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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
24/95

23話 遅い昼食

 俺たちは今砂漠にさしかかっていた。照りつける日差しはバーチャマおばあちゃんの温度調整結界、この際エアコンとでも呼ぼう、によって遮断され俺たちの歩く空間は快適で涼しい。

 さすがに歩きにくい砂の足場のせいで足が疲れていたが先ほど休憩した時よりも心無しか足が軽くなったような気がする。

 俺は延々と続く砂漠の地平線を気の遠くなるほどの時間歩きながら横を歩くカリンさんに後どのくらいで遺跡に着くのか尋ねた。


「そうね、砂漠に入ったからもう半分と少し過ぎたくらいかしら?ごめんなさい、私も詳しい位置は知らないの」


 紺色の髪をなびかせながらカリンさんは実に申し訳なさそうにそう答えた。それを聞いた俺は荷車の横までくると無言のまま前方を見つめる。

 どこまでも続く果てしない道のりに俺は正直飽き飽きしていた。

 仕方がないので、一人今後の事や他の事を考えながら足を動かす。

 オカリナ遺跡はどんな場所か、この世界の食べ物は日本のものとは味も色も違う、なんでこの世界は女ばっかりなんだ?、あーかき氷食いてー。

 この旅とは全く関連性のない様々な考えを頭に思い浮かべながら空を見上げると雲一つない真っ青な空と優雅に飛ぶ鳥の姿が目に入った。

 この空は世界のどこに行っても繋がっている、とどこかの詩人が言いそうな台詞をポツリと呟きながら俺はここは異世界なんだと改めて自分に言い聞かせる。透き通りそうな空とは対象的に何故か俺の心はどんよりと曇りがかかっていた。

 太陽が西に傾きはじめる。そんな中、俺たちは遅い昼食を食べながら身体を休めることにした。

 日差しのせいで温かくなった砂の上に座ると足の乳酸がほぐれて気持ちよく感じる。そのままバサリと身体を地面に投げ出しながら俺は額の汗を拭った。

 エアコンのおかげですっかり乾いていた汗は肌にベトベトと張り付いてはっきり言って気持ち悪い。

 仕方なくもらった服を使って顔全体をささっと拭くとその様子を見ていた女性陣と目が合った。

 何故だか恥ずかしさを感じ気まずくなった俺はそのまま食事に戻る。幸いなことに昼食のメニューは目玉焼きで熱い砂漠の上で鉄板を敷いて焼くのはなかなか目から鱗だった。

 醤油がないのは残念だったが、代わりに海で取れた岩塩があるらしくそれをかけて食べている。

 ん〜、美味い。やはり日本人にはしょっぱい食べ物がいいな。

 とか思いながら食べていると何故かタミが俺の顔を覗き込んで笑い出した。


「えっと、俺何かした⁈」


 戸惑いがちにそう尋ねると、タミは口元をハンカチで拭きながら俺の口を指差した。


「口、汚れてるよ」


 そう言ってもう一つハンカチを取り出すと俺に渡す。俺は慌てて拭っていた手ではなくハンカチを使って口元を拭いた。なかなかに恥ずかしい光景だ。

 拭い終えたハンカチを返そうとすると、タミはあげると言って遠慮がちに突き返す。

 親切だなぁ、とか思いながらハンカチをポケットにしまう俺にタミは苦笑を浮かべながら口を開いた。


「それで汗も拭くといいよ」


 そして自分の皿とさりげなく俺の皿も取って他の女性陣の皿を取っていくタミを目で追いながら俺は家庭的な何かを感じていた。


 昼食の後片付けも終わり出発の準備を整えると、突然激しい地響きと共に何かがこちらに近づいてきた。

 慌てて戦う準備を整えると、俺は女性陣に下がるよう言われた。

 俺も参戦したかったがお客様の手を煩わせる訳にはいかない、と言ってカナさんが俺の前を遮った。

 まぁ、戦闘経験も一度も無いわけでここは異世界なんだ、まずはプロに任せるんだと自分に言い聞かせ、俺は荷車の中に逃げ込んだ。

 何故か荷車の中ではバーチャマおばあちゃんが寝ていたが、今はそれどころではない。

 俺はバーチャマおばあちゃんが顔を出していた窓から顔を出すとそのまま女性陣の戦いを見守った。


 だんだんとその何かが近づいてくる。

 初めての経験に俺の心臓がバクバクと高鳴りはじめ、徐々に鳥肌がたってきた。

 それぞれ違う武器を持った四人の護衛達と空に浮かぶ鳥とカナさんはそのまま構えて待った。

 そして近づいてきた何かが射程圏内に入るとカエデさんが弓を放った。

 それを軽やかによける何か。そいつは止まる様子を微塵たりとも見せず更に加速しながら一直線にこちらへ走ってくる。

 しかも一体だと思っていたそれはいつの間にか三つの影に分かれていて、三つとも徐々に近づいてくる。

 これではまずい、と思っていた矢先上から三つの縄が投下され、そのまま三体の首を締め上げた。

 急いで止めようにも慣性の法則ですぐには止まれず砂を大きく巻き上げながらカエデさんの馬、ハーブ二号に当たる寸前のところでそいつは止まった。

 びっくりしたハーブ二号が嘶きながら足をあげると三体のそれはクェーっと鳴きながら威嚇する。

 その間にも砂埃が晴れてそいつらの正体が明らかになった。

 砂埃の中からクケェーっと鳴きながら現れたそいつらは恐ろしい姿をした魔物でもなく可愛い顔をした小動物でもなく、象ぐらいの高さの立派なダチョウだった。

次回は12月14日午前一時予定です。

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