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研究者への説得




「あ、あの!このハーブティーってニャアさんが作ってるんですよね?」

「ン?そうだニャ。他にもポプリとか石鹸とかも売ってるニャ」

「それはつまり、人間にとって良い香りなんかがわかる、ってことですよね」

「んー、まあそうかもニャ。人間種には嗅ぎ分けられないフェロモンとかも獣人族や魔族にはあるからニャ」

「ムスクスフィアの激臭は、人間にとってはとても有害なんです。実際、香りを断つことによって症状の緩和が見られました。

………あれ、でもニャアさんはムスクスフィアの香りにはそこまで反応していませんよね?」

「そうニャ。あの香りに反応するのは人間種のみだと思うニャ。まあ、ニャアも半分そうだけど、あんまり影響はニャいみたいだニャ」


「つまり、香りはわかるけど、影響はなく、しかも魔法やその分析に精通している…すごい人材…ん、猫材…?ということですか!?」


「…!!!」


「たしかにそうっスね!さすがはハルカちゃん、着眼点が違うっス!」


「と、いうことは、この難問を解決できるような猫材は、ニャアさんしかいない…ということですよね!!」


ニャアさんは膝枕で甘えている体制から急にこちらに飛びかかってきた。

「!!きゃっ!」

「ニャア〜しょうがないニャ〜!そこまでいうならニャアが手伝ってあげてもいいニャ〜よ?」

態度を180度変えたニャアさんは私のタオルにすりすりと頭や体を擦り付け、愛情表現(マーキング?)をし始めた。

「あ!でも条件があるニャ!」

「なんですか!」


「ニャアのお世話をするニャ!」










可愛いニャアさんのお世話は簡単だと思っていた。初めて来た時のお家もそこそこ片付いていたし、私たちに高圧洗浄機をお見舞いするくらいなのだから潔癖なのだと思っていた。


「ちょっと!ニャアさん!なんでご飯をいつも3粒だけ残すんですか!!」

「だってなんか残したくなるんだニャ」


「ちょっと!ニャアさん!!脱いだ洋服をそこらへんにポイポイするのはやめてください!」

「嫌だニャ!だって楽しいんだニャ!」


「ちょっと!ニャアさん!!!なんで裸なんですか!!!!」

「ニャアは猫だニャー!!!」


「ちょっと!ニャアさん!!!!起きてください!そろそろ研究の時間ですよ!!」

「…もう、ちょっとだけ…お昼寝…する…にゃ…ぁ…」





「ニャアさん!!!!!!!!!!」




おかしい…何かがおかしい…

ニャアさんは7歳だが、猫獣人の成人は4〜5歳とされているのでもう立派な大人なのだ。

なのに、なのに…!


「なんでいつもはできてたことが私が来るとできなくなるんですか!!!」

「ニャ?できてたことってニャにかニャ?」

「家事とか、生活のこと諸々全般ですよ!!!だって、私が家に初めて来た時は綺麗だったじゃないですか!」

「それは自分がやるしかニャいからニャ。今は自分でしなくてもいいからニャ!」

なんなんだ…この怠惰な生物は…半分は人間なんじゃないのか…?

「しかも、1日に16回もお風呂入るんですか!!!それだけで洗濯物が大量なんですよ!!!」

「だってニャアは綺麗好きなんだニャ。それ以外に言うことはないニャーーー!!!」

「じゃあなんで散らかすんですか!!!!」

「じゃあ研究やめるニャ!」

「……………!!!!!!」


怒るに怒れない、私が許諾したのだ。黙ってニャア様の言いつけ通りに家事をこなすしかない。私は頭の中を駆け巡る怒りの言葉をなんとかその胸の内に封印することに成功した。



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