ぶっ壊れちまうっての
ついに目覚めた謎の少女、少女の正体不明。ラッパーを目指す童貞少年マケルの運命が徐々に方向転換し始める。
細身で華奢な身体つきだが、健康的でバランスの良い体型で、少し大きめな胸の左側鎖骨下に、青い人魂の様な型の親指大のタトゥーが入っている。
そして白くきめ細かい肌のいたる所に古傷の痕があり、ボサボサでショートボブがのびきった様な髪は、全体がオレンジで髪先だけ鮮やかなピンクに染まっていた。
「う、う~ん、そんなに入んねーよ、ぶっ壊れちまうっての、ふへへへ…むにゃむにゃ」
女は寝返りながらマケルの股間に自分の拳をゴン!とふり落とした。
「グガッ!」
マケルは嗚咽とも悲鳴とも言えぬ声を喉の奥から発し、自分の股間を押さえて今まで寝ていたベッドから転がり落ちた。
その音で女が目を覚まし眠そうに目を擦りながら、マケルを見て言った
「んん~、何だよ先に起きたんなら声かけてくれよ、きしょくわりーラップする兄ちゃん…」
と言いながら猫の様に延びをしながら、言い加えた。
「あーぁ…んー?何をキョトンとしてんだよ、あんな事とかこんな事一緒にしといて、昨日の事覚えてねーのかよ」
マケルは股間の痛みと昨日の事が思い出せない悔しさで、泪目になりながら返事をした
「ざざざ、残念ですっ!」
女はマケルの一言を聞き、ベッドにあぐらをかきながら
「『残念ですっ!』ってどんな角度からの返事だよ、忘れたんだったら思い出させてやるよ、責任取るんだったよなっ?ダーリン♡」
女は整った顔立ちから小悪魔的な笑みを見せて、可愛らしくウインクしてみせた。
マケルは身体中の穴と言う穴から何かが放出する様な感覚を味わいながら、そして人生で初めてせい一杯鼻の下を伸ばし
「あ、はい、責任とるっす」
もはや自分が何をして何の責任を取るのか等どうでもよい、名も知らぬ少し不良っぽいお姉さんを責任持って何かしらをどうにかします!と言った気持ちで返答した。
「あんたマケルってんだろ?アタシは『韻乃島すもも』って言うんだ『スーコ』とか呼ばれてる、よろしくね」
「スーコ」と名乗る女は枕元に置いてあったペットボトルに手を伸ばしながら言った。