スーコが過去に負けた男、そして中学男子
次々と表れる新たなMC達のペア、スーコの知り合いやその他。マケルには全く理解できない世界観で繋がっているとおぼしき面々が、一同に会する!
「あー!グリッターだ!久しぶりぃ、あんたも捕まっちまったのか、なさけねーなぁ!マケルぅ、あいつグリッターって言つヤツであんな男前のくせにバトルでアタシに一度勝ってるんだぜ」
と言ってまた風鈴の様な声でコロコロと笑った。
スーコが負けた?この男どれ程強いんだ。
グリッターと呼ばれた男は中肉中背だが筋肉質の身体で、ブランド物とおぼしき革の上着を着て髪は金髪、細身のパンツに高級そうなスニーカーを履いて、およそラッパーには見えない。
そしてグリッターの後ろには、ごく普通の癖っ毛でメガネの中学生男子が、詰め入りを着てただそこにいる…という装いで立っている。グリッターは
「久しぶりだなスーコ、ずいぶん暴れてると言う噂を聞くぞ。そうだ…こいつはユウスケ、こう見えてラッパーとして一流と言って良い、お前らもここに来る前にバトルしただろ?」
と言い、中学生を紹介した。
マケルはうんうんと頷き、スーコは「あれってバトルだったの?」と言ったが「アレは間違い無くバトルでした、しかも殺されそうになってました」とマケルはスーコに向かって言った。
スーコはニコニコと笑いながら「そうだねバトルだね、マケルは頑張った頑張った」とマケルをなだめたが、すぐにキッとグリッターとユウスケの方を見た。
グリッターは続けて言った。
「ユウスケは俺とバトルをする前に2人のMCを倒してる、東地区のMC好魔、南地区のシャンティーQ、そいつらを倒してる…」
スーコはそれを聞いて少し怪訝そうに言った
「2人とも割と強いよね、私も前にバトッたけどシャンティーはそこそこ食い下がって来た、その2人は今どこよ」
グリッターは言葉を詰まらせながら、ユウスケを見て言った。
「2人共、死んだ」
スーコとマケルは顔を見合わせて驚いた、スーコはグリッターに聞いた。
「って事は、先の2人はユウスケに負けて殺されちまって、グリッターが勝ったって事?」
グリッターは答えた
「いや、俺はユウスケには負けた、大敗だ。しかしこいつに俺が選ばれた様だ、隔離されている時に聞いた」
そんなやり取りをしているスーコを見て、ジャージ男が怒り心頭で吠えた
「おい!無視すんじゃねえぞっ!スーコ、忘れたんじゃねぇだろうな、俺のチームで打ったMCバトルで優勝賞金だとか言って俺らの金庫から3000万円持って行きやがって!」
グリッターの話しも信じ難い程驚いたが、マケルはバトルの賞金金額を聞いて声を出さずにいられなかった「さ、さ、3000万円?!」テレビのバトルでも100万円が最高額なのに…。
「あんな八百長バトル打っといて、正当に私が客巻き込んで勝って文句言われる筋合いねーっての、アレでテメーの仲間が大分減ったって聞いて笑っちまったぜ、スネークさんよぉ」
マケルは例のレコード屋で聞いた話だ、と思い話を聞いていた。
「それに最初から優勝賞金3000万って言ってたじゃねーか、何でテメーごときの仕込みでアタシが負ける前提なんだよ、バーカ」
とスーコはスネークと言うジャージ男を見ずに言った。
すると更にマケルたちの隣の扉から、モヒカンで首にも顔にもタトゥーの入った男が、ぬらりと出てきた、その男の手には引きちぎられた手錠がかかり、その後ろには押韻の制服を着たメガネの女子が立っていた。
マケルはその女子を見て思わず声が出た。
「委員長…な、なんで?」