初めての恋 ~甘く切ない恋~
この小説に登場する人物・場所・学校などは一切関係ありません。完全なフィクションです。
プロローグ
キミは覚えているだろうか。
私は覚えいるよ。
キミに初めて会った場所。あの夏の日。全て。
全て。
覚えているよ。
「最初からキミを好きでいられてよかった」
なんてキミ(ソラ)に歌うんだ。
第一章 出会い
『キミの第一印象』 《沙希》
「おはよ~沙希」
「おはよ」
私、柏木沙希(高2)は、とっても真面目な風を装っています。ほんとうはそんなキャラじゃないけど…。
「沙希~きいた~?」
きいたって…?
「なにを?」
「はぁ!?聞いてないの!!?」
だからなにを聞いてないの?
彼女、金堂琴波(高2)は、うわさが大好きでギャルっぽいファッション。今風の女の子。
「転校生だよ!!転・校・生!!!」
あら…そうですか…転校生ねえ…。
「超イケメンでお金持ちで最高物件なんだよ~!!。」
超、イケメン…ねえ…。
「キョーミ無い。」
「え~うっそ!!皆狙ってんのに!!?」
私は皆と違うの!!この格好でわかるでしょ!!?メガネでおさげのがり勉っ子なの。勉強しに来てるのに、男、男ってうるさすぎ。
「席につきなさい。」
「げっ、森じゃん…じゃね」
先生の声に皆しぶしぶ席についた。
「転校生が来たので自己紹介してもらいましょう。入って。」
ざわつく皆。なんでそんなことで期待するかな…。
入ってきた青年はあれほど騒いでいた教室が、息を呑むほど綺麗な顔立ちだった。
「横臥潤。よろしく。」
低いのに透き通るような声。綺麗な金髪。吸い込まれそうな瞳。高い身長。なんて、綺麗な人なんだろう。
「どこの高校だったの?」
「聖クライア学園。」
聖、クライア…?
「うっそ!!めっちゃ頭いいじゃん!!」
「なんで流星にきたの?」
本当よ。もったいないじゃない。私だって落ちたところ。
「家の都合。」
なんて奴…。
「席は、柏木の隣だ。」
はぁ!!?嫌だし!!てかなんでだし!!
「彼女は学級委員長だから何でも聞いて良い。さ、席につけ。」
も…森の野郎…!!
「宜しく、柏木サン。」
「宜しく。」
なんでこうなるかな…
神様、なんでこんな疫病神みたいな奴、ここにおくったんですか。私の人生の波乱の予感です…。
『隣のキミ』 《沙希》
「ここが音楽室です。それでここが………」
なんで私がこんなことをしているかというとあれは5分前のこと。
―5分前―
「この学校来たばっかりだし私が案内するよ」
一人のクラスの女子が横臥クンに案内をすると言い出したのです。そこまでは良かったのですが…
「私も~」
「私も~」
なんて何人もの人が案内をすると聞かなくなってしまったのです。が、そのあと横臥クンが思いも寄らない答えを出したのです。
「柏木サンに案内してもらうから平気。」
「えっ!?」
何故に私ですか!!?
「宜しく、柏木サン」
にっこりと微笑む横臥クン。私は学級委員長だし…
「ハイ、わかりました。」
それで今に至るのです。
「はぁ…」
最悪…いつもなら教室でゆっくりしてるのに…
「柏木サン、ココなに?」
…どこですか?ここって…ああ、科学実験室か…
「ここは、化学実験しちゅ…室だよ。」
ああ~最悪!!!!噛んじゃったし~
「ふ…あははっ!!室って噛むの!?噛まないっしょ~!!!ウケる~!!!!」
ちょ…!横臥クンてこんなキャラっすか~…泣きたくなってきた。
「あはは、ごめんごめん…あと、ありがと。じゃ、授業も始まるし、教室帰ろっか。」
今日はこの人のペースに流されっぱなし…迷惑も良いとこだわ…。
ああ、神様…私の平和だったころの日々を返してください~
第二章 キミと私
『臨海学校』 《沙希》
「沙希~もぅすぐ臨海ガッコだね~早く班決めたい!!」
アンタは横臥クンとなりたいだけだろ。
「そうだね。帰りに決めるんだって後五分後」
「まじ~!?早く来い~!森~っ!!」
「あはは…。」
「席につけ!!班決めるぞ!!」
「せんせおそい~」
「柏木サン、なんの班決め?」
そっか、横臥クン知らないんだ。
「えっと、臨海学校の班決めだよ。」
私、琴波と同じ班になりたいな…。
「班って男女一緒?」
え…
「うん。行動班は一緒だよ。」
まあ私は男の子と同じ班は嫌だけどね。
「ね、同じ班にならない?」
…………。
え?
ええ!!?なんで私!?
「な、なんで私なの?ほかにも可愛い子いっぱいいるじゃない。」
そうよ。可愛い子いっぱいいるじゃない…。ってなんで私がっかりしてんの!?
「だって特別じゃん。」
と…特別…?なんで特別?
「なんで?」
素直に聞いてしまう私。
「隣の席で初めて普通に話した女の子だから。」
そんな風に言われると少しだけ心のどこかが暖かくなったきがした。
―10分後―
私の行動班は私と琴波とシィ(陰陽師雫だからシィ)と横臥クンと早川君(早川昇)の5人になった。
「それじゃ…と、時間がないな。部屋の班は向こうで決める。だから役割を決めなさい。」
「「え~」」
「えーといっても問答無用!!班長・副班長・時計・ルート二人!後、学級委員の川儀伯と柏木沙希は班長になること。行動開始!」
私…班長だし!
「皆、まずは、副班長やりたい人いる?」
………いないだろうな。
「はい、俺やるよ。柏木サン」
お…横臥クンですか…。
「いい?」
「私は構わないけど、皆、いいかな?」
「いいよ、僕は。」
「私達もいいよ」
決定か。
私はシャープペンシルを取り出すと、『副班長』と書かれた欄に『横臥潤』と書いた。
「じゃあ、時計は?」
時計係ってめんどくさいんだよね…いるかな。
「僕がやろう。任せてくれ。」
「いいかな?」
「「オーケーだよ」」
にっこりと微笑む二人。…仕込んだわね?
私は早川君の名前を書きながら
「二人はルートね。」
と二人に念を押した。
―臨海学校当日―
集合時間より30分も早く来てしまった私って…。
「あれ、柏木サン早いね。」
不意に後ろから聞こえてきた声。
この声って…
「横臥クンこそ早いのね。まだ30分もあるのよ?」
なに言ってんだ私。それは私も同じだろ。
「早く柏木サンに会いたくてさ…って何いってんだ俺…恥ずかし」
やわらかく微笑む横臥クンの顔は誰よりも優しい笑顔をしてた。
「よし、全員いるか班長確認!!」
面倒だな…なんて考える私に
「全員いるよ、大丈夫。2班オーケー!!」
にっこりと微笑む横臥クン。
トクン…ッ
ココロが波打つ。なんだろう、この気持ち。初めて感じる…胸がドキドキしてる。
この時の私はこのドキドキがなんだか分ってなかったんだ。
『キミとの距離感』 《潤》
俺はモテる…らしい。自分では自覚がないんだけど。あと、女が苦手。キツイ香水とか、無駄に厚化粧とか、いっとくけどお前ら全然かわいくねえよ?
そんな女嫌いな俺に初めて好きな人が出来た。名前は柏木沙希。流星学園に転校したクラスの女の子。隣の席で勉強が得意。だからオシャレなんて全然してなくてとても新鮮な女の子だった。
はじめは地味な子だなって思ってたけど、色々な事を話していくたびに惹かれていって、気づいたら好きになってた。
今回、俺が流星学園に転校して初めてのクラス行事、臨海学校に来ている。…といっても早く来すぎてしまった。
「あ…柏木サンじゃん。」
早起きしてラッキーと思った。
「あれ、柏木サン早いね」
なんて会話を続けるうち、すぐに時間は経ってしまった。
「バスは教室の席順!!いいな!!?勝手に変えないように。」
センセ感謝感激飴あられ。柏木サンと隣になれるじゃんか!!ビバ、臨海学校にバス中!!
数十分経つと、レクレーション係の指示に従ってレクレーションが始まった。クイズや最後にはカラオケもやった。
「隣の人と協力してクイズの答えを求めるように。」
は?黙れ森。今は…って皆寝てる人起こしてるし…しゃーねえ起こすか。
「柏木サ…」
寝ている。起こすのにはもったいないほど可愛い寝顔。起こせるわけねえだろ。
「ん…」
起こしてしまったか?
「おきた?柏木サン」
起こせたし…って俺意識しすぎだろ!!相手は俺の気持ち知らねえんだから…。
「アレ…私寝てた?」
もうすぐ目的地に到着します。というガイドさんの声にもう着いてしまうのか、と残念に思う俺がいた。
―ホテル前―
荷物をバスから取り出すと、柏木サンが目に入った。重そうな鞄。彼女の身長であの荷物はキツイだろう。
「柏木サン、平気?これ持つよ。」
彼女の一番重そうな鞄を持つ。
「悪いし!!大丈夫よ!!」
嘘付け。重そうにしてたくせに。
「俺は大丈夫だから途中まで持ってくよ。」
出来るだけ微笑む俺。
「有難う。」
ほんの少し微笑する柏木サンの顔、直視できない。可愛すぎる。
「いえいえ」
なんて甘やかしてしまう俺。って、馬鹿じゃねえの?甘えてんのは俺だろ。
―ホテル(202)男子部屋―
「女子の水着、どんなんだろうな。」
はぁ?女子の水着なんかに興味あるわけ?バッカみてぇ。
「やっぱあいつだろ!!陰陽師!!胸とかでかいし!!」
でかきゃ誰でもいいのか…。
「いーやっ!!金堂だろ!!あれは条件につけらんねえヤバさだろ!!」
陰陽師も金堂も可愛いとは思うがああいうファッションは嫌だね。やっぱ、柏木サンが一番可愛いよ。
「あれは?委員長?」
か…柏木サンだと?
「あ~メガネとりゃ可愛いかもだけど駄目だね。」
あ??なんだと?柏木サンが一番に決まってるだろ。
「よ~し、いこうぜ!いざ、出陣!!」
誰だお前は…。
「お~い、男子共!!見ろ!!この美しさを!!」
なんだそれ…おいおい…。
「ほら!!沙希もメガネ取ったんだぞ!!?」
「ちょっ!!」
おいコラ、柏木サン困らせんじゃ…。
「え…?もしかして…委員長?」
一瞬、目を疑った。いつもとは少しだけ違う髪形。眼鏡を外した素顔。顔が熱くなる。
「可愛いじゃんっ!!」
は?当たり前だろ。柏木サンは可愛いんだよ。
そんなこんないろいろな事をしていてあっという間に時間は経ち、気づけばもう6時を回っていた。
「集まれ~。」
という森の声にみんなが集まる。
「これからカレーライスの材料を各行動班に配るので班長と副班長は前に来て材料を取っていくこと。」
なら…。
「柏木サン、取りにいこっか。」
神様、もしもいるとしたのならばどうか見守っていてください。俺は、最終日に彼女に告白します。返事なんて怖くて考えられないけど、それでも俺は彼女にこの思いを伝えたい。後悔など絶対にしないから。
『カレーライス』 《沙希》
さて、この班に料理を作れる人はいるでしょうか。琴波とシィは作れないの知ってるけど、早川君と横臥クンが作れるかどうかによって私の大変さが変わるんだけど…。
「えと…料理、出来る人…いる?」
いないだろうな…。
「僕は出来ないよ。いつもシェフが作ってくれるからね。」
流石お坊ちゃまだな…。
「俺は…がんばれば少し…。」
はい、解りました。私超大変。
「横臥クン、ジャガイモの皮むける?」
「わかった。がんばってみる。」
って、言っても危なっかしいな…。
横臥クンが皮をむいている間私はニンジンとお肉の切り分けをしていた。
「出来た?」
「…出来た~!」
ジャガイモ三個で喜ばないでよ…。
「それじゃかして。切るから。」
「俺が切るよ!がんばる!!」
危ないっての。
そんなこんなで未曾有の大事故を免れた私。
「「いただきます」」
さて、味のほうは大丈夫かな…。
「んまぁ~い!!」
大きな声を上げる琴波。それに続き
「うま!!最高~!!!」
よかった。
どうやらおいしくは出来たらしい。料理がほとんど出来ないこの班でよくできた、私。褒めてやりたい。
「「ごちそうさまでした」」
それじゃ、片付けなくちゃ。
「沙希~部屋もどろ~」
「何言ってんの?片付けなくちゃじゃんか。」
「え~そんなの早川にまかせりゃいいじゃん!!」
いや、だめだろ。
「先戻ってなよ。私片付けてからいくから。」
さて…。
「片付けは先生たちでやるので、生徒諸君は各自の部屋へもどること。」
マジかよ、森先生。おかしいだろ。
なんかせんせいが片付けてくれるらしいので私は302号室にもどった。
このあと、私が望んでいたことがおきてしまうなんて思いも寄らなかった。
『刹那』 《琴波》
部屋に戻ると、トントンとドアがノックされたのに私だけが気がついた。
「は~い?なに~?」
てかなんで私しかいねぇんだよこの部屋に。
「金堂サン?俺、横臥だけど。」
なんだとっ!!?横臥くんだと!!?
「なになに~?私に会いに来たの?な~んてっ」
なにいってんだ私は。アホか。
「金堂サンで好都合。ちょっと頼みがあるんだけど来てくれるかな?」
もちろん。
「行きますともっ!!」
でも、何の用だろう…。沙希に言いたいことじゃないのかな。
「お願いなんだけど…。」
人気の少ないところにつれてきて横臥クンが言った。
「今日の夜、9:30分に浜辺に柏木サンをつれてきてほしいんだ。ダメかなぁ?」
呼び出してほしいってことだよね?
「なんでぇ?」
「お願いっ!こんなこと金堂サンにしか頼めないからっ」
いやね、頼られるにはうれしいんだけどさ、なんで自分で行かないの?それくらいならいえるだろ。って、横臥君にいえない私。
「オーケーっ言っとくネ♪」
嫌だなんていわないよ。嫌だなんていえないよ。友達だもん。だけど出来たなら嫌だと言いたかったよ。
―ホテル(302)女子部屋―
「おっ、沙希帰ってるじゃ~ん♪」
靴を徐に脱ぎ、部屋に走っていった。
「沙希さ~ん、匿名希望で伝言で~すっ♪」
わざと明るく振舞った。
「なに?」
臨海学校のしおりから目を逸らし、こっちに向いた沙希。言いたくない。だって私の好きな人からだもん。
「えっとね~」
でも言わなきゃ。好きな人に頼まれた。期待に応えなくちゃ。
「今日の9:30に浜辺に来てください、だって~っ!!きゃ~♪」
なにいっちゃってんの?私よぉ~。テンション高すぎるでしょ?
「わかった、でも、あと1時間以上あるけど。それに外出禁止じゃないの。」
アンタってさ…
「かったい事言ってんじゃないわよっいくよね?」
「はいはい、いくわよ、もう」
叶わない恋なら、恋なんてしなきゃよかった。
『一世一代の恋』 《沙希》
9:30
「行って来るわ、浜辺に。」
面倒くさいなあ。横臥クン意外に会いたくないのに。
「柏木サン、来てくれてありがとう。」
その声は、私の大好きな、
愛しい人の
声だった。
「おう…が、くん」
…やだっっ!髪の毛ぐちゃぐちゃだしっ恥ずかしい…。
「あのね、今回呼び出したのには意味があってね、誰にも聞かれたくなかったんだ。」
…何を言う気なの?
「あのね…いきなりでごめんね。」
何…?嫌、怖い…っ!
「好き、だよ。」
…………嘘。
…………でしょう?
「ごめんね、急で。でも、もう友達じゃ耐えられない。」
私は…
「返事は今度でいいから。」
答え?そんなの…
「決まってるよ。」
私、今、どんな顔してる?酷い顔してそう…。
「え?」
私は…
「私は…」
「好きだよ。横臥クンのこと。」
顔が熱くなるのがわかる。
「マジで??」
暗くて、横臥クンの顔が見えないよ…。
「うん…嘘じゃないよ。」
ねぇ、横臥クンは嘘じゃないよね??
「よかったぁ~振られるかと思ったぁ~」
そのとき、不意に空にドドーンという爆音が響いた。花火だ。炎の、花。なんて、ロマンチックなんだろう。その日、私たちは、初めてのキスをした。
そのまま私たちはホテルへ帰っていったんだ。
『恋の方程式』 《潤》
あ~昨日の告白大成功がまだ夢のようでココロが火照ったままだった。
[好きだよ]
その言葉が頭の中で何度も何度もリピートしている。
神様、俺は神様に愛された人間なんだろうか。今、人生で一番幸せかも…。
「お~い、聞いてるか??」
不意に耳に入ってくる言葉。ちっ、幸せに浸ってるときに話しかけるんじゃねぇよ。
「なに?」
いつもどうりに答える俺。
「メシだって。いこーぜ??」
メシ…。腹も減ったし行くか。
「横臥君!!」
テンションの高い声。
「シィちゃん。おはよ。」
てか、シィちゃんがいるって事は…柏木サンもいるってこと?
トクンッ………
ココロが跳ねる。恥ずかしさと照れくささがココロの中でループする。
「あ…あはよう」
可愛らしく微笑む柏木サン。
「おはよ」
なんとなくぎこちない会話。
「喧嘩でもしたの??」
空気を察してか、金崎さんの質問が飛ぶ。
「してないよ?」
さらっと答える柏木サン。
「なんかあった?」
続いてシィちゃんが質問を飛ばす。
「え…!?」
動揺したような声を上げる柏木サン。
「なんかあったでしょ~??」
楽しげに尋ねるシィちゃん。
「べ…別に??」
手で口を覆う柏木サン。その行動はバレバレな行動だとおもうよ?
「なんかあったでしょ??」
ニヤニヤしながら尋ね続けるシィちゃん。
「告白された…。」
消えそうに小さな声。でも俺にははっきりと聞こえた。大好きな愛しい人の言葉。聞き逃すはずがない。
「「え!!!!??」」
大きな声を出す二人。そんな声出さないでよ。
「しっ、静かにっ!」
ちょっと怒ったように言う柏木サン。
「だだだ、誰に??」
小声でシィちゃんが聞く。
「ここじゃ、言わないっ。部屋でね?」
「わかった、絶対ね?」
念を押すように言うシィちゃん。
「俺らと一緒にくおーぜ??」
陽気に話しかけるルームメート。
「いいね~食べましょうっ!」
なんやかんやでごはんを食べ終わり、自分たちの部屋に戻るときシィちゃんが尋ねた。
「ねぇ、誰に告られたの?」
そうシィちゃんが聞いた。その後、俺のほうを見つめる柏木サン。まるで言ってもいい?と聞くように見つめてくる。静かに微笑む俺。
「告白してくれたのは…」
恥ずかしそうに見せる動作が愛しすぎて。
「横臥クンだよ。」
凍りつく空気。
「なんだ、付き合ってたんじゃないの?」
………?
その言葉を発したのはシィちゃんで。
「はっ!!?つ。付き合ってなかったよ!!!?」
動揺で苦笑してる柏木サン。
「そうだったんだ…。」
その後、ルームメートから聞いた話によると、どうやら俺たちだけが付き合っているという噂を知らなかったらしい。そんな事は、俺たちには関係がないだろう。だって、二人は今幸せだから。とても、幸せだから、何でもいいんだよ。
この時の俺はずっと、ずっと柏木サンと二人、幸せでいられると思っていたんだ。しかし、その時は、とても残酷に歩み寄っていた。
第三章 残酷と幸福
『キミからの告白』 《沙希》
臨海学校の告白からはや、一週間がたちました。恋愛にまったく興味がなかった私にとって、初めての彼氏。そしてきっと、最後の彼氏だと思う。横臥クンといると、ココロがほっこりする。それに、ドキドキする。今とても、私は幸せです。
「沙希?きいてるぅ??」
不意に掛けられた言葉にハッとする。琴波とシィは今売れている芸能人の話で持ち越しだった。
「私、その人知らないし。」
さっぱりと答えてみる。案の定、え~!!?っと言われてしまう。しょうがないじゃん、興味がないんだもん。
私はその芸能人を知らなくて、話しについていけなくなり、鞄から本を取り出し読み出した。
それから数分後、ぽんっと肩を叩かれた。振り返ると、
「おはよう、沙希。」
私の大好きな人が立っていた。
「お、おはよう…」
つい言葉に詰まってしまう。
「ちょ、いつの間に呼び捨て!!?」
食いついたのはシィでした。別に、どう呼んだっていいじゃんか。
「潤くんは、今日は一緒に帰れる?」
いつも通りの会話。だけど幸せなひと時。
「うん、一緒に帰ろう。」
いつも見せてくれる大好きな笑顔。
だけど、そのときは、そう長くは続かなかったんだ。
ルルルルッ♪ルルルルッ♪
私のケータイが鳴る。電話だ。相手は…潤くん。かかってきた電話が、なかなか取れない。
「も、もしもし…。」
か細い声で相手に呼びかける。
『急に電話してごめんね?今、大丈夫?』
やっぱり、優しい声。
「うん、平気だよ。」
『あのさ、別れよう?』
その言葉は、あまりにも意外すぎて…言葉が出なかった。
「そん…、どうして…?」
私に似つかない、震えた声を絞り出した。
『俺、また転校するんだ。今度はもう、帰れないかもしれない。』
嫌…嫌、嫌。どうしてまた転校してしまうの?嫌よ、離れたくない。
そういいたかったけど言葉が出なかった。
「どこに、いっちゃうの?」
言えたのはたったコレだけだった。
『アメリカ。ニューヨークに留学するんだ。誘われたんだ、大学の先生に。』
ちょっと、まって…?大学?
「高校時代はココにいてくれるの?いるんだよね?」
『ううん、向こうの高校に入る予定。』
やだ…せっかく重いが実ったのに…もう、おしまいなの?
『ゴメンナ…??』
彼は、切なそうに呟いた。今の私には彼を止められない。なら、どうしたら彼は喜んでくれるの?コレしかない。
私の決意は、固かったの。
「待ってるわ。ずっと。何年でも。待つわ。だから、お願い。帰ってきて。」
『な、いつになるかわかんねぇんだぞ…?無理だ。俺は入れたら8年まで手伝うつもりだし。』
きっと、潤くんは物分りのいい私を望んでるわ。だから。
「大好きなの。諦めたくないの。お願い、私に待っていさせてよ…それも、駄目なの…?」
潤くんは、黙ってしまう。やっぱり、重いのかな。ウザイのかな。だけどね、この気持ち、もう止まらないの。
『じゃあ、諦めなかったら、帰って来るよ。まってて?』
やっぱり、潤くんは優しい。とても優しい。ダイスキなの。責任、取ってよね…。
『キミに会いたくて』 《沙希》
ー一年後ー
「横臥くん、転校しちゃうなんてね~…最悪じゃない?」
クラスの話題は潤くんで持ち越しだった。だけど、泣かないわ。絶対に。
「沙希、大丈夫?」
優しく声を掛けてくれるシィ。
「つらいよね…」
自分の恋愛と重ねてくれる琴波。正直、有難うが言いづらい。なんとなく。
「大丈夫!!横臥くんはきっと、沙希を迎えに来るよ。そして。私はずっと待ってたんだ。
─九年後─
もう、9年がたってしまった。このまま、潤くんは帰ってこないのではないだろうか、と考えてしまうことが多々あった。だけど、私は潤くんを信じてるから、大丈夫なの。
「沙希っ!!!大ニュ───ス!!!!横臥くんが帰ってくるって!!!!今日!!!!」
なっ、嘘…!!嬉しい…。
「でも、もう羽田空港に着いちゃうの!!時間が…」
私は、思考よりも早く、私の体が動いていたんだ。
「こらっ、もう授業が始まりますよ!!」
私の耳には届かない。早く、羽田空港へ行かなくちゃ!!!
「すみませんっ!!あの、今から急いで羽田空港へ向かってください!!」
タクシーの運転手さんは、にっこりと微笑んで、すぐに車を走らせてくれた。
「はぁっ、はぁっ」
荒い息をつきつつ、私は第3ホームへ急いだ。
「まだ、いない──…」
きょろきょろと周りを見渡したが、潤くんらしき人はいなかった。
まだなのかな…。
もうとっくについてていい時間なのに…もしかしたら入れ違えたかも…
そんなことを考えていると、
「沙希…?」
不意に後ろから声がした。
その声は、私が愛しくて
大好きで
大好きで
欲しくてたまらなかった、潤くんの声だった。
「じゅん…く…っ!」
大粒の涙が瞳に溜まっていく。9年も会えなかった悲しさと辛さと切なさが心の中で木霊する。
「会いたかった…!!」
言いたいことがたくさんあったのに、その言葉は潤くんに抱き寄せられて、消えてしまった。
「私も…っ!会いたかった!!」
涙が止まらない。潤くんはそっと私の体を離すと、大きな指で涙を拭ってくれる。
私は、幸せ者だ。きっと、世界で一番幸せ者だ。だって、幸せなヒトと、結ばれた。それだけで、奇跡みたいだ。
「最初から、キミを好きでいられてよかった…!!!」
その言葉だけで、十分だった。十分、幸せだ。
「会えなかったぶんは、これから埋めて行こうね。」
大好き。大好き。もう、離れない。もう、離さない。
──END──
初めまして!初投稿の小説です!!
初めてだということで、とてつもなくグダグダです(笑)
すみません(苦笑)
この作品を見てくれて本当に有難う御座いました!!
これからも宜しくお願いします!!!