーチャマおばあちゃんの瞳はいつにもなく楽しそうだった。


「この大きな壁の内、真ん中の部分には実は穴が空いているんじゃ。つまり、その穴の部分が空いていればそこにも入れるということじゃ」


 なるほど、組み合わせ次第では入れるようになる場所が増えるってことか。

 俺はバーチャマおばあちゃんの説明に納得した。今の所開かないのは真ん中の三つ。つまり、両側が開いているかもしくは片側が開いていることになる。俺は一番奥のドアの前にいたカリンさんにドアを開けるよう促すと、カリンさんはなんの躊躇いもなく一気にドアを押した。

 しかし、残念なことにバンッという音と共にドアが止まると、俺は自分の右隣りにいたタミにドアを開けるよう頼んだ。

 言われた通りにドアを押すと、完全に人が通れる幅までドアが開いた。

 タミが息を呑む音が聞こえる。

 その間にマキが床に置いてあった蝋燭を取り、カバンに入っていたランプを取り出すと、蝋燭をランプの中に入れてバーチャマおばあちゃん、俺経由でタミに渡した。ドアの中に一歩踏み出すタミ。俺たち全員もタミの後を追って中に進んでいく。

 ドアの向こうにはカーブを描くように非常に長い廊下があった。

 乾燥した砂漠の中の遺跡であるにも関わらず廊下からはカビ臭い匂いが立ち込めてきていた。

ドアの説明が分かりづらかったらすみません。

要は五つドアがあって、日によって開いていたり閉じていたりするってことです。

もし小説内の説明が分かりづらかったらそんなもんがあるんだくらいで覚えておいてください。

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