★ある1日
最後のほうからすごくてきとーになりました。
すみません
** ある1日 **
ハロウィンから数日後。
土方さんを指名した源さんが、命令を出した。
源「今日は仕事をせず、光さんと一緒に出掛けてきなさい。」
こんな命令だった。
屯所にいると、仕事ばかりしている土方さんに休息をと、思ったのだろう。
オレ的には源さんも働きすぎだと思うが。
そういうわけで、オレは今、土方さんと並んで歩いている。
土方さんはさっきから一言も話さず、物凄く気まずい。
『あの、土方さん?』
とりあえず、オレから声をかけてみる。
歳「…何だ。」
『何処に行きましょうか?』
歳「てめぇが決めろ。」
『ん…─甘味処。』
歳「あそこでいいだろ。」
近くにあった甘味処に足を向ける。
暖簾を潜ると、
女「いらっしゃい。」
女性が席まで案内してくれる。
そして注文を聞くとパタパタと行ってしまう。
?「あれ?珍しいですね。土方さんが甘味なんて。」
歳「あ゛?総司、何でてめぇが此所にいんだよ?」
総「何でって甘味食べにきたんですよ。
他に何しにくるんですか?」
歳「………はぁ…」
総「何ですか?そのため息は。失礼ですね。」
歳「……。」
総「なんか話してくださいよ。」
歳「……。」
『駄目だ。さっきからあんま喋んないんだよな。どうにかなんないか?』
総「無理ですね♪
まぁ頑張ってください、光さん。」
『えー…無理。
オレも帰りたい。』
歳「帰るか。」
『えっちょっ…土方さん、呉服屋行きたいです!!』
歳「は?」
『だから呉服屋ですって!!』
歳「それはわかった。
てめぇさっき帰りてぇって言ったじゃねぇか。
てめぇが帰りたくなるまで、俺も帰れねぇんだよ!!」
『まぁまぁ…とりあえずこれ食べて呉服屋行きましょう。』
歳「……。」
土方さんは注文したみたらし団子を食べ始める。
〔危なかった…源さんに夕方まで帰ってきたら駄目って、言われてたの忘れてた…〕
心のなかでホッとする。
源さん怒らせると恐いからだ。土方さんには悪いけど、付き合ってもらうしかない!
オレは3色団子を口に入れながら土方さんを見る。
既に食べ終わっていて、
歳「早く食いやがれ!!
んで、呉服屋行ってとっとと、帰りてぇんだからよ!」
と、目が語っているように感じてしまった。
〔さっきより機嫌が…うぅ…どうしよ。めっさ時間あんだけど…〕
歳「まだか?」
考えていると、土方さんに声をかけられる。
『すみません、これで最後です。』
最後の1本を食べる。
『ごちそうさまでした。』
歳「食ったなら早く行くぞ。」
土方さんは席をたち、お代を払うと店の外へと出ていく。
『あ!おいていかないでください!』
慌てて追いかける。
歳「早くしやがれ。」
振り向き、言うと立ち止まる。
『すみません。』
オレが追い付き、また歩き出す。
歳「で、呉服屋に行って着物でも買うのか?」
『いえ、オレの給金じゃぁ、まだ買えませんよ。
ま、下見みたいなもので行きたいだけです。』
オレが目的を言うと、土方さんはピタリと歩みを止めた。
『どうした…』
土方さんの顔を除きこんで、オレは固まった。
鬼の形相だったからだ。
〔うわぁ…背後に般若が見えるぅぅ!!〕
歳「呉服屋以外にしやがれ!!
なんで俺が買わないのに行かなきゃぁいけねぇんだよ」
『怒ってる原因はやっぱそこですよね…』
歳「当たり前だ!!」
『わかりましたよ。
それじゃぁ、見世物小屋に行きましょう。』
歳「………行くぞ。」
土方さんは一言言うと、歩き出す。
〔今度は大丈夫っぽい♪〕
そんなことを思いながら土方さんの後を歩いていると…
〔殺気…?〕
『土方さん。』
歳「わかってる。」
そう言い、店と店の狭間に進み、少し開けた場所に出た。
回りに町人が居ないのを確認し、
歳「出てきたらどうだ?」
物陰にかくれていた人達に土方さん言う。
その声に、浪士達10名ほど出てきて、オレと土方さんを囲む。
『……雑魚じゃん…』
歳「お前なぁ、思ってても口に出すなよ。
相手を逆撫でするだけだ。まぁ、俺も雑魚だと思ったがな。」
『土方さんのほうが酷い言いようですけど…』
歳「ああ゛?」
『いえ、なんでもありません。
それより、とっとと片付けましょうよ。』
歳「そうだな。」
オレと土方さんは敵に向き直る。
浪1「新選組の土方歳三か?」
歳「だったらどうするよ?」
浪1「命頂戴する!!」
1人の浪士が此方に向かって走ると、他の浪士達も此方に向かってくる。
歳「たった10人で俺に勝とうなんざ100年早ぇんだよ!!」
刀を抜きながら土方さんは足を使い、地面の砂を蹴りあげる。
敵が一瞬怯んだ。そこに、土方さんが刀を振り落とす。
ザシュッ
バタッ
敵は倒れる。
『うわぁ…土方さんが戦ってるの初めて見たけど…』
歳「何だよ!!」
浪士を斬りながら聞いてくる。
『別になんでもありません。』
オレも浪士を斬りながら答える。
歳「…卑怯とか思ったんだろ?」
『………。』
〔よくわかったなこの人。〕
そう思っていたが、何も言わない。
歳「戦いかたに卑怯とかねぇんだよ。
てめぇの命を守るためだからな。」
『知ってますよ。
土方さんの戦いかたは、未来の書物にも載ってましたから。』
敵を全て斬り終え、刀をしまいながら言う。
歳「そうかよ。」
『これどうします?』
歳「あとで山崎に片付けてもらう。それから、奉公所に知らせて、報告書を作る。」
『大変ですねー。』
歳「屯所に帰るぞ。」
土方さんは死体を放置して、歩き出す。
『待ってくださいよ。』
土方さんについて歩き、屯所についた。
屯所につくと、土方さんは自分の部屋へと行ってしまう。
オレは源さんの元へと行く。
『源さん。』
源「もう帰ってきたのかい?」
『すみません。
でも、浪士に襲われて報告書を作らないといけなくなったので。』
源「…そうかい。
またどうにかして、土方君を休ませないとな…」
『それなら、仕事の合間に源さんが誘って休憩をとらせればいいんですよ。
お茶とお茶菓子を持って。』
源「それもいいかもしれないねぇ。」
『そうですよ。
そうすれば、浪士に襲われることなくゆっくりできますから。』
源「そうだね。そうするよ。」
源さんは笑みを浮かべ、仕事に戻っていった。
オレはこのあと土方さんの部屋を訪れたが、報告書を作り終わり、仕事をしていた。
土方さんはどうしても仕事をしないと、駄目なことがわかった1日だった。