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プロローグ

(………此処は……?)


 眩しい光を感じ、いつ閉じたのかも分からない目蓋を開くと、私は真っ白な空間にいた。

 何処か既視感のある———だけど、全く思い出せない光景に首を傾げる。


「おはよう、とでも言えば良いかの?」


 背後から声が聞こえ、振り向くと、そこには金髪の少女が立っていた。

 可愛らしい顔立ちなものの、何処か威厳に溢れ、恐縮してしまう。


「ああ、御主が疑問に思っている事は理解しておる

 が、説明している暇はないので、天国だとでも思っておいてくれ」


(天国………私は、死んだんですか?)


「うむ、そうじゃの

 御主———霧宮 朔夜は死亡した

 死因は、ホラー映画によるショック死じゃ

 こんな例は、我も初めて見たぞ」


(………凄く、残念な死に方な気がする)


 私がショックを受けている間も、少女の言葉は続く。


「そして、御主には三つの選択肢を与えよう

 一つ、神見習いとなり、修行をつむ

 一つ、我の担当の世界に生まれ変わる

 一つ、元の世界——地球に生まれ変わる


 地球へ戻る場合は記憶を消すが、我の世界へ行く場合は、記憶を残し、特典もつけよう

 正直にいうと百%善意ではないのじゃが………まあ、事情は後に分かる


 神見習いになる場合は、もちろん、厳しい試練が待ち受ける

 じゃが、一人前になれば、常識の範囲内であれば大体の事は自由になるぞ」


(生まれ変わり———転生、ね

 まず、その世界の事を伺っても?)


 声を出そうとしても、音は出ない。

 それでも会話が成立しているという事は、心を読む事ができるのだろう。

 やっぱり、「神」という存在は、人間では考えられない様なこともできるらしい。


「うむ

 所謂、剣と魔法のファンタジー世界じゃな

 地球にもよく似た世界観のものがあるのじゃが………御主は知らぬ様じゃし、関係ない

 地球でいう、中世時代に当たる

 それ故、ドレスや貴族など煩わしいかも知れぬが、慣れれば良いものじゃよ」


(王道ファンタジー!

 凄く気になるし…………この機会は、有効に使うべきだよね

 神様、異世界転生でお願いします!!)


「承知した

 一応聞いておくが、神でなくてよいのか?」


(私には、荷が重すぎるので………

 えっと、その事情に協力さえすれば、後は自由に生きてもいいんでしょうか)


「もちろんじゃ

 それに、御主が積極的にするべき事は特にない

 我が誘導していくから、問題はないぞ」


(ありがとうございます)


「うむ

 それでは、人物像決定ガチャを回すのじゃ!」


(…………????

 えっと………ガチャ???)


「そうじゃ

 地球では、これが流行っておるのじゃろう?」


(流行って………る………かな?

 あ、ガチャで何を決めるんですか?)


「そうじゃな………

 身分と種族になるかの

 それと、三つまでの願いなら、なんでも叶えよう

 ああ、常識の範囲内じゃぞ?」


(大盤振る舞い!!

 えっと………では、まず、ガチャを回しても?)


「うむ

 回すのじゃ!」


 その神様が指を指した先に、一瞬で大きなガチャが現れた。凄い。

 そのガチャは二つあり、上の方に「身分」「種族」と大きく書かれている。


「ちなみに、R以上確定じゃから、気負う必要はないぞ?」


(あ、ありがとうございます

 …………気分は壊された気もするけど、ありがたいのは本当だしね)


 少し緊張しながら、二つのガチャを回す。


 出てきたのは、金色のカプセルだった。


「おお、SRじゃ!」


(スーパーレア?

 えっと………多分、いいんだよね?)


 中の紙には、こう書いてあった。


『身分:天使の王女

 種族:天使のハーフ

   :エルフのクォーター

   :人間のクォーター』


(………ほぼ人外!

 っていうか、天使とかエルフとかもいるんだ………)


 ファンタジー要素に感激していると、紙を見た神様が、何か納得した様に頷く。


「そうか、彼奴らの娘か

 良かったの、両親ともよく出来た人物じゃ

 それに、天使なら姫でも、比較的自由にできるぞ」


(えっと………喜ぶべき、かな?

 まあ、幸運に変わりはないんだろうけど)


 事情が分からないので複雑な気持ちになりながら、神様に促され、三つの願いを考える。


(う〜ん………

 魔法、は使ってみたいなぁ

 神様、私は魔法って使えるんですか?)


 視線をあげてみると、神様は頷く。


「うむ

 常人の何十倍くらいは使えると思うぞ

 だから神への選択肢を示した、というのもある」


(な、なるほど?

 衝撃だけど、とりあえず魔法は問題ないかな

 後は………健康な体は欲しいよね。健康第一

 それから………神様、その世界の人の容姿ってどうなっていますか?)


「カラフルじゃな

 我の様な金髪もいれば、日本人の様な黒髪もおる

 じゃが、黒い髪は一部では忌諱されておって、あまりいい気はしないかもしれん」


(そうなのか………その人達、日本のお偉いさんの元に連れて行きたいな

 でも、どうせ異世界なら、違う色にしてみたいよね

 日本で染めたりしたら目立つけど………地毛がそれなら楽しめるし

 色………銀髪碧眼かなぁ)


 ミーハーだなんだと思われるかもだけど、私はこの色合いがとても好きだ。

 その次に好きなのが白髪赤眼で、その次が白髪碧眼。薄い髪色に、濃い眼色っていうのが好きなのかも。


(もう一つ…………あれ、思いつかない

 生活環境的には問題ないだろうし、憧れの魔法も使える

 多少の制約はあろうと、王女なら欲しい物も手に入るだろうし、そもそも物欲がない


 ………神様、お願いは二つだけでも構いませんか?)


「………え?

 あ、うむ。構わんぞ

 じゃが、本当に良いのか?機会はこれっきりじゃぞ?」


(はい

 多少の事なら、自力でなんとかなるでしょうから)


 それに、私は必要最低限を満たす生活ができていれば文句はない。

 だから、このお願いですら贅沢なのだ。


「…………分かった

 その願い、リンネの名において、叶えることを約束しよう

 そして、御主には我の祝福も授けておく

 それがあれば、苦労する事も少ないだろう」


(ありがとうございます)


 よく分からないけど、サービスしてくれたらしい。


「それでは、そろそろ時間じゃ

 ………朔夜、()()()()()


 ………また?


 胸に少しの疑問を残したまま、私は眩しい光に包まれた。

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