第壱話~始動~
第一章 第一話
面倒だなあ・・・・
不覚にもこの時僕はこう思ってしまった。
学校でも、どこでも無感情で通してきている僕としてはそれは大変珍しい事である。ここに親友がいたらびっくりして腰を抜かすぐらいだ。
・・・・・・・いや、親友なんていないけど。
まあ、当たり前の道理である。どこでも無感情で通してきている僕なんかには、友達などできることなどないだろう。
しかし、どうしたものか。いくら僕が無感情で通してきているといっても感情はあるのである。通しているだけであって、感情が無いわけではない。人間として最低限の良心は、良心ぐらいは持っているのである。
この最低限の良心がくせものなんだよなぁ。と僕は思う。
ゴミを道に捨てる人には心の中で、他の人に迷惑だなあ。と思うだけ。不良にからまれる男には、かわいそうだなぁ。と思うだけ。これは、みなそうであるかもしれないが、すくなくとも僕にはこれがうっとおしい。
最大限でもなく、全くないわけでもない。そんな存在は、僕にとってはうっとおしいのである。
とはいえ、いつまでも現実逃避をしているわけにはいかない。この、女の子が不良にからまれるという今時こんなこと起きねえだろ。と思うような事が今僕の目の前で起きているのである。
そんなこと考えてないで、前述の通りにしておけよ。と皆さんはとツッコむのかもしれないけれどよく見てほしい、男の子の場合の話である。男の子の場合の話である。大切な事なので二回言った。
なんだ、ただの色ボケやろうか、と思わないでほしい。健全な男子高校生としては当たり前の考えである。でも、でもこれやったら・・・・・・・
百%面倒くさい事になるよね。いやなんだよなぁそんなのは・・・・よし決めた。
帰ろうか。
いいですよ。腰抜けだのなんだの言われるのは、命あっての・・・なんだっけ?
まあ、ここからとおざか「おい、そこにいる兄ちゃん待てよ」・・・・
なんつうバッドタイミング!?タイミングがいいにもほどがあるだろうが!
かまわず逃げようとするが・・・・体が動かない。これは・・・・
「おい、そこの兄ちゃん逃げても無駄だぜ。俺は、念能力者(サイコキネシス)使いだからな」
いやなんだよなぁ。
「まあ、おとなしくしゲッ!?」
いやなんだよなぁ、倒したくない相手を倒すのはなにより意味がないからな。
「なんで、俺の念能力が・・・?」
「おしえてやるよ。念能力ってのはな、電気を脳に向けて放って操ったりするもんなんだ。浮かせるのも対象の足元に電磁波を発生させて浮かすんだ。なら、それを強い電気でジャミングすれば念能力は使えないんだよ」
「!・・・・そうだとしてもそんな強い電気を発生させれるわけが・・・」
「ああ、それはこれだよ」
そういって、僕は腰のベルトにささっている鉄の塊のスイッチを押す。すると半透明の黄色の板のようなものがのび、剣のようになった。
「こいつは、20億Vの電圧を圧縮してあるんだ。僕の操作でお前の電磁波と同じ周波数にしてジャミングした」
「でも......そんなそぶりはしてなかったはずだ!」
「ああ、それはな。僕の脳にナノマシンが埋まっててさ。それで命令できるし、それで計算できる」
「そんな・・・・・」
そして、僕はブレードを元に戻し、
「少し眠ってろっ」
不良の顔面を蹴りぬいた。
そして、不良の意識がなくなったことを確認してから、もうやってしまったのはしょうがないと思い少女のも
とへ行く。件の彼女はとてもかわいかった。栗色の少し色素の薄い毛に、白雪のような白い肌・・・おっとっとこれ以上言うとどれだけ見ていたのかがばれてしまう。危ない危ない。
「君の名前は?」
「・・・薙比丘奈々(なぎびく なな)」
「へえ・・・」
「・・・あなたの、名前は、何?」
どうやら、この薙比丘という女の子相当な変わり者かもしれない。単語ではなすし、ぼーっとしてるような目をしてるし、僕も変わり者のほうに入るだろう、入っちゃうだろうけど
「僕は全無現虚。全ての全に無視の無、現実の現に虚映の虚で全無現虚」
「ふふっ・・・変な、名前」
うるさいな。これでも気にしているほうなのだ。
「ところで・・・・ここは?」
「え?ああ、ここは池袋だけど」
「?・・・うそ」
「は?」
なぜ、道を教えてあげてうそと言われなければいけないのだろう。そしてここでやっと異変に気づく。
薙比丘が着ているのは、制服である。そこは何もおかしくない。しかし戦闘できるように作られていないのである。ここら一帯の学校は、全て戦闘する訓練のためのような学校である。学業の為の学校など、大昔にしか・・・・っ!まさかとは思うけど
「あのさ、君ここが何年だと思う?」
「なにを?・・・2020年でしょ?」
ああ、何てことだ。どうやら僕は面倒ごとに巻き込まれたようである。