トメ子17歳
元天才子役のバトルMCトメ子、色々な歯車が狂った上にその歯車が再び組み立てられたのは、代々木公園でもテレビ朝○でも無く、超巨大人工島「韻牙島」。人知れず韻と韻、スキルとスキルがぶつかり合う韻牙島全てが闘技場となる!
「ねえねえ、アタシはスーコって言うんだ!ラップ始めた切っ掛けがさ、あの番組なんだよね!アタシとあそこにしゃがんでるヒデって言う刺青野郎が育った孤児院の金回りが悪くってさ、ブッ潰れそうになった事があったんだけど、町内のMCバトルで15万円の賞金がかかってるのがあってさ!『にこにこビーフ!!』が好きだったの思い出してバトルに出場したら優勝したんだよー!」
マケルは「スーコよ、今さっきトメ子がバトルMCとして、中々凄惨な家庭崩壊やらもめ事に巻き込まれて行った話をしたのを聞いていなかったのか?…まあお前もたいがいな生き様だがな」と心底思うと、マケルは何だか表情がまた複雑になった。
「んだよマケル!いつもその面いったいどんな感情なんだよー」
と、スーコはマケルの頬をつねりながら言い、そのままトメ子に向かって続けた。
「あ、でね!その賞金15万を孤児院に寄付して以来、バトルの賞金を取りまくって孤児院も再建出来たんだ!あんたのおかげって言ってもいいよ!あんたトメ子って言うんだぁ、そう言えばMCネーム違くなかった?T.O.M.Eとかだった様な…あ、トメか」
と、スーコは憧れの眼差しを絶やさず言ったが、言われたトメ子は微妙な顔をしている。
しかし、スーコとこの元彼と言うヒデは孤児院育ちなのか、色々と皆の謎が解けて来るにつれ、何故このメンバーなのかも徐々に紐付いて来ている様に思った。
するとムゴンが口を開いた。
「その孤児院再建をかけた学園外の野良バトルでスーコと俺が闘い、俺が敗れた。スーコに財産の一部と家族の絆を奪われた、16億円相当の土地権利や建物だ。
当時3年生で学園選抜MCだった俺は学園の恥とされ学園地下200階の独居房に2年も収監されていた」
スーコは反撃する様に言った
「ああ?!うるせえでくの坊!テメーが14歳の頃のアタシを子供だと思って舐めてかかった上に、自分で『この程度のハンデが無くてはな』とかほざいてかけた賞金じゃねーか!テメーのライムは教科書に載ってそうな先駆者の真似だぜ!覚えとけ野良バトルじゃあ韻を踏むだけじゃダメなんだかんな!ラップやバトルの枠を崩さなけれゃ盛り上げた者勝ちだ、首の爆弾で死なねぇ為のお勉強だと思って憶えとけ!クソボンボンが」
スーコはトメ子に会えて上機嫌だったが、ムゴンの一言で烈火の如く噛みつき、吐き捨てる様に最後に付け加えた。
「しっかしアレだな、お前らムゴンとスネークのペアは『自分の失敗を他人のせいにする』枠だな!ったく」
そう言われムゴンは黙ってしまったが、マケルは「スーコはいったいいつから賭けバトルをしているんだ」と背筋がゾクッとした。それと同時に「やはりスーコって16歳なんだ」とも思った。




