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ランドセルからキャリーケースへ


「さて、お茶会もそろそろこのくらいにして…高級志向で考えていらっしゃるのなら、このカバンの形は別の物の方がいいと思いますわ」

ララー様がナプキンで口周り整えながら、貴重なご意見を述べてくださる。

「そうですね…今、上流階級で流行っていることなど教えていただけませんか?」

私はメモを取る準備をした。

やはり、わからないことはわかる人に聞くべきだろう。


「そうですわね…戦争が終結し、購買意欲が湧いて階級に関係なくお買い物をする方は増えていますわね。

ちょっとお高いものを奮発して購入する方もいらっしゃるとか…他には…あ!旅行も上流階級を中心にブームになっていますわね!」

「旅行ですか!」

「王室勤務の同僚にも、旅行の予定を立てている人が何名かいますね」


「そうなんですね…旅行か…。

じゃあ、旅行用カバン…キャリーケースなんてのはどうですかね?」

「それ、いいアイディアかも!向こうの世界で有名なあのハイブランドも、旅行用カバンから始まったらしいからね!」

「そうなんですね!葵さんって物知りですね!」

「そのキャリーケース?ってどんな形なのかしら?」


私はメモ帳をテーブルの真ん中に置き、描きながら説明した。


「荷物を入れる箱の下に小さな車輪をつけて、取手を引っ張っることによって楽に運ぶことができるんです!私たちの世界で旅行客はこれが主流でした!」

「まあ!それは便利そうなアイテムですわ!」

「さらに、この箱に錠前をつけることによって防犯対策もバッチリなんです!」

「まあ…!たしかに旅の途中に盗賊に襲われて、荷物を差し出したなんて話もたまに聞きますから、とても安心できますわね…!メアリーはどう思うかしら?」

「そうですね…従者としては、ご主人様のお荷物を安全に運ぶことができるなら…何でも良いとは申し上げませんが、これは私どもといたしましても良い品に思えます」


パァァァっと世界が広がった気がした…!


「皆さん、ありがとうございます!!!私、工房に行ってきます!!!」


3名に何回もお辞儀をして私は部屋を飛び出した。







「ハルカちゃん、資金のほうはどうするのかしら…」

「まあ、資金難ですの?」

「ハイブランドの立ち上げなので、それなりに…私もいいアイディアだと思うし出資したいとは思っているのですが…」

「そうですわね…わたくしもお手伝いしたいのですが、王家に嫁いだ身として一民間企業に肩入れすることはできないのですわ…」



葵とララー公妃は無言で紅茶をいただく。

そして何かを思いついたように、カップをソーサーに置いてから公妃が呟く。


「でも、あの子なら……」



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