今一番ホットなMC
スーコの謎が解けていく。
運命のいたずらか、それとも必然か。韻牙島最強と言われる女MCと、韻牙島最弱と言われる男MCが出会った!
「スーコ」と呼ばれ、巷で名を馳せる野良バトルMCは、噂では学園の選抜MCにも負けぬとも劣らぬラップスキルだと言われており、実際に2年ほど前に選抜MCの一人がスーコに負け、責任を取って退学して以降行方不明と言う話もある。
今回も押韻学園のラップ研究集団「韻詩研究会」全員を倒した…なのに何故押韻に入学しないのか?野良バトルにばかり出場し賞金稼ぎをするのか?
ネットでも様々な憶測が飛び交い「実は一人だけ勝ったMCがいたらしい」だとか、MCバトルの動画やリリックの書き出しもあった為、対スーコMCsまで組まれたが勝てなかった。
いつもバンダナか覆面、時には紙袋を被り顔すらわからないMC少女には熱狂的なファンがいたし、SNSにはなりすましもいる程で大手レーベルも本人を探していた。
そんな今一番ホットなMC「スーコ」が、自分の目の前にいる、何故だ、何があったのか思い出せ!そもそもこいつは本物か?とマケルは必死に経緯を思い出そうとした。
そんなマケルの動揺ぶりにスーコはニヤニヤしながら
「まあ、あんだけキツイ薬を射たれちゃしかたねえよ…アタシだってあの女に拉致られて、あんたとバトったあと、薬を射たれからの記憶が無いよ」
「え?そうだっけ?俺はあのスーコとバトったの?」とマケルは今まで押さえていた股間から手を離し、頭をかきながら、これぞ間の抜けた高一男子と言った面構えで頭をかくマケルは、ハッと我に返りスーコに向かって言った。
「あ、あんた…あの、あれだよな…」
と言い終わるか否かで
「ああ、野良バトルあらしのスーコって言った方が早いかな」
マケルはやはりと思った、スーコは続けて言った。
「バトルの時は顔は隠してっから分んねーはずなんだけど、奴等よくアタシの事が分かったよな、あんなさらわれ方したの初めてだよ」
マケルはスーコに言われて、黒塗りのセダンで連れ去られ、ズタ袋を被せられたままで倉庫に押し込められ、目の前にいるとおぼしき相手とMCバトルをしろと言われたのを思い出した。