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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編他

だから彼女は夜ごと首を絞める

作者: 如月ふたば

 長春恵瑠(はながるめぐる)は訛りのように重い体をベッドに横たわらせた。

 そして眠る前のいつもの動作をする。

 ゆっくりと自らの首を絞めたのだ。


 じわじわと力を込めていく。

 徐々に首への痛みと息苦しさが強くなる。


 息が出来ないと感じる力加減で、数秒止めた。

「げほっ」


 

 彼女の人生はずっとずっと息の詰まるものだった。

 もちろん感覚として。


 周囲を見渡せば楽しそうに過ごす人々ばかり。


 長い春が巡っている。

 自分の呑気な名前を随分と呪ったものだ。自嘲と共に。

 

 息苦しさが強くなっていく日々にテレビで見たのだった。

 海外の若者が首を絞めて遊び死者が出ている、と。


「意識が無くなるほど」の遊びからの死亡だという。

 だからこんな遊びはしないでくださいという意喚起のニュース。


 彼女はこれだと思った。


 息が詰まる思いをするなら、実際に息を詰まらせてみよう。と。

 あの日以来彼女は首を絞め続けている。


 凍り付いた冬の世界から、命が芽吹く春が来て欲しいと願って。

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