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シナリオ 天使たちの遊戯  作者: カキヒト・シラズ


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13/21

第十三場(新宿駅西口他)

登場人物

 黒木英恵

 黒木次郎

 中林文雄

 柴田幸太郎

 サブロー

 綾瀬里美

 


〇新宿駅西口

 落書きをした大きなダンボール箱が並んでいる。

 ダンボール箱にはホームレスたちが住んでいる。

 英恵、一つのダンボール箱に近づく。 


英恵「次郎さん、いる?」

黒木「(ダンボール箱から顔を出し)もちろん、いるさ」

英恵「これ、泉さんからもらったの(ペンダントを黒木の首につける)」

黒木「なんだいこれ」

英恵「お守り。それとこの名刺、渡しとくわ(名刺を黒木に手渡す)。

 店に来た人が次郎さんに電話してくれって言ってたわ。

 名刺の裏に電話番号書いてあるでしょう」


 英恵、ナップザックから取り出した、ペットボトルやお菓子類をタンボールに入れる。


英恵「しばらく来られないわよ」

黒木「まあ、だいじょうぶさ」

英恵「それじゃあね」


 英恵、その場を立ち去る。

 英恵の頭上に里見の幽体が浮かんでいる。

 里見の幽体、英恵のそばに降りる。


声(里見)「英恵さん」


 英恵、驚いて周囲を見回す。


英恵「里見ちゃん?」


〇首相官邸・執務室

 中林、電話している。


中林「いいか、最大の問題はオロチ神道が核爆弾を保有していることだ。

 あいつはもうおれの命令を聞かなくなったみたいだ。

 核を自分の持ち物だと誤解しているらしい」

声(柴田)「パパ、そんなことより竹山首相殺しの件だけど、本当に証拠は隠滅したの」

中林「心配するな。こっちでうまくやってるよ」


〇ゲイバー「プルースト」

 柴田、スツールに腰掛けながら片手にカクテルを持ち、もう一方の手で受話器を持って電話している。

 カウンターの奥ではサブローがコップや皿を洗っている。

 

声(中林)「サブローは入館記録なしで、おれの権限で首相官邸に入れた。

 警備室にも入館記録は残さないよう命令した。

 防犯カメラだが、サブローがうつっている映像はすべて消去した。

 警備員たちには誰にも他言するなと言っておいた」

柴田「でもパパ、警察にはしゃべるでしょう」


〇首相官邸・執務室


中林「そんなことはない」

声(柴田)「信じられないなあ」


〇ゲイバー「プルースト」


柴田「とにかく、ぬかりなくやってくださいよ」

声(中林)「もう切るぞ」(カシャという音)


 柴田、受話器を置き、カクテルを一口すする。


サブロー「それよりアニキ、大変よ」

柴田「どうした」

サブロー「最近、警察のやつらがこの近辺うろついてるの。

 あいつらあたしがここの二階で暮らしてること、つきとめたみたい」

柴田「まさか。だったらなぜお前を逮捕しない」

サブロー「逮捕する前にいろいろ下調べしてるのかもしれないわ。

 逮捕するのは下調べが終わった後」

柴田「下調べ?」

サブロー「あたしが逃げるときの逃走経路の確認だとか、仲間がいるかどうかとか。

 アニキのことも調べられてるかもしれないわよ」

柴田「まさか(サブローの頬に手をやりながら)、ありえないよ」


 柴田、サブローとキスする。


〇カフェバー「ホロスコープ」

 大スクリーンにはミュージックビデオが流れている。

 里見、店に入り、スツールに腰掛ける。


英恵「あら、いらっしゃい」

里見「あのう、ロイヤルミルクティーください」

英恵「はい」


 英恵、カウンターの奥へ行こうとする。


里見「ちょっと待ってください」

英恵「(立ち止まって)……」

里見「次郎さん、どうしてダンボール箱に住んでるんですか?」

英恵「(驚いて)どうして知ってるの」

里見「英恵さんが新宿駅西口で差し入れしたとき、あたし幽体離脱してあそこにいたんです」

英恵「幽体離脱?」

里見「泉さんがくれた水晶玉だけど、あれ使うと幽体離脱ができるみたいなんです」

英恵「そうなんだ。そう言えば、里見ちゃんの声が聞こえた気がしたわ」

里見「あの後、次郎さんは公衆電話で名刺の裏に書いてあった電話番号に電話したんです。

 そうしたら誰が出てきたと思いますか。声の感じからして室野さんみたいだったんです」

英恵「室野さん? そう言えば室野さんって水晶占い得意だったわねえ」


 大スクリーンがミュージックビデオからニュースに切り替わる。


〇テレビ画面

 アナウンサー2が画面の中央。


アナウンサー2「臨時ニュースをお伝えします。

 竹山首相暗殺事件で警察は黒木次郎三十歳を容疑者として指名手配しました」


 黒木の顔写真がクローズアップされる。


(つづく)

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