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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
21/95

20話 紹介(3)

誤字脱字があったらすみません。

ここまで読んで頂いた皆様、本当にありがとうございます。来週からようやくオカリナ遺跡に旅立ちます。

その前にまずはかずやの旅に同行する人達をどうぞ。

「食糧を管理する役になったタミです。21です、よろしく」


 夕食の後、ダイニングルームのとある机の周りでは8人の女性が座りそして異世界から来た男、かずやが座っていた。

 かずやにとっては二回目のダイニングルームでのまとまった自己紹介であり、彼らは現在今回向かうことになったオカリナ遺跡の調査を行うメンバーとして集まっていた。

 親交を深める為のこの時間は今二人目の自己紹介の真っ最中であった。


「よろしくタミさん」


 かずやが自分の正面の右隣に座っていたタミに返事を返すと、タミは頬を膨らませながら何やら不満そうな目線をかずやに返した。


「タミでいいよ、同い年だし」


 ぶっきらぼうにそう告げるとタミは机の上に左片方の肘を置き、手の平に自分の顔を乗せた。そのままそっぽを向くとタミは口をつぐんでもう言うことは済んだ、とでも言うかのように黙り込んでしまった。

 話し終えたタミの様子を見たかずやは苦笑いを浮かべながら今度はタミの隣に座る女性に目線を移した。


「私はカナ。23歳。結界付近の護衛をしています。かずや君が倒れているのを見つけたのも砂漠の結界辺りを見廻りしてた時。今回はこのメンバーで伝達係を務めます。どうぞよろしくね」


 握手を交わしながらなかなかフレンドリーにかずやと会話を交わしたカナは朗らかな笑みを浮かべ次の人に自己紹介の順番のバトンを渡した。

 そのバトンを受け取った女性は先ほどまで首を長くしていつ自分の番が回ってくるのか待っていたようで、カナが言葉を終えた瞬間的に言葉を発した。


「私カエデ23歳君がかずや君だねねえどうして裸だったのていうか君男なんだねあちなみに私護衛だからねだからよろしくお願いしますです」


 まるで弾丸のように息継ぎもせず話まくるカエデに隣にいたカナがどうどうと宥めながら落ち着くように説得した。ああ、そうかと激しくなった息を整えながらカエデは今度は出来るだけゆっくりと話し出した。


「ごめんね。私せっかちなところがあるの。えっと、私カエデねよろしくね」


 まだ口調は早口言葉を言うかのように速かったが間を空けた分幾らか聞き取りやすくなった。

 かずやはその場に置いていかれそうな雰囲気になんとかついていって軽く会釈すると何故か漏れた溜息と共に次の人へ顔を向けた。


「カリンです。今年で23になりました。フーガ村では護衛として働いています。今回は護衛としてこのメンバーと同行します、どうぞよろしくお願いします」


 垂れ流した紺色の髪を白い蝶をモチーフにした髪留めで留めながらこの中では一番他所向けの丁寧な挨拶でカリンは自己紹介をした。

 その様子にほっとしたのか胸をなで下ろしながらかずやは挨拶を返すとまた同じように今度はかずやの左隣の奥の方に座っている女性に目線を向けた。


「マイでーす。よろしくお願いしまーす」


 やる気を感じさせない声で自己紹介をしたのはマイという小柄な女性だった。他の姉妹と比べると明らかに小さく中学生と言われたら納得しそうなほど顔が幼かった。

 いくつですか、と一瞬聞こうとしたかずやだったが女性に年齢のことを聞くのはタブーだと知っていたかずやはその言葉を寸前で飲み込んだ。

 その時、その隣に立っていたアミがマイの特徴を述べはじめた。


「マイはいつもはこのようにつっけんどんな態度を見せないし、寧ろ素は明るくて穏やかな子なんです。……ただ睡魔に弱くて。失礼な姿を見せて申し訳ありませんでした。この子も護衛になるのでどうぞよろしくお願いします」


 マイも頭が段々と舟を漕ぎながら丁寧にお辞儀をすると座りながらまぶたを閉じはじめ、結局はとても遅いメトロノームのように右へ左へと頭を動かしながらスヤスヤと寝はじめた。

 そのまま突っ伏したマイをそのままにしてかずやは最後の一人に視線を送る。

 ツッコミどころが満載の姉妹にもう呆れることにも疲れて結局放っておくことにしたかずやは最後の女性の言葉に耳を傾けた。


「マキです。特技は板割です。姉共々よろしくお願いします」


 少し観点がずれているような気がしたが比較的まともな自己紹介にかずやは満足すると名前を確認するように改めて一人ずつ呼んだ。


「バーチャマおばあちゃん、タミ、カナさん、カエデさん、カリンさん、マイちゃん?マイさん⁈とマキち…マキね」


 無難に名前を覚えたかずやはマイとマキをどう呼ぶか悩んでいたが、マイは寝ていて、マキは呼び捨てを望んだので希望通り下の名前で呼ぶことにした。そしてかずやは今更ながらにこんな疑問を抱いた。


「娘何人いるんだよ、アントワンヌさん……」


 小さくそう呟くかずやの声は誰にも聞こえなかったようで彼の疑問が現時点で解決することは残念ながら無かった。



 ◇◇◇



 薄暗い闇の中、一匹の蜘蛛が壁を這って進んでいた。足の長い小さなその蜘蛛は天井と壁の間の特定の場所に辿りつくとそのまま糸を吐き、自分の住処となる蜘蛛の巣を作りはじめる。

 蜘蛛は充分な長さになった縦に伸びる六つの糸をそれぞれたどりながら、横に伸ばす糸を吐き出した。

 やがて出来た蜘蛛の巣に腰を降ろし、獲物を待つ蜘蛛はよく見ると、黒い体に紅い血のような斑点がついた特殊な模様をしている。

 蜘蛛は闇に紛れたその体を微動たりともさせず、今部屋の中で起こっていることをその紅い目で観察していた。

 年季の入ったこの部屋に潜む細長い体。本来いるはずのないその蛇は部屋中を這い回りまるで何かを探すようにあちらこちらの物を物色している。

 やがて何もないことを確認したのか二股に分かれた舌をチロチロとさせると蛇はそのまま部屋を後にした。

 取り残された蜘蛛はそんなことはお構いなしに部屋を観察している。

 静かに佇むその蜘蛛は今度こそ闇の中に消えていくと紅い目だけを見開きながら今か今かと来るべきものの姿を待った。


次回は11月23日の午前零時です。

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