Don't Forget my man
スーコの勝ち方に物申すマケル、だが勝ち方のどこが悪いのか分からないスーコ。
2人はすれ違いながらも泪大橋と本土を分かつ門へと向かう
車を運転しながらスーコはマケルをなだめるように言った
「前に奴等に半殺しにされたって言っただろ?ゴモラに言い寄って弱点を探し出してからMCバトルに持ち込んで300万の賞金を出させた事があったんだけど、言いがかりを付けてきたから金を持って逃げたんだ、そしたらさっきのカラリパヤットのヤツ…シンって言う名前だったかな、アイツが出てきて捕まったんだ、女とか関係無くぼっこぼこだぜ?まあ隙を見つけて金を持って逃げたけどさ、カラリパヤットって何だよ、ったくよ~」
マケルはスーコの話を聞いて
「それ…MCバトルに勝ったのかよ、さっきのも微妙な所だよ」
と疑る様な、呆れる様な言い方をした、しかしスーコはそんなマケルの態度とは裏腹に、理解に様にくるしむ様に
「アタシさ、なんだかんだ言ってストリートバトルじゃあ賞金も勝ち数もカンストしてるつもりでいたんだけど……さっきだってゴモラのヤツが払うって自分から言ったからさ、アタシらの価値観じゃヤツの負けなんだよな…アタシはそう言うバトルにしかした事が無いんだけど、マケルはどうやったら勝ちって思えるの?」
どうであれ勝った事の無いマケルは「勝ち方」に幻想を抱いているのか…校内のバトルとストリートバトルは確かに価値観が違う、しかしマケルは自分で勝ちのイメージを持てていないせいか黙ってしまった後、腹いせに言った
「スーコは…じゃあスーコはヒデやU次に何やっても勝ちゃ良いって教わったのかよ…」
それを聞いたスーコは少し悲しそうな顔をして、しばらく黙って前を見ながら運転をした。
島から98個めのポエム
「Don't Forget my man(ダチの事は忘れない)」
のタグを過ぎた辺りでスーコは口を開いた
「……アタシはヒデとU次にしかラップを教わってない、後は全部バトルでの駆け引きでラップを覚えたから…他は知らないんだよ…だからマケルの方が本当のラップやバトルを知っているんだと思うんだ…」
それを聞いたマケルは、自分でヒデやU次の事を引き合いに出し、よけいな事を言ったと反省したが、スーコは続けた
「アタシの育った孤児院はアタシとヒデとU次がバトルで勝った賞金で立て直したの、それにアタシの下には沢山の妹や弟がいてさ、その子達がまためっちゃ食うんだよ。でさ、その子達がちゃんと大学出られる位賞金を稼ぐって決めたの…でも子供ってすぐでっかくなちゃうしあんまり時間が無くてさ…」
と話した、マケルはなんと答えるべきなのか分からず、黙って話を聞いた。
「でもね、アタシいつかラップをやめなきゃいけない日が来ると思ってんだ…それまで賞金でいっぱいお金を稼いでさ…」
スーコは少し言葉を詰まらせた。
「でも、アタシどうやってラップやめるんだろう、自分でも分んないけど、多分『納得いく負け』を知ったら終わっちゃうとかなのかな、まあ今負けちゃったらホントに終わりなんだけど、って言うか別の終わり方もあるかも知れないね、だとさたらまともなバトルをしなきゃ、だね」
と言い少し悲しげな顔をして笑った。
マケルは野良バトルどころか校内のMCバトルにすら勝った事がない。
スーコの様に何かを背負って「勝たなければならない」何者にも屈さず、どんな方法を取っても勝たねばならないと言う気持ちになった事は今まで無かった。




