戦う理由
韻韻もムゴンも過去スーコにMCバトルでやられている。
そして押韻学園理事長団野下も今までスーコを捕まえる事が出来なかった、スーコの戦う理由とは。
団野下自身、今回スーコが凄惨なバトルに参加して、あまつさえそれが自分の娘である事も、韻牙島の野良バトルで名を挙げている事も知っており、下山獅子録の目論みの第一ターゲットが、己の娘だと言う事に後ろめたさを感じていない訳では無い…。
それでは何故の野良バトルで有名になったのに押韻学園に召還入学させなかったのか…ユナイテッドミュージックの新人発掘部隊と同じく、学園強制入学部隊による捕獲作戦も執拗にやれば、あるいは捕まえる事が出来たかもしれない、更には入学に当たっての入学金は免除、衣食住は学園が保証すると言う条件をギャング主催の野良バトルに賞金として提示した事さえあったが、ことごとくスーコに見破られ捕まえる事が出来なかった。
しかし、スーコ自身絶対に捕まってはならない理由があった。
スーコは団野下の隠し子である事等知らない、ましてや母の顔もボンヤリとしか覚えていないが、とにかくMCバトルは好きだった。
自分でも言っていた通り3歳から入所したセントエイティエンヌ孤児院の運営が悪化しているのを14歳の時に知り、賞金のかかった町内MCバトルで優勝した事を期に、孤児院が一緒だったヒデとU次にラップの方法をもっと教えてくれと頼み、めきめきとラップやフリースタイルバトルの才能を開花して行き、3人は賞金をセントエイティエンヌ孤児院に寄付して来た。
自分が育った孤児院を自分達の力で守ったのだ。
賞金を得るにはMCバトルの相手は選ばなかったし、強ければ強い程ライミングが沢山出てきた。
それに勝ち方も選ばしなかった、だからスーコは韻韻やムゴンの人生を変える様なバトルを道端でけしかけ、容赦なく勝ったし、相手から金も名誉も奪って来た。
そうして14歳の少女は文字通りストリートで伝説となりつつあった矢先、ヒデとU次が失踪し、U次が東京湾でコンクリート詰めのドラム缶から遺体で発見され、ヒデは行方不明のまま捜索が打ち切られてしまった。
街では、もっぱらU次とヒデはヤクザの代打ちバトルに出てやられたと噂された。スーコはその話をしている奴等全員にバトルを仕掛けたかったが、高額賞金バトルの会場から出禁を食らうと仕送りが出来ない…スーコは涙を飲んでヒデとU次の噂を受け止めた。




