戦う理由②
スーコがMCバトルで半ば強引とも思うようなやり方で勝ち続け、賞金をかっさらって行く。
痛快にも見えるが、そこには深い理由があった。
押韻学園とは何の縁も無かったが、ヒデとU次の話をして大笑いをしているムゴンを見かけた事があった。自ら選抜MCだと豪語するムゴンなら学園生だし金もあるだろう、と踏んだスーコは、校門で待ち構え一般生徒にムゴンを呼び出すように言い、ムゴンとのMCバトルに勝ち、16億相当の資産を言葉巧みに賞金として提示させ、まんまとMCバトルに勝ち全ての賞金を貢がせたのである。
セントエイティエンヌ孤児院は、確かに経営は困窮していたけれど、あまりの大金が匿名で寄付された為、寮母はその金を他の孤児院と折半しようとしたが、スーコは
「いいじゃん、お金はいくらあっても邪魔になんないしさ、いっその事もっと沢山アタシの妹や弟が増えりゃ嬉しいよ!それに皆が大学まで行けると良いよね!ママ」
と言い笑った。
20人近くいる孤児達を全員を満足行くまで食べさせ、不自由無く孤児院を運営するには、いくら金があっても足りない、寮母は困惑しながらも多額の寄付金を幼い孤児達の教育や、孤児院再起と運営に当てた。
しかしある日を境に、スーコはあまり孤児院に帰って来なくなった、寮母はその度に心を磨り減らす思いで心配したが、たまにボロボロになって帰って来ては鎮痛剤を飲み泥の様に眠るスーコを見て、寮母は心配しながら
「まるで野良猫みたい…あんなに弟や妹の事を思っているのに…こんなになるまで外で何をしているのかしら」
と涙した。
スーコが15歳になったばかりの事である。
その頃のスーコの事は韻牙島の野良バトル界隈では知らない者はいない程だったが、それは覆面少女MC、野良バトルあらしのスーコとしての認識だった…。
潰しにかかるギャングの八百長バトルにあえて応じては勝ち、金庫の金をかっぱらい、追われては傷付き、金持ち家系の不良崩れMCに色目を使い、有り金や土地の権利をどれだけ持っているか聞き出すと、ある事無い事を吹聴しMCバトルに財産や持ち金を賞金にしろと焚き付けては勝って持って行く、そしてまた追い回される…気がつけば韻牙島のMC全員が覆面の少女を狙っていた。
一部のギャングは、自分達が主催していないバトルでもスーコに勝った者に賞金を出すとまで言い出した奴等がいた程だ。




