「煉獄」
「ウヲオオオオオオオオオ!!」
「うおらああああああッッ!!」
燃え盛る太陽、いや隕石のごとし赤き光。豪速の超高熱とともに隕石のごとく降下してくるヒノ。
迎え撃つは月に隠れ静かに黒光りする影。蹴り上げたアスファルトを足場にし上昇してゆく建だ。
ふたりが遥か高空で激突し互いの軌道が一筋の線となる。
「ぬうううううううううん!!」
「どおうらああああああッ!!」
やがて交わり点となったそれらが繰り広げるは、四肢のぶつかり合いで火花飛び散り大気切り裂かれし火炎と烈風の乱舞だ。
建の乗った破片が衝撃で砕け散りこっちまで降り注ぐ中、その激闘の様子を一服しながら見守る。
とりあえずはよし、ヒノの落下の勢いを調子よく殺してる。さすが建、俺たち3兄弟の“努力”ポジの実力は伊達じゃないな。
「じゃ、ヨミさんは何担当なの」
「俺は“友情”さ。世の女性すべてを俺の“竿姉妹”として繋ぐ架け橋となり、優しい世界を作りたい」
「はあ、絶対に言うと思ったわ」
さて、あとはあの灼熱地獄で建の身体がどれだけもつか。
「ふん、オレとここまで張り合えるとはな。大したものだ」
「“心頭滅却すれば火もまた涼し”。これも鍛え上げた筋肉の賜物よ。おめえ様の熱程度じゃ、おれにとっちゃ湯舟と大差ねえ」
「ほお、言ってくれるなぁ。ではこういうのはどうだ!?」
ヒノが息を大きく吸い込むと、なんと口から勢いよく火炎が吹き出した。赤熱の波動が建の身を焦がさんとする。
「ふん、らああああああッ!!」
対する建はパンチで気流の壁を作りかき消そうとするが、
「うっ、ぐおおおおおおッ!!」
自由に身動きの取れない空中では、さすがに蛇口の水のように際限なく噴出する炎を到底最後まで捌ききれず、とうとう呑み込まれてしまった。
「ぐう、ううっ。――オオオオオオらああああああッ!!」
しかし転んでもただでは起きないのがやつだ。焼かれながらも自らの起こす風圧と推進力で空中を泳いでみせる。
「おらあッ!!」
「ごふおっ!!」
空中滑走からの、ヒノの喉元目がけた回し蹴り。まさかやつもそんな動きは想定外だったのだろう、不意打ちで強烈なのがクリーンヒットする。
そのうちにふたりの姿はもう、それなりにはっきりと視認できるほどの高度にまで到達していた。
だがさっきまでとは一転、ふたりは空中に静止したまま微動だにしない。建の渾身の蹴りが受け止められてしまったからだ。
「くっ――!!」
「惜しい惜しい。ククククッ!」
「離してくれませんかい。ジュウジュウと熱くて仕方ねえ」
「こうなればもう終わりだ……!! さあ焼け死ねィ!!」
ヒノはもう片脚をもガッシリと掴み、建の頭を下に向けつつ再び降下し始めた。その勢いがその軌道が、またも地面に向け伸びる炎の道と化す。
「ぐうううおおおおおおおおおおおおおおおッッ――!!」
「“煉獄パイルドライバー”だ! さあ、地面に叩きつけられるか灰になるか、どちらが先かな!?」




