迷頭認影とはよく言ったもんだな
お屋敷の主であるフィロア様から、衝撃の真実…それは嘘かも知れないけど…を聞かされた後、本来…敵であるかも知れないフィロア様と、ある計画を立案して…今は、周囲に悟られないように準備しています。フィロア様を信じるというよりも、何処までが…何が真実なのか、正直、私にはわかりませんでした。
面倒になったので、もっと遠くへ逃げようかとも考えましたが、孫娘のアリア様を見捨てることが出来なかったのです。
計画の一環として、フィロア様は、警備兼御者兼庭師のアルマさんに、私へ護身術を1日に2時間たっぷりと、教えるようにと指示したのです。
また魔道士ダリル様から、ポーガレスト行きのキャラバン隊の護衛に抜擢されたハンターのレイザさんが帰って来たため、屋敷に来て欲しいと連絡がありました。
「やぁ、パル。まずは残念な結果なのだが、君の【呪詛印】を解除するには…君の血族の命が何人かの必要だ。これは本当に恐ろしい呪いだ…。ここまで人間を恨むとは…」
「ちなみに、その方法とは?」
「君の良心を信じて言うが…バスタブを一族の血で満たし…そこに24時間浸かるのです」
「それは酷いな…」
「話を変えましょう。フィロア様からの要請で、ハンターのレイザさんをしばらく、あなたの専属トレーナーとして雇うように手配しておきました」
「専属…?」
「はい。今は別件で街を離れていますが、明日戻ってくるので、そのままフィロア様のお屋敷に住み込みという形で契約しました」
「レイザは自宅を所有していないのか?」
「そうですね。彼女の信条は身軽…らしいですから」
「しかし、フィロア様から随分と期待されてしまったな。本来は、ただのメイドなのだが…。まぁ、期待に答えるべく、一日でも早く、魔物を討伐を開始するか…」
「私も期待していますよ。パル」
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「どれほど迅速に動こうとも、一ヶ月、万全の体勢を整えるならば、数年が目安だろう。敵も…こちらもだ。しかし、敵は…既に動き出している可能性が高い。今は安心だが…数週間後は…保証できかねる」
これは傍から見ると、よくあるカラム家とレズナ家の貴族同士の争い。だが、本質は異なる。裏で二つの貴族を戦わせているのがアーベーニ家だと、お屋敷の主であるフィロア様は、言い切ったのだ。
「パル…リーシャの両親が巻き込まれた争いも、アリアの両親が巻き込まれた争いも、アーベーニ家が裏で暗躍していたのだ。妄想だと言われても仕方がない…証拠は何一つ無いのだからな」
「アーベーニ家…カーファ姉様が?」
「これも…憶測の域を出ないのだが、パルもアリアも、カラム家、レズナ家、アーベーニ家…全てから狙われている可能性がある」
「私が…カラム家から? それに…アリアも??」
「何も信じるな。私でさえも…実は、無意識の内に情報操作されている可能性がある。パルは君の直感を信じてくれ」
「はい…」
アルマさんは、短期間という理由から、全て実戦訓練で指導するつもりです。
「短期間で騎士に勝とうなんて、絶対に無理だ。だが、そこらの盗賊なら…視線に気をつけていれば、何処を狙っているかがわかる。わかれば、回避率も大幅にあがる! ほらっ!」
木の棒を持ったアルマさんは、視線と剣の構えから…大凡来るであろう剣筋を説明しながら、回避手段をレクチャーしてくれた。
「駄目だ。怖くても、小さく避けることが重要だ。それでは一撃目を避けても、二撃目で死ぬぞ」
こちらはあくまでの剣を持たず素手というシュチエーションです。つまり、回避だけを教わっています。その理由をアルマさんは、何も聞かずに、指導してくれました。




