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ビッチとはよく言ったもんだな  作者: きっと小春
第一部 弾丸黒子とはよく言ったもんだな編
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混水模魚とはよく言ったもんだな

 海底を歩き続け、何処かの砂浜にたどり着きました。勿論、全裸です。おっぱいは更に成長して大きくなったと思いますが、鮫肌です。誰も砂浜にいないことを確認して、いよいよ上陸します。まぁ…知らない人が見たら、海から魔物が現れた感じですね。


 そうそう…。この世界についてですが。基本的に平民は、生まれた街の中で一生を過ごします。街の外は、魔力を持たない人間にとって、倒すのが困難な魔物ばかりですから。ちなみに魔力を持たない騎士たちは、魔法の武器が与えられるため、多少は戦えます。


 街の構造は、何処の街も大体同じだと聞かされています。街は、外側から外壁・内壁・城壁の3つの壁で守られています。外壁は、街と外を隔離するため、硬い岩石を積みかせね分厚く高く作られています。3,000人程の街でも周囲10kmほどあります。次に内壁ですが、外壁との間の土地に、畜産農家が住み街の食糧事情を支えています。さらに内壁と城壁の間には、工業、商業、住居等の区画が割り当てられています。また城壁の中には、貴族たちが住み、政治や軍事の施設などがありますが、平民は入ることはないでしょう。


 陸地の魔物に出逢ったことはありませんが、海中の魔物たちのように、話せば理解し合えるのではないでしょうか? と考えたのですが、シャーク師匠から見れば、【呪詛印】を持つ私は、魔物だと言われました。


 兎に角、【呪詛印操作】で体臭の改善です。修行の殆どの時間を費やした【スライムの水晶】の【呪詛印】は、何と…発汗、色、形、質感、形状維持、性質変化など、汗の操作を可能としたのです。まずは発汗して大量に汗をかきます。その汗が空気に触れ、緑色のドロドロに変化するタイミングで、色を透明に、布や革を溶かす性質を排除して、イカ臭い体全体を薄く覆い…つまり、コーティングです! 無臭にして、ついで【呪詛印】の部分には、肌色にして綺麗に隠します。


 そして、サラサラな黒髪も眉毛もまつ毛も再現します。さらに、ドロドロの汗を加工して、黒で統一された魔女ローブと、耳を隠すための帽子を作ります。これで汗をかいても服は溶けません。ちなみに魔女コーデの私は強気で負けず嫌いです。


 さて、ここで重要なのが、形状維持なのです。大量の汗で作り上げたコーティング、衣服、髪の毛などは、放っておくと、5分程度で汗に戻ってしまいます。そこで、形状維持を使用してロックするのです。しかし、一度、形状をロックしてしまうと、後でちょい足しみたいなことは出来ません。例えば魔女ローブから、修道着に変える時は、形状維持のロックを解除して、更に、つるっぱげ&素っ裸に戻る必要があるのです。


 ちょっとした使い勝手の悪さはありますが、これで普通の人間として生活できるのです。


 シャーク師匠ありがとうございます!!


 シャーク師匠のご友人のダイオウイカ先生に教わった【呪詛印操作】で、イカ箒を召喚します。勿論、先っぽはイカの触手ですね。他人から見れば、ウニョウニョして気持ち悪いですが、私は可愛いと思います。そのイカ箒に跨り、ヒョイッと空を飛んでみます。魔法の箒なので、空を飛べるのです!!


 歩いて行ける距離に街がありますね。私は、地上に下りて、イカ箒をしまいます。魔物は怖いけど、目立ちたくないので、歩いて街へ行こうと思います。


 海の魔物の友達は沢山出来ましたが、人間の友達いない歴17年となった…私ですが、これから友達が出来るでしょうか? いや出来るに決まっています!!


 あっ…。街によそ者が来ることは…。それも、たった一人の女性が来ることなど、あり得ないのです。門番に何と言って、誤魔化せば良いのでしょうか? 最悪、魔物か…いえ、言葉を喋る悪魔だとか言われ、魔物として討伐される可能性もあります。何も良いアイディアが思い浮かばないまま、街の外壁にある門までたどり着いてしまいました。しかし、何故か外壁の門が開いていたのです。


「おい。魔女のお嬢さん! 外は危ないから、早く中に入ってくれ!」


 門番の悲痛な叫びが聞こえました。門番の背中越しに見える門の内側には、沢山の人で溢れかえっていました。


 私が門番に近づくにつれ、門番の目線は徐々に胸元に移動し、今の視線は完全に痛いほど胸元を刺しています。


「エロい魔女だな…」

「今、エロい魔女と言ったのか?」

「あぁ…。言われたくなきゃ、そんな格好はしないほうが良いな」


 は、はい? 黒で統一された魔女ローブですよ? 別に胸元が露出している訳でもありませんよ? あぁ…そういうことですか…。印象操作での効果で、『魔女ローブ = エロ』となっているのですね。


「移民で、この街のルールを知らないのは、仕方がないが、外に一人で出るなんて、何処の街だって、同じように危ないだろ?」

「悪かった…。だが、ちょっとお花を摘みに…。中々、進まないので、我慢できなくてな…」

「そ、そうか…。悪かったな。言ってくれれば…。はぁはぁ…」


 『はぁはぁ…』って、完全に駄目になっている…。しかし、魔女コーデのおかげで強気な私に、門番もそれ以上の文句は言わなかったのです。そして、ばつがの悪そうな顔で、「もう行って良いぞ」と言われ、どうにか移民に紛れ込んで、街の中に入ることに成功しました。


 この街が、私の新しい人生のスタート地点となるのでしょうか?


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