★雪合戦
** 雪合戦 **
12月24日
クリスマスイブ♪
朝起きるとメチャクチャ寒い。
外に出てみると…
『すご!?雪めっちゃ積もってる!!』
昨晩、雪が降り積もっていた。そこで…
『雪合戦やりましょ!!』
朝から近藤さんを起こす。
そして外に連れ出し言う。
近「おぉ…積もっているな。雪合戦か…久々に隊士達とやるか!」
『隊士達を起こしてきますね♪』
近「頼んだ光さん。私は歳や総司達を起こしてくるよ。」
『それじゃぁ、広間に集めるってことでいいですか?』
近「構わないよ。」
『では、起こしてきますね!』
オレは走って大部屋に向かった。
『皆さーん!!起きてくださーい!!』
隊1「なんだ?」
隊2「さぁ?」
ブツブツ言いながらも起きる隊士達。
『起きた人は暖かい格好をして、広間に集まってください!近藤さんから話があるので。』
隊1「局長が!?」
隊2「急げ!!まだ寝てる奴も起こさねぇと!!」
バタバタし始める。
オレはそれを確認して、一旦部屋に戻って広間へと向かう。
広間に入ると一番先に目にはいったのは土方さんだった。
〔めっちゃ機嫌悪!!〕
その横では皆が集まるのを待っている笑顔の近藤さん。皆が揃うと、
近「今から雪合戦をやる!」
皆「「「「は?」」」」
近藤さんは何の説明もなしに、今からやることだけを言うから、皆がポカーンとしてしまった。
歳「何なんだ?近藤さん。いきなり雪合戦なんて…」
皆が聞きたいことを代表して土方さんが聞く。
近「いやなぁ…───────というわけだ。」
歳「光、余計なこと言ってんじゃねぇ!!」
近藤さんの話を聞くと、こちらを睨みながら言ってくる。
『余計なことじゃぁないですよ。どうせ、3馬鹿あたりはやるだろうし、雪積もってんなら皆でやったほうが楽しいかなって♪』
歳「その考えが余計なんだよ!!」
『違いますよ。ね、近藤さん。』
近「そうだぞ歳。皆と仲良くなれる機会なんだからな。」
歳「…はぁ…勝手にしてくれ。俺は参加しねぇからな。」
『土方さん土方さん。本当に参加しなくていいんですか?今回も色々考えましたよ。まだ皆さんにも言ってませんが。』
歳「…説明しろ。」
『はい。まずは、ここにいる人を4つにわけます。そして、競いあいます。終わりまでで各自で残ってる人数を数えて、多かったところが勝ちです。これは敵がわかりやすいように、手拭いの色で判断してください。勝ったところの人達は、1週間負けた人の夕餉のおかずを1品いただけるってことで♪』
永「それ面白そうだな!俺はやるぜ!!」
平「オレも!!」
総「近藤さんがやるなら僕もやります。」
山「面白そうですね。私も参加しましょう。」
一「…俺も参加しよう。」
『土方さんは?』
歳「……やるよ。」
『平隊士の方でできないかたは?』
シーン…─
『いないようなので4つにわけます。あ、今回もスーちゃん呼ぶので、お願いします♪
平隊士はてきとーに作ってください!幹部の人はわけます。くじ引きで♪て、ことで引いてください!』
準備したくじ引きを引かせる。
割り箸の先に色を塗っただけのものだ。
総「僕は青です。」
永「俺は緑。」
平「オレも緑!」
次々引いていき
近藤さん,山南さん,一
土方さん,永倉さん,平助
沖田さん,原田さん,オレ
スーちゃん,谷さん
となった。他の幹部は隊務という、巡察があるため入れない。
『平隊士の方々は決まりました?』
隊「「「はい!!」」」
『それじゃぁ、代表の4名はこれを引いてください。』
平隊士の代表4名がくじを引く。
八「俺は緑。」
楠「俺は青。」
安「僕は赤。」
蟻「俺は黄。」
『緑は土方さん、青は沖田さん、赤は近藤さん、黄はスーちゃんのところへいってください。』
平隊士達が移動する。
歳「…山野、平助を盾に使ってでも生き残れ!!」
平「な!?酷い!」
永「んじゃぁ、俺も平助盾に使うか。」
平「ぱっつあんまで…」
平助は隅の方に行き、体育座りを始めるが、誰も慰めには行かない。
『それじゃぁ、外に出て始めますよ!!雪合戦といっても、罠を仕掛けたりするのも楽しいので許可します!』
山「楽しくなりそうですね。しかし、昼はどうしますか?」
『昼は自分で何か適当に食べるか、源さんにお握りを作って貰えるか聞いてみます。出来たら、広間に置いて置くように頼んでみます。ですが、その間も敵がいるのをお忘れなく♪』
歳「いつまでだ?」
『夕餉までか、源さんが止めた時です。』
歳「とっとと、外に行きやがれ!!」
土方さんが平隊士に怒鳴るとバタバタと、急いで出ていく。
そして、中庭に全員揃う。平助も誰も慰めなかったため、自分で立ち直っていた。
『あ、言い忘れてましたが手拭いを用意したので、各々味方がわかるようにつけてください。相手に手拭いをとられたら負けです。
ただし、これはあくまでも雪合戦なので、怪我をしない程度にしてください。では、雪合戦の開始です!!』
オレが言うと、各自雪玉を作り投げ合う。
そして、気絶した相手の手拭いを奪っていく。
気絶した人は皆そのまま放置している。
『沖田さん、ちょっと。』
総「何ですか?」
近寄ってきた沖田さんに、ボソボソと耳打ちで話す。
総「……それ面白そうですね♪わかりました。
他の方にも伝えます。」
沖田さんは足早に他の隊士の所へ行ってしまう。
オレが考えた作戦を実行するためだ。
まず、強敵の土方さんを倒す。
その間に、平隊士が平隊士を攻撃する。
それでもって土方さんの意識をこっちに向ける方法を、沖田さんは面白そうと言ったのだ。
土方さんのある意味弱点。豊玉発句集だ。
句を言えば、地獄耳の土方さんには聞こえるはず!
総「雪玉用意しました。」
沖田さんに声をかけられ、後ろを振り向くと、平隊士がいて、その後ろに雪玉の山ができている。
『では呼びますか!』
総「はい♪」
『「おもしろき 夜着の列y「だあぁぁぁ!!総司ぃ、光止めやがれぇぇぇ!!」嫌ですよ♪』」
オレ達は見事に土方さんを召喚した。
まぁ……1人で来るのは予想外だったけど。
多分、聞こえた瞬間、1人だけ走ってきたんだろう。
だが、こっちには有利な状況♪
『皆さーん!!雪玉投げてください♪』
歳「うわっ!!」
『…チッ。そう簡単には当たらないか。』
飛んでくる雪玉を避けている土方さんを見て、つい舌打ちをしてしまう。
歳「てめぇ今、舌打ちしただろ!」
『しましたが何か?だって当たってくれないのが悪いんですよ。』
歳「当たり前だろうがぁぁぁ!!」
土方さんがオレを殴ろうとして近づいてくる。
その瞬間、オレは土方さんの背後を見て、ニッと笑った。
土方さんは気づき、後ろを向いた瞬間、
ボスッ
顔面に雪玉が直撃する。
土方さんが肩を震わせている間にオレは後ろから手拭いを奪った。
『沖田さん、手拭いを奪ったから、次はスーちゃんです♪』
総「はい♪」
オレと沖田さんはそのまま土方さんを放置していくが、平隊士は後が恐いのか、そこから動かない。
『仕方ないなぁ…沖田さん、平隊士は放っておいて、オレ達だけは生き残りますよ!!』
総「当たり前です!!あ、近藤さんは駄目ですからね。」
『わかってます。』
オレ達は、黄色の手拭いの人が集まっている場所の近くまでいく。
『相手は谷さんと丞…気をつけてください!』
総「光さん、僕がそう簡単にやられるとでも?」
『思ってません!けど…甘味に釣られそうな…』
総「な!?僕はそこまで食い意地張ってません!!」
『そうですか?…あっあそこに団子が!!』
総「どこですか!」
『…………。』
総「光さん、なんですか?その目は。」
『…何でもありません。』
〔大丈夫か……?〕
オレはもう1度沖田さんを見てから、黄色の手拭いの丞を捜す。
が、やはり女装なので簡単に見つかる。
そこまでいくのに、平隊士達はいないから、罠が仕掛けられている可能性が高い。
それに…谷さんと仲良くお茶を飲んでいて、そのお盆にはみたらし団子ものっている。
沖田さんをチラリと見ると、目を輝かせている。
〔丞考えたな…沖田さん、飛び出していきそう…〕
そう思っていると、
総「光さん、どうやってあそこまで行きます?」
沖田さんは意外にも飛び出さなかった。
総「なんですか?そんなに意外ですか?」
『…はい。』
総「僕だって罠だってことぐらいわかりますよ。ですから、同じ監察方の意見を聞いてから、あの団子を取りに行ったほうが、確実に得られると。」
〔うん、やっぱり沖田さんは沖田さんだ。〕
団子を取りに行くための作戦を聞かれていたと、すぐに思いつかなかったオレは沖田さんの甘味好きを甘くみていたのだろう。
ま、それはさておき、
『沖田さん、あの2人の手拭いを取れば、簡単に団子は手に入りますよ?』
兎に角、雪合戦だと沖田さんに思い出させるとこからだ。
総「そうでS「総司ぃ、光!!どこだぁぁぁうおっ!!」…やっぱり、罠があったみたいですね。」
雪の中に落ちていく土方さんを見て、沖田さんは言う。
〔てか、土方さんもしかして平隊士達を無視してオレ達を追いかけてきた訳?〕
そんなことを思っていると、オレと同じ青の手拭いをした平隊士が土方さんの後を追ってきており、そのまま罠に吸い込まれていった…
総「…後は僕と光さんだけですね。」
『そうですね…』
丞「なんやねん、沖田はん用の罠に土方はんと、沖田はんの青の平隊士が落ちとるで?」
そんなとき、丞の話声が聞こえた。
谷「とりあえず、手拭いを……?」
谷さんが言いかけて止まる。
多分、土方さんの手拭いがなかったからだろう。
谷「土方副長、貴方は何を?」
歳「総司と光を捜してただけだ。」
谷「貴方達は?」
隊1「俺達は光さんが土方さんの手拭いを、後ろから奪い、雪玉を土方副長に俺達が投げたので…後々が恐くて、謝ろうと追いかけてきたら「此所に落ちたと。」…はい。」
正直に谷さんに話す人達。
丞「青は後、あの3人だけやな。」
谷「山崎さん、どうしますか?」
丞「そやなぁ…沖田はんは近藤はんで何とかなりそうやけど…」
ニッと笑みを浮かべ、丞が言うと沖田さんがピクリと反応する。
その前に、谷さんがスーちゃんが丞ってことに気づいてたのに驚く。
まぁ、『山崎』で平隊士はわからないだろうけど。
総「光さん、先に近藤さんを捜しません?」
『……近藤さんの居場所ならわかりますよ。』
沖田さんの目が
[近藤さんに何かしたら、誰であろうと殺す]
と訴えていた。
総「えっ…わかるんですか?」
『はい。行きますよ、沖田さん。』
沖田さんを連れ、屯所の中へと入り、山南さんの部屋の前にきた。
総「……ふざけてます?光さん。」
『ふざけてませんよ…山南さん、近藤さん入りますね。』
オレが障子を開けると、将棋をやっている2人の姿があった。
山「おや、見つかってしまいましたね。」
『沖田さん、いるでしょ。』
近「私達を捜してたのか。」
総「はい。光さん、すみません…でも何でわかったんです?」
『この2人は土方さんが仕事をしないように、雪合戦に参加すると言ったんです。んで一応参加しているけど、平隊士は雪玉を当てるなんて出来ないだろうし、幹部はある意味で出来ないから、2人は時間潰しのために将棋をやってると思ったんです。ちなみに山南さんの部屋だと思ったのは、近藤さんの部屋は書類で埋まってるからです。
ですよね?』
山「その通りですよ。2人共、お茶菓子でも。」
山南さんが饅頭をくれる。
総「わーありがとうございます♪」
沖田さんはその場に座り、食べ始める。
『えっ?あの沖田さん…』
総「なんれひゅかぁ?」
『…………。』
モグモグと食べながら話す沖田さん。
過去に、
「食べながら話さないでくださいよ」
と言ったのは沖田さんだと言うのに。
山「まぁまぁ、此所にいれば流石に雪玉は飛んできませんから。」
近「そうだぞ。
ゆっくりしていってくれ!」
総「僕はそのつもりです♪」
『それ食べたら行きますよ、沖田さん。あ、それから近藤さんに山南さん、後でお握りと何かあれば、漬物を持ってきます。それまで、沖田さんも生き残ってたら一緒に来るので、皆で食べましょう。』
山「いいのかい?私達は敵ですよ?」
『攻撃していいd「駄目です!!」…ってことなので。ま、決まりは勝者のところ全員なので、オレと沖田さん、近藤さんと山南さんだけが残っていれば、引き分けになるってことで。』
山「そうですね。」
『山南さんにちょっと頼みごとが。』
山「なんだい?」
『はい♪
あの──────────────いいですか?』
ぼそぼそと山南さんだけに聞こえるように言い、最後に黒い笑みを浮かべる。
そして
山「喜んで引き受けますよ♪」
山南さんも黒い笑みを浮かべ、語尾に♪をつけるほどだ。
その時、近藤さんと沖田さんに見えないように、2つの小瓶を受け取る。
総「あそこは何を考えたのでしょうか?
気になりますね、近藤さん。」
近「んー山南君、何を企んでるんだ?」
山「企んでるなんて…ちょっとした悪戯ですよ。」
『後でわかりますから♪沖田さん、行きますよ。』
総「待ってください、光さん!それじゃぁ、また後で来ますから♪」
背後で沖田さんが言い、オレを追いかけてくる足音だけが屯所内に聞こえる。
源さんも今は外出しているようだ。
多分、夕餉の買い出しだろう。
『よし、沖田さんはちょっと外で見張っていてください。昼に作ると危ないんで、今お握りを作っちゃいます!』
総「わかりました♪」
沖田さんがオレに背を向けて、見張りをし始めたのを確認し、炊いて置いて貰った白米をお椀にいれ、少し転がしたあとに塩をつけ素手でお握りを作っていく。
勿論、近藤さんと山南さん、沖田さんと自分のものは2つずつ作るが、それとは別に大きなお皿に20個ぐらいのお握りを別で作る。
その際に…懐から山南さんに貰った痺れ薬と眠り薬を仕込んだ。
『よし!』
総「出来たんで…多くないですか?」
『こっちは広間に置いて置くんです♪』
総「なんか…楽しそうですね。」
『内緒ですよ?』
まわりに誰もいないことを確認し、
『これには、山南さんに貰った薬が入ってます♪』
沖田さんに小声で言う。
総「あ、もしかしてさっき山南さんと話してたのって…」
『このことです♪』
総「さ、広間に置きに行きましょう♪」
沖田さんは口元に笑みを浮かべ、オレの背を押す。
『行きますよ。』
オレ達は広間に着くと、広間の中心に山積みになっているお握りを置いて、広間を後にする。
総「でも、誰か食べるでしょうか?」
『それは大丈夫ですよ。皆、源さんが作った物だと思いますから。』
総「そういえば…始める前に言ってましたね。」
『そういうことで…この辺りから誰が食べるか、見ましょうか♪』
総「山崎君が食べてくれるといいんですが…」
『食べないでしょう。あの人は見ただけで誰が作ったかわかりそうですよ。』
総「それじゃぁ…せめて山崎君のとこの平隊士と谷さんが食べてくれると良いd『しっ!』……。」
『誰か来ました!』
ボソリと呟くと沖田さんは首を縦に振る。
そして天井の板を1枚外し、部屋の様子を見る。
あ、今のでわかったと思うけど、この辺りというよりも、天井裏に沖田さんと上っただけ♪
ぞろぞろと広間に来たのは先頭に永倉さんだ。
その後ろに土方さんのとこの平隊士達。
皆で行動しているようだ。
そして何か話しているようで、耳をすませば
永「……か、土……が先にや……とはな…」
途切れ途切れだが、何を話しているのかわかった。
更に聞き耳をたてていると、
永「お、握り飯があるぞ!!」
と今度ははっきりした声が聞こえた。
永「源さん、仕事早いなぁ。」
『あ…食べた。』
永倉さんがお握りを手に取ると、平隊士達も手に取り口に入れた。
バタ バタ バタバタ
次の瞬間、次々に倒れていく。
『これで敵がかなり減ってな。』
全員が気絶したのを見計らって天井から下り、緑の手払いを回収する。
『さてと、沖田さん。
近藤さんのところでお昼を食べにいきましょうか。』
総「はい♪」
オレは元気よく返事した沖田さんの後について、山南さんの部屋まで行く。
総「近藤さーん、お昼です♪」
沖田さんはスゥーと障子を開ける。
山「どうでしたか?」
オレ達が座ると、指で眼鏡をクイッと押し上げながら山南さんが聞いてきた。
『一応、成功です。
ただ、食べたのが永倉さん達が食べて、緑はあと、平助と山野さんだけです。』
山「流石に作戦通りにはいきませんね。」
『人数を減らせただけ「おーい。光ぅ総司ぃ。」……そういえば原田さんもいましたね。』
総「そういえば、後3人って話してましたね。」
沖田さんが山南さんと近藤さんにお握りと沢庵を渡す。
『……原田さん、こっちです。』
とりあえず、オレは原田さんを山南さんの部屋に入れる。
原「こんなとこにいたのか!あ、これ。」
原田さんは懐から緑の手払いを2つと黄色の手払いを3つ取り出した。
『それは平助と山野さんのですか?』
原「ああ。さっき黄色の手払いとやりあっていたときに、めちゃくちゃに投げてたら見事に山野に当たりそうになって、山野は平助を盾に使って回避。そこに、俺の続けて投げた雪玉が当たってな。」
『運強いですね。』
オレは自分のお握りを1つ原田さんに渡す。
原「いいのか?ありがとな!」
原田さんはお握りを受け取ると、すぐに食べた。
原「そういえば、光達は何でここにいんだ?一応、山南さん達は敵だろ?」
『ああ、協同戦をしているんです。それに沖田さんがいるんですよ?』
原「そういうことか。斎藤には伝わってんのか?」
『…………。』
近「心配いらんぞ。総司が来る前に1度、こちらに来たので伝えておいた。」
山「それと僕達の赤手払いの平隊士は全滅したそうです。」
『残る幹部は赤、近藤さんと山南さん、一。
青、沖田さんと原田さん。
黄、谷さんとスーちゃん。』
山「やはり、山崎君は手強いですね……。」
『オレが囮となるので、まずは谷さんの手払いを狙いましょう。それからスーちゃんです。』
総「でもどうやります?相手はあの山崎君ですよ?
谷さんも頭が切れますし。」
『オレに任せてください。まずは─────────────で行きます!』
原「俺は賛成!」
山「いい案なのでは。」
近「私も喜んで協力するぞ!」
総「僕もいいと思います。」
『では、お昼が終わったら行動開始です!』
─────
───
──
オレは近藤さんを隣に黄の手払い陣地まで進んでいく。
『近藤さん、すみません。』
近「大したことはない。」
オレの考えた作戦。
それには近藤さんが重要だ。
まず、オレと近藤さんは手払いを外し、庭を一緒に歩きながら谷さんに近づいていく。
オレは近藤さんに謝りながら歩く。
他から見たら、オレが近藤さんに雪玉をぶつけてしまったように見せる。
それから近藤さんが谷さんに声をかけて、その間に素早く谷さんの背後に回り、手払いを取る。
沖田さんと原田さんはその間、他の黄の手払い平隊士を潰す。
山南さんは部屋で待機だ。
『近藤さん、本当にすみませんでした。』
近「仕方ないよ。雪合戦なんだから。」
『いやでも……一応局長なんですし。』
近「そう気にすることはない。それにお互い様だろう?」
『確かにそうですが……。』
オレは頭に手をやる。
近「お、谷さん。そちらはどうだ?私は光さん達に取られてしまってな。まぁ、光さんのも私達が奪ったが。」
豪快に笑いながら谷さんに話しかける。
谷「はあ……こちらは後、山崎さんと私だけのようです。」
谷さんは回りを見ながら言う。
近「私のところも後、山南君と斎藤君だけだよ。」
谷「幹部同士の戦いになりますね。」
オレはその間、素早く谷さんの背後に回り、手払いを奪おうとした、その時。
ヒュンッ
グサッ
クナイが飛んできて、オレは慌てて避ける。
だが、手には谷さんの手払いをしっかり掴んだまま。
丞「ちっ。間に合わへんかった。谷さん、すんまへん。」
谷「おや?いつの間に。」
谷さんは頭に手をやるとコテンと首を傾げる。
丞「谷さん、光はまだ手払い持ってるんや。ちなみに近藤はんもな。」
谷「へ?私は騙されたということですね。」
丞「……光、1対1でやらへんか?」
『オレと1対1?スーちゃん、負ける気?』
丞「誰も負ける言うてないで。」
『いいよ、やろうか。近藤さんは戻っていてください。沖田さんと原田さんも。』
総「……わかりました。負けないでくださいよ。」
沖田さんの言葉にコクリと頷くと丞と向かい合う。
そして、ジリジリと後退りしながら、木の影に隠れた。
急いで雪玉を作りながら、丞の気配をしっかりと捕らえながら様子を伺う。
暫くすると気配がこちらに近づいてきた。
オレはパッと木の影から出て、気配のする方にいくつか雪玉を投げる。
が、気配は相変わらず動いたまま。
雪玉は全て避けられた。
『流石、監察方。だけど、素早さはオレのほうが上なんだよっ。』
飛んで来た雪玉を避けて、更に雪玉を投げ返す。
オレは雪玉を大きめなものと中くらいのもの、小さいものと3つ作り、大きい雪玉から間隔を開けずに大中小と丞に向かって投げた。
見事に1つの雪玉が丞の顔に直撃し、その瞬間を見計らって気配を消し、丞の背後に回り、首に手刀をおとし、気絶させた。
オレは丞の頭から手拭いを取り、山南さんの部屋に向かう。
『山南さん。』
山「終わりましたか。」
『はい♪』
オレは丞の黄の手拭いを出す。
一「……今回はなにもできなかった。すまぬ……。」
『そういえば一はどこにいたんだ?』
一「……庭で震えていた猫を部屋で暖めていた。」
一はそう言って、組んでいた腕をほどくと、ゴソゴソっと懐から子猫が顔を出した。
『可愛いですね。』
一に近寄り、子猫の頭を撫でる。
何故後ろから殺気を感じるが無視だ。
近「雪合戦はこれで終わりだな。そろそろ夕餉の刻になるしな。
総司、悪いが源さんに終わりだと伝えてきてはくれないか?」
『あ、オレが行きますよ。ついでに夕餉の準備を手伝いに。』
オレは山南さんの部屋を出て、台所に向かう。
『源さん、雪合戦を終わりたいんですが。』
源「わかったよ。米を炊いているから見ていてもらってもいいかい?」
『はい!』
源さんが台所を出ていく。
オレは米を見ながら、味噌汁を作り始めた。
永「よぅ……光。」
そこへ、眠そうな永倉さんがやって来た。
『あ、起きたんですね。』
永「ああ。まさか握り飯に薬が仕込んであるとはな。
寝過ぎたせいで余計に眠くてよ。
源さんが雪合戦は終わりって言ってたんだけどよ、誰が残ったんだ?」
『オレと近藤さん、山南さんと沖田さん、一と原田さんだけ。」
永「要するに、赤と青の勝ちってことか。」
『そうなりますね♪永倉さん、今日の夕餉のお浸し貰いますね』
永「俺の夕餉ぇぇ!」
永倉さんは叫びながら台所を出ていった。
入れ違いで源さんが戻って来る。
源「まさか、気絶させた人達をそのまま放置してるとは思わなかったよ。」
『運んでる間にも狙われますからね。』
源さんと話ながら夕餉を作っていく。
『……あとは運ぶだけですね。島田さん、お願いします。』
魁「任せてください。」
途中から夕餉作りに加わった島田さんに運ぶのを任せ、平隊士のいる大部屋から幹部の部屋を順に回っていき、最後に広間に入る。
総『光さん、こっちです!」
広間に入ると若干、いつもと並び方が違う。
『どうした「くっしゅんっ。」……山野さん風邪?」
八「あーそうみくっしゅんったいです。」
くしゃみをしながら話す山野さん。
他にも山野さんの周辺でゴホゴホ咳をしている人がいる。
『もしかして……。』
歳「ああ。雪合戦で風邪をひいた奴等と席を離したんだ。」
『雪合戦ぐらいで風邪……。』
近「風邪の人もいることだ。早く食べて早く寝ようじゃないか!源さん達に感謝していただきます!」
皆「いただきます!」
元気の人達は一斉に食べ始めるが、具合の悪い人はチビチビと食べ出す。
オレは食べてる途中、あまりにも風邪が酷すぎると判断した人達を広間から追い出した。
病人が残した夕餉は雪合戦で勝った人達で食べよいとしたが、多すぎたので皆で分けて食べる。
夕餉を食べ終わった後。
台所に立ち、お粥を作る。
『すみません源さん。後片付けを任せてしまって。』
源「いいんだよ。皆にほ早く元気になってもらわないといけないからねぇ。」
出来立てのお粥を持って大部屋に向かう。
『お粥を作ったので、食べられる人は食べてください!』
平「ごめんな。ありがと!」
平助が真っ先に食べ始めた。
話した声は変だったが。
『平助は明日にでも治りそうだな。』
平「当たり前!風邪なんてすぐに治してやる!」
『それじゃ、食べ終わったら部屋の外に出しといて。後で丞に薬、持ってこさせるから。』
平「了解っ。」
オレは自室へ向かうと丞に話しかける。
『丞、大部屋に薬お願い。』
丞「…………。」
『何?オレに負けたのがそんなに悔しかった?』
丞「……ちゃう。」
『じゃあ何?』
丞「……あんな寒い中、夕餉まで人を放置する奴がおるか!隈を殺すきか!」
『……そのわりには元気じゃん。』
丞「隈を誰やと思ってる?優秀な監察方やで。」
『じゃあいいじゃん。早く薬。優秀な監察方なんだろ?』
丞「しゃあないなぁ。」
『あ、ついでに後片付け宜しく♪』
丞「はぁ?それは光の仕事ちゃうんか?」
『ん?丞は優秀な監察方なんじゃないの?後片付けも出来ないの?』
オレはコテンと首を傾げる。
丞「///しゃあないなぁ。今回だけやからなっ。」
丞は何故か顔を赤くして部屋を出ていった。
〔丞も風邪かな?〕
オレはあまり気にもとめずに、風呂にいこうと支度はするが、面倒になり布団を敷く。
〔風呂、朝入ればいいよな。〕
そのまま、布団に潜り込み眠りについた──
丞「風邪ひき多すぎやろ!」
オレが寝た後、丞が看病で朝を迎えたのを知るのは後日となる……─────