★ハロウィン
壬生寺に栗の木や桜の木が当時あったのかわからないまま書きました。
なかったらすみません
** ハロウィン **
10月31日
オレがいた時代ではハロウィンの日だ。
オレは皆にハロウィンをやってもらうため、土方さんの部屋を訪れていた。
『土方さん、ハロウィンやりたいです!!』
歳「はろうぃん?何だそれ。」
『オレのいた時代で10月31日にハロウィンをするんです。
ハロウィンは仮装、まぁ…変装みたいなものです。それをして、お菓子を貰ったりするパーティーです。
ちなみにパーティーは宴みたいなものです。
お菓子を持っていない人には、悪戯をすることが出来ます。』
総「へぇーなんか面白い話をしてますね。
何で僕を呼んでくれないんですかぁ?」
いきなり障子を開け、沖田さんが言う。
『決まったら、皆に説明しようと思ったから。』
総「やりましょうよ♪」
歳「…隊務はどうすんだよ。」
『自由参加にしようと思うので、参加したい人は隊務を何処かでかわってもらえばいいんですし。
あと時間を決めれば、何とかなるんじゃないですか?
それから、局長と副長は絶対参加してもらいたいです。』
歳「……やっていいぞ。息抜きにもなるしな。あと、俺は参加しねぇからな。」
『えーなんでですかぁ?』
歳「別にお菓子なんていらないんでな。」
『お菓子っていっても、何でもいいんですよ…食べ物なら。例えば…沢庵とかでも。』
沢庵をだしたとき、土方さんの肩がピクリと反応する。
『ちなみに、一番多くお菓子を集められた人には、誰かを1日自由に使えるってどうです?
この誰かは、参加してない人からも選べるってことで。』
歳「それ、参加した人だけが得すんじゃねぇか。
…わぁったよ…参加する。近藤さんと山南さんはあとでききにいけ。
忙しかったら、参加は無理だからな。」
『はーい♪
それじゃぁ、主なきまりを作ってきます!それは夕餉の時に発表します♪』
歳「わかったから、とっとと総司連れて、部屋から出ていけ!」
オレは立ち上がり、沖田さんの腕をつかんで、土方さんの部屋を後にする。
総「引っ張らないでくださいよー。」
後ろで沖田さんがそんなことを言っていたが、聞いていなかったことにする。
それから丞の部屋に入り、シャーペンとノートを取り出す。
総「光さん、それなんですか?」
目を輝かせ聞いてくる沖田さん。
『これは筆と紙みたいなものです。』
総「筆ですか?でも墨がありませんよ。」
『墨は使いませんよ。』
総「どうやって使うんですか?」
『ここの先を押すだけです。』
総「押してみたいです!!」
『いいですよ。』
オレは沖田さんにシャーペンを渡す。
沖田さんは嬉しそうにシャーペンを受け取り、オレに言われたように押す。
「…あれ?
下のほうから何か出てきました。
あ、でも僕が壊した訳じゃないですよ?言われた通り押しただけですよ!」
早口で、言い切る沖田さん。オレは笑いながら
『それでいいんですよ。壊れてませんよ。』
総「本当ですか。よかったです、壊れてなくて♪」
『それじゃぁ、決まり作りますよ。
まずは、幹部全員は絶対仮装する事!!』
総「仮装の服はどうするんです?」
『オレが作ります!!
後は、勝手に選んで着てください。』
総「面白そうですね♪」
沖田さんが凄くワクワクしている。
『次は…
同じ人からは、お菓子は貰わないこと。』
総「えー…駄目なんですかぁ…」
今度はしょんぼりとする沖田さん。
見てて面白い。
『んと、終わった後に余ったお菓子は食べていいことにする。』
総「それならいいです♪」
『それから…お菓子がなくなったら、退場するか、悪戯されるか選ぶ。』
総「退場はなしにしませんか?
その方が面白くなります!!」
『んー…そうするか。
お菓子は、貰ったお菓子をあげることも可能にします。』
総「はい!」
『それと…時間は半刻。貰ったお菓子の数が多い人が、誰か1人を1日使える。拒否権はなしってとこか。』
総「それって、食べたお菓子も数に入れてもいいんですか?」
『それは駄目です。
正確な数がわからなくなりますから。』
総「そうですか…」
『沖田さんに仕事してもらいたいんですけど、いいですか?』
総「…僕がやりたいものでしたら。」
『まずは買い出しに付き合ってください。
それと、オレが作るお菓子の味見をお願いします。』
総「やります♪」
それからすぐに夕餉になり、隊士達に簡潔に決まりまで説明する。
山「面白そうですね。私は参加しますよ。」
近「私も参加するぞ!」
山南さんと近藤さんが笑顔で言う。
隊1「あのーそれはオレ達、平隊士も変装しないと参加できないんですか?」
1人の隊士が手を挙げ、質問をしてくる。
『いえ、幹部は強制ですが貴方達は自由で構いません。したい人はぜひしてください!』
永「なぁ、幹部は全員参加だけど、巡察のやつは?」
『その日の巡察は鈴木さんと武田さんでしたから。』
永「そうか!」
自分では無かったことにあからさまに喜ぶ永倉さん。
『他に質問は…ないですね。』
他の人が手を挙げることがなかったため、その場は終わった。
あとは当日の楽しみとなる。
──────────
総「沢山買いましたね。」
両手にある荷物を見ながら、沖田さんが呟く。
『隊士全員分のお菓子を作りますからね。』
オレは沖田さんと町に買い物に来ていた。
ハロウィンの準備だ。
総「で、僕が味見をする♪」
そう言いながら歩いていると、屯所についた。
『とりあえず、まだお菓子を作るのは早いので部屋に入れておきます。』
丞の部屋に行き、隅に荷物を置く。
『明後日がハロウィンなんだよなぁ…衣装どうしよ…』
総「そうですね、今から楽しみです♪」
『そうですね。』
〔衣装どっすかなぁ…今からだと間に合わねぇ。
神様に頼んでみたら、何かできるか?〕
オレはそんなことを考え、夢で頼むことにする。
時間がたち、就寝の時間となる。
布団に入り、灯りを消して、眠りにつく…
───────────
?「光さん。」
『あ!神様に頼みたいことがあるんだけど…』
神「クスクス…ハロウィンの衣装ですよね。明日の夜、貴女が持ってきた鞄の中をみてください。
それまでは、開けないでください。」
『わかった。あとお菓子を入れる袋も頼んでいいか?』
神「はい。それではこれで…」
スゥ───
暗闇に神様の姿は消えていった…
───────────
『んー』
伸びをしながら布団から起き上がる。
見た夢を思いだし、衣装は神様に任せることにする。
それから稽古をして朝餉の支度をし、幹部の皆を起こしてから広間へと向かう。
平「なぁ光!オレ達の服ってどんなんだ?」
平助が興味津々に聞いてくる。
『明日まで楽しみにしてろ。』
それだけいい、横にいる沖田さんに話しかける。
『沖田さん、今日の夜お願いします。』
総「う〜ん…早く寝ないといけないし…でも、お菓子は食べたいので、いいですよ♪」
悩んだような、悩んでいないような感じで返事をくれる。
『それじゃぁ、お願いします。』
そのあとはいつも通りに過ごし、夜になる。
夕餉の片付けを終えて、沖田さんと並んで台所にいる。
「よし!」
オレは気合いをいれ、次々と作っていく。
かすていらに鬼まんじゅう、団子に羊羹、そして最後にクッキーを。
この時代、便利な機械があるはずもなく、全てがてきとーに作ってある。
そうにも関わらず、沖田さんは味見をするたびに、
「美味しい」
と言う。
作ったかいがあるわけだ。
『これで明日のお菓子は出来た。ありがとうございます、沖田さん。』
お礼を言い、お菓子を持って台所をあとにする。
沖田さんも後ろで動く気配がしたから、部屋に戻ったのだろう。
オレは部屋に入ると、鞄の中を覗いた。
中にはお菓子を入れる袋と、鞄より大きい袋がいくつも入っていた。
これも神様の力というやつだろえか?
まぁ、衣装が用意できたため、それ以上は考えるのをやめる。
『さて、お菓子を詰めますか。それから丞は明日の朝には帰ってくるみたいだし、これは隠さないとな。』
お菓子を詰め終えると、衣装を押し入れの奥の方へとしまう。お菓子は、机の引き出しにしまっておく。
それから布団を敷き灯りを消す。
だが、明日のことが気になり眠れない。
オレは起き上がり、廊下に出て縁側に座る。
一「…眠れぬのか?」
『一も?』
一「いや、俺は偶々通りかかったらお前が部屋から出てきただけだ。」
『そうか。なぁ…この時代になかったことをして、何か変わると思うか?』
いきなりなのはわかっている。
だが、聞かずにいられなかった。
一「…少しは変わる…俺はそう思っている。」
『だよな。いきなりで悪かった。真面目に答えてくれてありがと!
さて、寝るか…おやすみ、一。』
一「…?あぁ。」
俺は部屋に入ると、今度こそ眠りについた。
次の日
昼餉のあと
広間に人が集まる。
『よし!今からハロウィンを始めます!!
幹部はこれを着てください!』
幹部1人1人に袋を渡していく。勿論、それぞれにあった衣装を。
永「平助、お前は犬か!」
『あ、平助は狼です。』
平「狼♪」
平助の衣装は狼だ。フードつきの、服だ。フードがちょうど狼の顔になっている。
でも、犬に見えてしまうのは仕方がない。
総「僕のこれはなんでしょう?」
歳「真っ黒だな。」
『悪魔です。あ、カチューシャは此処につけてください。』
沖田さんの頭に悪魔の触角?をつける。
総「なんで僕が悪魔なのかな?もっとなんか違うのがあったはずでしょ。」
黒いオーラを出しながら近づいてくる沖田さん。
総以外
((((本物の悪魔だ。))))
皆が同じことを思った瞬間だった。
沖田さんの衣装は全体的に真っ黒な服で、尻尾までしっかりとついていた。
山「私のこれはなんでしょう?」
『山南さんのは魔法使いです。』
山「魔法使い?」
『色んな魔法を使ったり、薬を作ったりするのでぴったりかと。』
山「それは確かに私に合ってますね。」
山南さんのはマント系の衣装で何かの魔方陣が、胸辺りに描かれている。ちゃんと杖まであった。
近「私のは…ゴリラ…わかってたけど…」
『近藤さんはゴリラの幽霊です。後ろで閉めるので、此方に背中向けてください。』
近藤さんの衣装はゴリラの幽霊着ぐるみだ。
後ろのチャックを閉め、終わりだ。
歳「もう誰だかわかんねぇよ…」
どこからみても、ゴリラだ。
近藤さんと同じ着ぐるみの島田さんは、熊だ。
誰だかわからないが、背丈や体系的に似合いすぎている。
原「俺のは…ボロボロだぞ。」
『原田さんはゾンビなので。』
原田さんはホロボロの着流しと袴だ。
少し土や血などがついている。
永「ガハハハハ…似合ってるぞ左之!
…俺のは、なんだこれ?」
『フランケンです。
それを頭から被って、そのコートを着てください。』
永「ああ。」
歳「……俺のは変なもんじゃねぇよな。」
『大丈夫です。
土方さんのは吸血鬼です。』
歳「お、これは牙か?」
土方さんは襟のたったマントを羽織り、中に入っていた小さな牙を取りだし言う。
『はい。つけてくださいね。』
土方さんは牙をつける。
総「うわぁ…ムカつくなぁ。」
近「似合ってるぞ!」
土方さんの吸血鬼は殴りたくなるぐらいに、似合っている。
谷「私のこれは…兎の耳ですね。」
『谷さん、それを沖田さんと同じようにつけてください。』
谷さんは雪兎だ。
兎の耳と白い着物を着るだけだ。
源「私はこれがいいですね。」
いつのまにか源さんが勝手に袋の中を覗き、着替え始める。
…落武者だ。
歳「…源さん、あんた何でそれを選んだんだ。」
源「私に一番似合うからです。」
笑顔で言う源さん。
歳「そうだな…」
一「…俺の衣装はどれだ?」
『一のは此だ。』
一「…羽?」
『コウモリだ。土方さんのお供的なもので悪いけど。
羽は此処につけて、あとは此を羽織って。
牙も忘れずに。』
総「僕とあまり変わりませんね。」
一「…そうだな。」
『あれ?松原さんは。』
歳「やりたくないもんで、武田と巡察に行った。」
『そうですか。
あ、幹部の他にも仮装してもらいました。ちょっと呼んできます。』
オレは広間を出て、丞の部屋に来る。
『着替えましたか?』
丞「入ってええで。」
部屋に入ると、メドゥーサの人が話しかけてきた。
?「何で俺が女装なんてしないといけないんですか!」
『えっと…』
?「一番隊の山野八十八です。」
『山野さん!?
もしかして、土方さんに頼まれました?』
八「というより、脅しに近かったです。」
『すみません。半刻だけ我慢してください!』
八「わかってます。」
『ほんと、すみません。
明里さんは大丈夫ですね。
それから…奥沢さんは少し歩くのは危なそうなので、安藤さんに手を借りてください。
新田さんは藁落とさないように気をつけて。
残ったのは…楠さん!?
凄く綺麗です!!』
楠「いや、女装して綺麗と言われても喜べませんよ。」
楠さんは女物の白い着物で少し化粧をし、頭には白くて長い髪のカツラをつけている。
そう、雪女だ。
『顔が出ているだけましですよ。約1名何か片目しかみえませんから。』
楠「でもこの人誰ですか?」
『そこは気にしないでください。』
丞「そや。気にせんといて。」
ミイラ女の仮装をした丞が言う。
『さて…広間に行きますか。幹部の方は既に着替え終わってますから。』
オレ達はぞろぞろと広間に向かう。周りから見ると、物凄く変な人達だろう。
前からオレと魔女の明里さん。
その後ろに毛布を被った奥沢さんと3つ目の安藤さん。
そして、メドゥーサの山野さんと子泣き爺の新田さん。
さらに後ろは、雪女の楠さんとミイラ女の丞だ。
広間につき、皆に待っているように言い、オレだけ中に入って戸を閉める。
総「光さん1人ですか?」
『廊下で待機してもらってます。』
歳「こっちはまだ仕事が残ってんだ。
早く始めやがれ。」
『わかりました。
皆さん、入ってきてください。』
近「おぉ、これは凄いな。」
歳「安藤に新田、あとは…誰だ?」
山「明里!?」
明「ふふ…驚きました?光さんに聞いて面白そうでしたから参加させてもらいました。」
『すみません、山南さん。』
山「いえ、いんですよ。」
『明里さんは魔女です。魔法使いの女の人です。
それから、この毛布は奥沢さん、雪女は楠さんにメドゥーサが山野さんです。で、この人はオレの友達のスーちゃんです。』
隊・幹「「「……は?」」」
永「女だと思ってたぜ!」
平「だな!」
歳「……化ける奴がこの隊にどんだけいるんだろうな。」
総「あのスーちゃんって人、山崎君ですか?」
『はい。あれなら、姿が見えないんでいいかと。』
小声で沖田さんと話す。
歳「早く始めろ。」
『はい!では今から半刻のハロウィンを始めます!!
頑張って食べ物を集めてください!』
オレが言うと、皆一斉に動き出す。
合言葉は
「お菓子をくれないと、悪戯します。」
だ。
あちこちでそんなやり取りを聞きながら、オレもお菓子の入ったかごを持つ。
そこに源さんがくる。
源「お菓子をくれませんか?でないと悪戯しますよ。」
『はい!この5つから1つ選んでください。』
源「珍しいお菓子があるね。年寄りな私に合うのはどれかな?」
『このクッキー以外なら大丈夫です。』
源「そうだね…これをいただくよ。あ、私からはこれを。」
源さんがとったのは、鬼まんじゅう。くれたものも、何かの饅頭だ。
それ以外に源さんが持っているのは…沢庵だ。
土方さん用だろう。
次に来たのは…3馬鹿だ。
永・原・平「「「お菓子をくれないと悪戯するぞ!!」」」
声を揃えて言う3人に苦笑しながら
『ここから選んでください。』
と、かごの中を見せる。
永「お、かすていらじゃねぇか。俺はこれにするぜ。」
原「俺は普通に団子を貰う。」
平「オレはこれ!!見たことないし。」
『平助のは未来のお菓子だから。』
平「未来のお菓子っていろんなのがあるんだな。」
『はい。』
永「俺達からは、これをやるぜ!!」
永倉さんに渡されたのは金平糖だ。
『ありがとうございます。』
永倉さん達が離れたあと、誰も来ない。
そして声があまりしなくる。
回りを見渡せば、土方さんが無言の圧力をかけていたり、平隊士達は近藤さんに自らあげている。
それ以外の人達はまともにやっている。
オレはまず、土方さんのところへと行く。
『土方さん、無言の圧力をかけないでください。隊士達が可哀想です。』
歳「知るか。」
『合言葉を言ってください。でないと、沢庵を持っているかたに、あげないよう伝えますから。』
歳「なっ!?」
『どうします?』
歳「………チッ。
菓子をくれねぇと…悪戯する。」
『それでいいんです。』
渋々言った土方さん。
ほぼ棒読みだが、まぁいい。
『土方さん、ここから1つ選んでください。』
歳「なんだこれ?」
『クッキーです。
オレが作った未来のお菓子です。』
歳「これ全部手作りか?」
『はい。』
歳「…この饅頭をもらう。俺はこれをやる。ま、総司に貰ったやつだが。」
土方さんに渡されたのは…栗。
『これをですか?
いったいどこから採ってきたんでしょうか?』
歳「俺が知るかよ。総司に聞きやがれ。」
『そうですよね。
─沖田さん、ちょっときてくださいぃぃ。』
大声で沖田さんを呼ぶとすぐにきた。
総「どうしたんですか?光さん。」
『これ。』
総「…?
これがどうかしたんですか?」
こてんと首をかしげる沖田さん。
か、可愛すぎる!!
総「光さーん。」
オレは、はっとして
『沖田さんが土方さんにあげたものですよね。
どこで拾ったんですか?』
早口で用件を言う。
総「それは、よく壬生寺で一緒に遊んでもらってる子供達と、拾ったんです♪」
歳「てめえ、ここんとこ非番なかっただろ。サボりやがったな!」
総「やりましたよ。
ただ、稽古の時全員ぼこぼこにして、暇をつくっただけですって。」
歳「ぼこぼこにするなと、あれだけ言っただろうが!!」
土方さんが額にを浮かべ、沖田さんを斬ろうと刀に手を─────────
───かけられなかった。
吸血鬼の仮装をする際に、邪魔にならぬようオレが外して、そのままにしてしまったからだ。
歳「…おい、俺の刀何処に置きやがった。」
『あそこです。』
広間の隅を指差す。
『皆の刀もあそこにありますね。』
歳「俺が刀をとってくるまでそこを動くんじゃねえぞ総司!!」
土方さんは隅に移動する。
その間に、沖田さんはオレからお菓子を貰い、何処かに行ってしまった。勿論、広間にいるが。
歳「総司ぃぃぃ!!」
刀を持って戻ってくるなり、沖田さんを見つけ追いかける。
オレは、そんな2人を放置し今度は平隊士達のもとへと行く。
『すみません。
近藤さんだけに自らあげるのは無しにしてください。』
隊1「でも…」
『今は宴みたいなものです。一方的にあげるだけでは、近藤さんが楽しめないではないですか。
ね、近藤さん。』
近「あぁ、くれるのは有り難いんだが…」
着ぐるみを着てるため、表情はわからないが、困っているのは声でわかる。
それを聞いた隊士達は散らばって行く。
近「助かった…」
『近藤さんもはっきり言ってください。』
近「す、すまない。」
『近藤さん、お菓子をくれないと悪戯します。』
近「はい。」
近藤さんに渡されたのは、三色団子だ。
近「私のおすすめの甘味処で買ったんだ。美味いぞ!」
『ありがとうございます。オレからは此処から選んでください。』
近「羊羮を貰うよ。」
近藤さんは羊羮を取ると、山南さんの所に行った。
一「光…お菓子をくれぬか?でないと…悪戯をしなければなるまい。」
『この中から選んでください!』
一は羊羮を取り、代わりにお握りをいれた。
一「俺が握った握り飯だ。」
『美味そうだな!』
一「具は…内緒だ。」
それだけ言って、行ってしまう。
『…何を入れたんだ?』
丞「この臭いは…豆腐やな!」
『豆腐ってお握りに入れるもんじゃねぇだろ。
てか、よくわかったなすす…スーちゃん。』
丞と呼びそうになり、言い直す。
丞「…隈やで?当たり前やないか。」
『あ、お菓子くれ。悪戯をするのも楽しそうだけど。』
丞「ほら、飴玉や。」
手に飴玉を置く。
そしてかごの中から、クッキーを取る。
丞「藤堂はんがさっき美味いって騒いでたんや。」
『ま、沖田さんも言ってたし。』
丞「沖田はんもこれかいな。」
丞はクッキーの入った袋をもちあげ、言う。
『そういえば沖田さんはまだだったな。』
丞「それやとおかしくあらへん?
何で食っていないものを美味しい言えるねん?」
『沖田さんは毒味として食べさせたから。』
丞「…味見やな?」
『いや、あれは毒味だな。
材料はあるもんだし、調理道具も揃ってなかったから、てきとーに作った。』
丞「そーかい。これ貰ってくで。
あ、今度毒味させるときは隈にさせてな。」
丞は平隊士に呼ばれ行ってしまい、オレは沖田さんを見たが、まだ鬼ごっこが終わっていなかった。
とりあえず、山南さんの所へと行く。
『山南さん、お菓子をください。それとも悪戯がいいですか?』
山「これをどうぞ。」
柿を貰い、山南さんはかすていらを取る。
山「めったにかすていらなんて食べられませんからね。」
そう言いながら微笑む。
総「光さーん!!」
『終わったんですか?鬼ごっこ。』
総「はい♪脅しましたから♪」
沖田さんは笑顔で言う。
『脅したって…まぁ、オレも人のこと言えないけど。』
土方さんに言ったことを思い出す。
山「2人とも、脅すなら私を誘ってください。」
『脅すっていっても、そんな大層なことではないですから!!』
オレは慌てて言う。
山「そうですか。いい考えがあったんですが…また何かあったら誘ってくださいね。」
『その時は山南さんに相談します。』
オレは頭を下げ、沖田さんと広間の隅へと移動する。
総「光さん、お菓子をください♪
まっ、くれても悪戯は誰にでもします♪」
『沖田さん…それは質悪いですよ…』
総「そうですか?
それより、お菓子をください!」
手を出す沖田さん。
『此処から取ってください。』
総「それじゃぁこれを♪甘くて美味しいんです♪」
クッキーを手に取る。
『確か…沖田さんからは栗ですね。』
総「はい♪どうぞ。」
手のひらに栗を1つ、のせられる。
『ありがとうございます。』
総「あと、そんなに時間ありませんね。」
『……マジで…』
総「本当です。」
『…じゃ!!またあとで。』
オレは沖田さんから離れ、平隊士達の中に入る。
『お菓子をくれないと悪戯します。』
隊1「はい。」
隊2「俺はこれを。」
そんなやり取りを続け、とりあえず、一刻経った。
『皆さん、そこまで!!』
オレが大声で言うと、静かになった。
『今、手元にあるお菓子を近くの人と交換して数えてください。
数えたら名と個数をオレのところまで言いにきてください。』
暫くたち、それぞれ言いにくる。
そのたびに書き留め、集計していく。
──結果は…源さんが1位であった。
物凄く意外だ。
『えー1位は源さんでした!!源さん、誰か1人選んでください。』
源「…土方君で。」
歳「何で俺なんだ!?」
近「まぁまぁ、決まりなんだから守らないとな!」
山「決まりですからね。」
歳「…わぁてるよ。」
近藤さんと山南さんの2人に言われ、承諾する。
『それではこれでハロウィンを終わります!!
あ、余ったお菓子は勝手に食べてください!』
総「何言ってるんですか?余ったのは全部僕の物です!!」
平「総司だけずりぃぞ!」
永「そうだそうだ!!
俺達だって食べる権利はあるはずだ!!」
言い争いが始まる。
近「総司、皆で分けなさい。足りなかったらまた作って貰えばいいじゃないか。」
総「……近藤さんが言うなら。」
沖田さんが納得し、皆で食べ始める。
──これでハロウィンは本当に幕を閉じた─────