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『デザイナーが仲間に加わった!』



「ふーん。面白い形じゃない…!意外と異世界オバ…おねえさんもやるじゃない!」

こいつ絶対『異世界オバサン』って言おうとしてたじゃん…

「そう、これをオリバーさんに作っていただきたくて…。どうでしょうか?」

「こいつぁ面白えカバンだな。もちろんつくれるぞ!」

「本当ですか!!」

「ちょ、ちょっとアンタ!」

ヴァネッサが私の袖をちょっとだけ強引にグイッと引っ張る。

「その…デ、デザインはどうするのよ…」


私はちょっとだけイタズラ心が生まれた。


「あ〜そうなんだ〜迷ってるんだ〜誰かいい人いないかな〜」

ヴァネッサは目をキラキラさせてこちらを見上げている。


「素敵かつ機能的なデザインができて〜」


彼女は『そう、ここにいるじゃない!』とでも言いたそうな瞳だ。


「デザイナー自身にカリスマ性があって〜」


『そう!あなたの真横にいるじゃない!』


「締切を守れて〜」


『そうよ!私は締切を絶対に守ることでも有名なのよ!』


「タダでやってくれる人!」

「って、そんなバカどこ探したらいるのよ!!!」

「おめえさんが言ってたことじゃないか」

「はあ?それは、すでに素晴らしい実績があるこの私が言うからこそ実現できるのよ!」

「いや、おめえさんそれは無理なこったい」

「ふふっ。タダは嘘だよ」

「もーーー!!!!みんなして私をバカにしてーーー!!!むっかつく!!もー知らない!!!フンッだっ!!!」


ヴァネッサは完全にヘソを曲げてしまい、部屋の隅っこで革の切れ端を蹴っていた。


「ちょっといじめすぎましたかね?」

「まーいっつも口の聞き方がなっとらんから、たまにお灸を据えるくらいで丁度いいだろう」


「ふんっ。世間は私の凄さをもっと称えるべきなのに…」

隅っこでブツブツ聞こえるくらいの音量で呟く。

まあ、なんだかちょっかいを出したくなる可愛さがあるのは否めない…。


「あの…オリバーさん。いつも工房に来るとヴァネッサちゃんがいるような気がするんですけど…」

「ああ…前に少し話たがこいつは自分の店を失敗しちまって、借金を背負っとる。しかし故郷は魔物にやられて孤児院育ち。けんど今更孤児院にも戻りたがらねえってんで、うちの工房の屋根裏を貸しとるんよ」

「そうだったんですね…」

「店舗のもんだけでなく、家やら家財道具やらなにもかも持ってかれちまってよ。今嬢ちゃんが着てる服も、そっから自分で作ったもんなんだ」


たしかにヴァネッサのワンピースをよく見ると生地自体は高級そうな物ではなく、デザインと洋裁の技術によってお洒落に作られていることがわかる。

彼女自身の容姿や言動はクソガキそのものなのだが、この年で仕事をして、自分のお店を持って…失敗もしただろうが『周りの大人に絶対負けない』という強い意思を私は服から感じていた。




そういったデザインができるのは才能だ。


一度の失敗で彼女には終わってほしくない…!




私もヴァネッサと同じく隅っこに移動し、しゃがみ込んで小さい子に接するように話しはじめた。


「まあ、タダでってのは冗談なんだけど…」

「……フン!そうなら最初っから言いなさいよね!もうオバ…おねえさんったら、年のせいだけじゃなくて言葉を話すのも遅いのかしら?」



「ヴァネッサちゃん、茶化さずに聞いてほしい」



私は今までの人生の中で一番と言っていいほど真剣に彼女に話しかけた。





「私は召喚された勇者の身でありながら、才能とか、選ばれた職業なんてなかった。

今でも自分の進んでる道が正しいのか、誰かに教えてもらえたらどんなに楽なんだろうって思う。

だけど、私の思いは私が叶えたいなって思うんだ。

まだ誰かに託すのは早いんじゃないかなって思うんだ。


私…みたいな中途半端な才能しかないんだけど、ヴァネッサちゃんの才能が欲しい。


私の夢に一緒についてきてくれませんか?」




ヴァネッサの顔つきが癇癪を起こしている子供からゆっくりと、14歳相応に変化した。



「…いいの?私なんかで…

こんな言い方しかできないし…」


「うーん、まあ正直この才能を持ってしてもこの話し方は将来損するかもね…」


「は、はぁ?べっつに、おねえさんに心配されるほどお先真っ暗じゃないってーの!!!」


「あれ?でも借金が…」


「そ、それはダメ!反則な手を出さないで!」


「ごめんごめん。…まあ現実問題、私はあなたの才能が欲しい。あなたは借金を返済しなくちゃいけない。どう?利害は一致すると思うんだけど」


「っく……!」


ヴァネッサは後ろに勢いよく振り返った。

「ま、まあ?おねえさんがこんなにもお願いするんだから、優しい私がこの才能を貸してあげなくもないわっ!」


耳まで真っ赤にしながら彼女はこう続ける。




「さあ社長?ブランドのイメージは決まってるのかしら!道のりは想像の100倍はあるって思いなさい!!!」





見事に(口の減らないクソガキ)天才デザイナーを仲間に入れることができた。





って、あれ?これって…



私が社長になるってことなの…!?



作者のぶどう味です!

いよいよ(問題児)の天才デザイナーが仲間に加わりました!

さて、次はどんな子が仲間に加わるのか…!?


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