家族への別れ
マケルには二つ下の妹がいる、淳やティアラと同い年だ、しかしもし両親がいなくなった時、両親の代わりが出来るか?と言われ即答で首を縦に降る自信は無い、こんなタフな状況の中で、しかもラップだけでこの子供たちを養って来たスーコ達のフリースタイルバトルへの思いや姿勢は、マケルやその他の押韻学園生とは全く別物でる。
それがどんな思いかまでは16歳のマケルにはまだ分からないし、スーコ自身も他の世界を知らないから自分とラップの関係の深さ等考えた事がない…否、もはやラップだけでなくヒップホップと言う文化とスーコの接点の濃さと言う観点なのかも知れない。
スーコはゆっくりと立ち上がり、マケルの手を握った。
マケルはスーコと知り合ってから間もないが、何度も手を握られドキドキした、しかし今度は少し違った、手を握ったままスーコは言った
「ママをちゃんと紹介するよ」
いつになくスーコは真面目で、マケルもそれが「もしかしたら寮母と話せるのは最後かも知れないから…」と言う意味である事も理解した
「分かったスーコ」
とマケルは真面目に答え導かれる様にスーコに続いた。
こうしている間にも、二人の首には爆弾が鎮座している、そしてMCバトルに負ければ爆発し二人とも即死だ。
確かに家族や大切な人に思いを伝えておかねばならない。
マケルは、図らずもスーコに命を預けてしまう事になる、寮母さんには挨拶…と言うより礼を言わなければならない。
マケルはその時ふと思った「俺も家族に会いたい」と。
するとスーコはそれを察したかの様に言った
「このあとマケルんちにも行こうな」
しかしマケルは、自分の家族に会ってしまったらもう韻牙島に引き返せなくなるんじゃないかと、理由の無い不安が過った。
そうこうしている内に、一回の院長室の前に到着した。




