表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

夢で追われる男

作者: 山田裕子
掲載日:2026/07/21

「はぁ、はぁ......」


自分の荒い息遣いが聞こえる。

誰かに追われている。

何かが追ってくる。

逃げないと......。

捕まったら終わりだ。

そんな気がする。


「わぁっ!」


声を上げて、飛び起きた。

自分の叫び声で目が覚める。

ここ数日、こんなことが多い。


なんだか眠っても疲れが取れた気がしない......。

病院に行って、睡眠薬でも処方してもらおうか。


また、あの息遣いが聞こえる。

今夜も追いかけられている。

もう逃げられない。

とうとう追いつかれてしまった。


「おめでとうございまーす!!」


何が?


「ご当選おめでとうございまーす!」


テレビのビックリ企画とか?

それにしては、服装が変だ。

まるで三河万歳みたいな格好をしている。

でも今は正月じゃないぞ。

カメラも持っていない。


「何に当選したんだ?」


「あなたは運のいいことに『苦しまずに死ねる権利』を手に入れたんですよ。」

「なかなか手に入れられませんよ。多くても十人に二人ぐらいしか手に入れられないんですからね。」


そう言いながら片方は扇をひらひらさせ、もう一人はチンドン屋の太鼓みたいなのを叩いてはやし立てる。


十人に二人ってことは、二割だろ?

これって少ないのか?


「いや、俺はまだ死ぬような年じゃないから。」


そう言うと、


「今回のチャンスを逃すと、もう苦しい死に方しかできませんよ。

痛かったり、苦しかったりするのは、嫌でしょう?」

「今なら眠ったように安らかに逝けますよ。お得です!」


死ぬのにお得も何もあるものか。


「ちょっと考えさせてください。こういう大事なことは、ゆっくり考えないと。」


「残念ですが、今から三分以内に決めないと、当選の権利は他の方に移ります。

さぁ、どうします?」


なんだか詐欺の手口みたいだな。

でも42歳、独身。

家族はいない。

会社から帰って、コンビニ弁当を食べて、テレビを見て寝るだけの生活だ。

特に趣味もない。

このまま死んでもいいのか。

悲しむやつもいないしな。

このままあくせく働いて、年をとって年金暮らしでやりくりしながら、死んでゆく。

どっちがいいのかな。

楽に死ねるなら、それも悪くないのか。

困った、どうしたらいいか、わからない。


「さぁ、そろそろ三分経ちますよ。

どうしますか?

十、九、八、七、六、五、四、三、二、一!」


「答えは?......」


俺の答えは、......

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ