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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第一章 オカリナ遺跡編
15/95

14話 茶店

オジー王国の謎の読者の皆様へ


私佐助さんは毎週土曜各2000〜3000文字ずつ更新するようにしています。


読みたらない方やもっと高度な文章を期待している方、出来れば毎日更新してほしい方には申し訳ないのですが作者の出来る限りを尽くして更新していく予定なのでどうか今後も長い目で読んでいただければ有難いです。

それでは14話をどうぞ。

 俺たちが次に向かったのはよく言えば貫禄のある悪く言えばボロい見た目の古びた茶店だった。薄暗い店内を覗くとやはりガタがきてるのか四隅の木柱は引っ掻き傷や雨漏りのあとがあり、老舗店特有の匂いが店中の空気を支配している。だが、品揃えはとても豊富で店内の左右両側にある床から天井まで届く背の高い棚には一片の隙間もないぐらいビッシリと瓶詰めされた茶葉がこれまた古びたラベルと共に置かれていた。

 俺が店内を隅から隅までみていると中央のレジの上方の壁にかけられた習字のようなものに目が止まった。目を凝らしてよく見ると墨汁特有の黒では無く、茶色がかった深い緑色で【健康第一】と書かれている。しばらくその習字もどきを凝視していた俺は店の奥から暖簾を掻き分け人影が現れたことに気づかなかった。


「いらっしゃいませ……あらっ?アミちゃん?」


 声をかけられたアミさんも今人影があることに気づいたようだ。その証拠にほんの僅かな瞬間だったが体をビクッと震わせている。やがてアミさんは人影の正体に気づいたのかニッコリと微笑みながらお辞儀をし挨拶と同時に返事を返した。


「おはようございます、ミサさん。お久しぶりです」


 そこにはミサさん、と呼ばれた小さな老婆が梅干しのようなしわを目元に寄せ、微笑みを浮かべながら立っていた。俺も慌てて会釈をするとミサさんは何かしらの事情を把握していたのかアミさんを手招きした後、俺を時折見ながらアミさんの耳元でこそこそと何かを話し始めた。


「……あれが噂の…かい?これまた…なって……。へぇ、そうかい」


 アミさんもまた何かを耳打ちしたようでミサさんはしきりに頷きながら目を細めている。本人のいる前でこそこそと何か言われるのは正直不愉快だったが俺の前で言えないことでもあるんだろうと思い直し状況を受け止め俺は二人の会話が終わるまで静かに待つことにした。

 まだ待っている間暇だったので残りの店内を見渡すことにした俺は何か目新しいものはないかキョロキョロと首を動かしていると外から赤い首輪をした白い猫が店内へ入ってきた。白猫は優雅に俺の前まで歩いてくると、止まって俺の右足の匂いを嗅ぎだした。右足の周りを歩きながら体をこすりつけてくる白猫はやがて俺の横に止まると座って自身の前足を舐め耳元を掻き出した。俺がしゃがんで首元を撫でてやると白猫は文字通り猫撫で声をあげながらその場で気持ち良さそうに伸びをする。そのまま首輪についたネームプレートを取ると俺はこの白猫の名前を読み上げた。


「"チャイ"か。白猫だからてっきりタマだと思ったんだけどな」


 チャイ、と名前を呼ぶとそれに反応してごろにゃ~と返事が返ってきたのでもう一度撫でてやる。その後上から妙な視線を感じた俺は撫でるのをやめ目線を上にあげた。視線を感じた先を見るとミサさんが微笑ましげにこっちを見ていて、アミさんの方は目が合うとすぐに目線を逸らされた。するとミサさんがまるで自分の子供を見ている時のような暖かい笑みを浮かべゆっくりと口を開いた。


「いや~驚いたねぇ……。あのチャイが初対面の人にこんなに懐くなんて。アミちゃんでも懐くのに半年はかかったのに。きっとあなたは優しい家庭で育ったんでしょう」


 眠くなる程ゆっくりと話すミサさんはなぜか凄く嬉しそうで俺もつられて顔が綻んでしまう。すると、アミさんが羨ましげに俺を見ながらチャイについて語りだした。


「チャイは元々捨て猫だったんです。元の家は乱暴だったのか見つけた時は酷い怪我を負っていて、死にそうなところを見つけたミサさんの旦那さんが看病したんです。それ以来この子は二人に懐いてここに住むようになりました。人見知りでなかなか他の人には懐かないんですが、どうやらかずやさんは気に入られたみたいですね……ぅらゃましぃ…」


 最後は完全に嫉妬だったが、チャイが自分のところへ来たことでアミさんの顔が緩んだ。でもチャイにそんな深い背景があったとは……。俺は一人感嘆しながらなぜこの二人が俺にそんな話をしたのか聞いてみた。


「異国の地で右も左も分からないあなたが嬉しそうにチャイを撫でてるのをみていたらついねぇ……。それにこれは私の年寄りの勘だけどあなたの住んでた国にもチャイみたいな猫がいたんじゃないかい?あんまり懐かしげに見ていたもんだからきっとそうなんでしょう。自論だけど猫好きに悪い人はいないからね。だからこれからもチャイをよろしくお願いしますね」


 ーーーな、なんなんだこの人は。初対面にも関わらずこんなに俺に優しく接してしかも異世界で何も分からない俺の事情を察して……。うっ、心の涙腺が……。ちくしょう、泣いてなんかねーぞ、コノヤロー‼ それに俺は猫派じゃ無くて犬派だ。ごめんなさい、ミサさん……。


 心の中で嬉しさと罪悪感による涙の滝を流しながら俺は年寄りの勘すげー、と感心して感謝と尊敬の意思を込めてお礼の言葉を告げた。ミサさんは大したことないよと言いながらやはり嬉しいのか鼻をヒクヒクさせている。その様子を少し残念に思いながら見ていたがやがて俺はあることに疑問を抱いてアミさんの方へ向きこう質問した。


「アミさん。僕達はなんの目的でここにきたんですか?まさかチャイにあわせにきた訳じゃないですよね?」


 俺がそのように聞くとアミさんはチャイを撫でていた手を止め、業務用の顔に切り替えるとミサさんに視線を向けた。


「それは……ミサさんにお願いがあったからです」


 一瞬間をあけてそう言ったアミさんに対しミサさんもこれまた何か察したようで店の奥の方に戻っていった。そして丸めた大きな古い紙を片手に俺たちの前に戻ってくると店の中央にある机にその紙を広げた。椅子に座るよう促され腰を下ろすと俺は紙の中身を覗きこむ。中には大陸のような丸い形が描かれこれが何かしらの地図だと気づくのにそう時間はかからなかった。俺は返ってくる答えが分かっていたにも関わらずアミさんにこれは何か尋ねた。アミさんはしばらくの沈黙の後その重い口を開いた。


「これはここ、コロナ大陸全体の地図です」

次回は10月12日予定です。


章を付けたしました。

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