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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
19/95

18話 フーガ村の謎(1)

 ここオジー王国フーガ村には大きな謎が二つある。一つは村なのになぜか大きな城が建てられていること。俺が運ばれた和風の長屋もなかなか大きかったのだが城はそれ以上の大きさを保っている。まあ、これは後で聞けばいいとして問題は二つ目だ。

 それは…………


「なんでこの村には男の姿が無いんだ⁈」


 そう。俺みたいな男の数が極端に少ないというかもういないのである。いや、正確にはいるのだがまだ赤ん坊だったり杖をついたおじいさんだったりと若い女性はいるのに若い男性はこれっぽっちも見当たらない。だから村中を歩き回る度に妙な視線を感じて平静を装うのがこんなに難しいと感じたことは今回が初めてだった。まあ、そんなことよりも今俺は何を持っていくかで非常に悩んでいる。あの茶店から今までいろいろな店にまわった。水、食糧などの旅には欠かせない必需品に加え、雨や風を予防するテントにマント、魔物予防のためのスプレーならぬ塗り薬や遺跡を調査する際に必要になる記録用の紙とペン。それから……


「武器と替えの服と就寝用の毛布。移動用の馬も手配したので最低限のものはすでに準備が出来たと思います」


 まあ、それはいいのだが何かが足りないような気がする。もちろん金属探知機などこの世界では手に入らないものではなくてもっとこう……なんというかとにかく何かが足りないのだ。それが分かるまでしばらく首を捻っていたのだがようやく思い出した俺はアミさんにそれを伝えた。


「蝋燭とかの照明器具は⁈まだありませんよね?」


 そう疑問をぶつけたら案の定アミさんも忘れていたらしくすぐさま目的地を別の場所に変えた。



 ◇◇◇



「さて、誰を一緒に送ろうかな…」


 城のとある一室、女性らしいファンシーな装飾が施された白いレースのカーテンを抜けると広いベランダにでる。そこには伝統的な彫刻が彫られた年代物のイスとそこに腰掛ける女性の姿があった。ベランダからはフーガ村とその先の丘、そしてさらにその先の海までもが一望出来、海から来る潮風は女性の長くて黒い髪の毛を優しくなびかせている。黒髪の女性、アントワンヌは何かの名簿を覗きながらどこかむつかしい顔をしていた。


 アントワンヌは現在誰をかずやと遺跡調査に送りこむか考えている。たかが遺跡調査とはいえ、大事なお客様の命がかかっているのだ。アントワンヌは異世界からきたかずやという名の男を思い浮かべながら真剣に人を選んでいた。これが普通の人間ならともかく異世界から来た人間となるとその存在を公に知らせるのはまずい。そう決めたアントワンヌは候補を自身の娘達といくらか信頼できるものに絞り込む。しかしまだ200人程度の名前がそこにはあった。しかしアントワンヌは安全面のことを考え速やかに15歳以下の名簿を取り除く。常識的に考えても15歳以下は頼りないからだ。100人近くまで減った名簿に安堵しながらアントワンヌはこの旅に必要な人材を現実問題を考慮しながらまた厳選していく。


「まずは遺跡調査に慣れているものが必要か……」


 そう言って三つの名簿を取り出したアントワンヌは風によって飛ばされかけた他の名簿を抑えながらじっくりと検討していった。


「叔母様は遺跡調査のプロだけどこの旅だと体に響くかもしれない…。残り二人はうーん……。ふー、後で叔母様と相談するか」


 そう言って一旦名簿を置くと次は20人分程の名簿を取り出した。


「次は食糧を管理する係か……。うーん、この二人はよく食べるから却下でこっちの二人もあの時期だから却下。それから…」


 いろいろな理由による消去法で決めていって最後に残ったのは一人の女性だった。もちろんアントワンヌ自身もよく知る自慢の娘だが後ほど混乱しないようにきちんと彼女の書類を分けておく。やがていらなくなった書類を室内に戻しながらアントワンヌは次の書類及び名簿に目線を移した。


「次に必要なのはもしもの時の伝達係だな」


 そう言って迷わず一つの書類を取ると先ほど選んだ女性の書類の上に重ねた。次は護衛役である。護衛役はもちろん多い方がいいが食糧や期間のことを考えると少ない方がいい気もする。状況によって応じれるように三、四人に絞ると今度は一番の問題の道案内役を選ぶことにした。地図も道しるべも無い道のりを迷わずに全員を導きながら歩いていくのはとても骨が折れる仕事である。それを痛いほど理解しているアントワンヌはまた書類との睨めっこをはじめるとああでもないこうでもないと一人ブツブツと検討するのであった。



 ◇◇◇



 かずやは今自分が想像していた場所とは予想外の場所に立っていた。今にも崩れそうなそのボロ小屋は全体的に斜めに傾き、今すぐに倒れんとばかりに奇妙な形に曲がっている。触っていなくても軋むドアに気味が悪くなったかずやは隣のアミにそっと目配せをすると、アミ自身もその存在に息をのんでいた。


「本当にここが蝋燭屋なんですか?」


 かずやが恐る恐るそう尋ねると返ってきた答えは無言だった。かずやが困ったようにあたりを見渡すとボロ小屋から人影が現れる。


「何かお探しかな?」


 突然かけられる声にぞくっとした二人は反射的に逃げ出そうとする。しかしまるで金縛りにあっかのように体が動かなくなった二人は逃げることを諦めお互い顔を真っ青に染めあげながら震える声で返事をした。


「ろ、蝋燭を探しに……」


 かずやの怯え切った声を聞いたその人影はボロ小屋の中に戻って行くと蝋燭を二つ持ってかずや達の前に現れた。


「銅貨二枚です」


 アミはこれまた震える手で銅貨二枚を取りだすと蝋燭と交換に代金を渡した。代金を受け取ったすぐ後この奇妙な人影はパチンと自分の指を鳴らした。その瞬間二人の金縛りが解け、同時に二人の意識が遠ざかっていった。


 目が覚めると二人は先ほどと同じ場所で倒れていた。しかし目の前にはあのボロ小屋ではなく一本の枯れ木が静かに、そしてさみしげに立っている。二人は夢だったのだろうと思い腰を下ろすと足元に何かが転がっていることに気づいた。そう、まだ使用されていない真新しい蝋燭が。






 こうして今日もオジー王国フーガ村では小さい新たな謎が増えていった。

ストーリーはハッキリ言ってダメダメだと自分でも分かっていたのですが、どうしても今後の伏線の為に入れました。サブタイトルに期待してしまった人申し訳ありませんでした。


次回は11月9日予定です。

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