Shape of My Heart
何かロジックがあるはずだということだ。
バトルに負けて身ぐるみを剥がれても、それでも韻牙島にいる理由がある、それは一体何なのか…
ラジオからは先ほどかかっていたNasのmessageの元ネタです、とStingのShape of My Heartがかかっていた。
スーコは「英語の歌はなに言ってるかわかんね~よ」と言ったが、マケルは押韻学園のヒップホップ科ストリート史でNasとStingの曲について習っていた、StingのShape of my hdartに関してのStingのインタビューがテストの題材になった為、曲も聴き込んだし、暗記する程インタビュー記事も読んだ。
そのインタビュー記事がこれだ。
「カードプレイヤーについての歌詞が書きたかった。
勝つためでなく、何かを突きとめるために賭けをやっている。
幸運や運命の中にある神秘的なロジック、科学的でほぼ神聖な法則のようなものを発見するために賭けをやっているギャンブラーについて書きたかった。
つまり、歌詞に登場する男は哲学者だ。尊敬されたいとか金のためにプレイしているのではなくて、ただ法則を知ろうとしている。
何かロジックがあるはずだということだ。
彼はポーカープレーヤーだから、自分の感情を表現するのは簡単なことじゃない。
実際、彼は何も表現しない。
仮面を被っているのさ。
それはただ一つの仮面で決して変わることはない」
マケルはラジオを聴きながら、Stingのインタビューを思い出してスーコと重ねていた。色んな覆面をしてバトルに出て賞金をかっさらって行くスーコだが、実態は一人しかいない。それに本当にスーコは金の為だけにバトルをしているのだろうか、否…韻牙島の全員が何かのロジックにより、ヒップホップと言う瓦礫の山から生まれた不完全で不平等な音楽に惹かれている事を否定しながら、聴かずにいれない…いや、プレイせずにはいれない輪にハマっているのでは無いのか?と…マケルはふと思い、それをスーコに言おうとしが、何だかかっこをつけている様でやめた。
ラジオのDJが次の曲はEMINEMのlose your self
と言うと、スーコは
「チャンスは一回だかんな?掴むのは自分だかんな?…って歌詞だよ、何かのサイトで公開されてるこの曲の歌詞をU次がきたねー字で書き写してたわ~」
と言った、続けて
「まあ、チャンスなんて何でも一回だよな、今のアタシらなんてチャンス逃したら死んじまうんだぜ?
自分の好きでバトルやってるとは言え、韻牙島の連中皆が明日の事を考えず、財布の中身がかすれる位バカすか金をかけたり人生をなげうったりしてんだからさ」
確かにこの数日見て来た人々は少なくとも、治外法権となっている韻牙島の中でヒップホップと言う得たいの知れない何かに賭けている
「でさ、アタシなんてバトルで負けた時の賞金は何にするんだって聞かれたら
『じゃあアタシの一生をテメーにやるよ、アタシが負けたらアタシを好きにすればいい』
で大抵の奴は納得すんだぜ?それで島の奴等は自分の財産の殆どをかけた上に負けて人生棒に振ってるんだ、よく考えりぁ賭け金や賞金なんて正直な話し命をはってりゃ何でも良いんだよな」
マケルは根本的にスーコとは住む世界も価値観も違う所で、ヒップホップと言う曖昧な物でつながっている事を自覚する、lose your selfのリリックでは続けて「スターになってもイバラの道、人気が無くなり忘れられちまうのがオチ、でも辞めねえラップだけが俺を評価する価値…」と続いた。




