2-12 そういう
そういう考え方もあるか。
女性らしさ。ぬーん。ぬ?
「あのー」
「何でしょう?」
「ツインテールっていう髪型、ご存じですか?」
ツインテールは女らしい髪型のはず。
「はい。分かりますよ」
……おぅ。そうなのか。
「王都住まいの、騎士階級のご令嬢の間で流行している髪型ですよね」
へ?
……流行している?
「あ、へー、りゅ、流行してるんですか」
それは想定外。
「きっと、お似合いだと思いますよ」
リードウィンドさんがにこにこしながら私に頷いてきた。
さぁ、引き下がれなくなった。
「では、えーと、あー、お願いします」
にこにこ顔のまま、はい、と頷いて、ファイアストーンさんと一緒に私の断髪式の準備を整えていく。
「長さは、このままにしますか?」
「いえ」
ぬーんぬーん。
「背中ぐらいまででお願いします」
ファイアストーンさんが鏡を持って、姿見の方の鏡越しに私の視界に入る位置に立った。
「この辺りまででよろしいですか?」
座ると、床に届きそうで届かないぐらいはある私の髪を、リードウィンドさんが持ち上げた。手に持っているところから下はずっぱりばっさり、ということなのかな。
「そこのところから下はざっぱりと、ですよね」
「そうですね」
ざ、ざっぱりぃぃ、というファイアストーンさんの震える声が聞こえてきた。ちょっと、ぷるぷるしてる。この人の笑いのツボは分からん。
「では、それでお願いしますです」
うーんと。あ。そうだ。
「髪を結ぶものがないです」
テール化するためのリボン的なものが。
「こちらでご用意しますから、大丈夫ですよ」
いつのまにか私の右斜め前の方に立っていたスプリングフィールドさんをちらりと見たら、大きく頷かれた。あ、転生者組合が、そのへんのお金も出してくれるのか。
ありがたや。
「それでは、真正面を向いて頂けますか」
「了解であります」
言われた通りに真正面を向いて、鏡の中の自分を直視していたら、リードウィンドさんが私の真後ろに立った。
そして。
「えーと」
これは言うべきなのかどうか。胸が思いっきり、首らへんに当たってるんだけれど。
首を動かさないように目線だけで周囲を見てみるけれども、私を除いたこの部屋にいる女たちは、意にも介していない。
これは、こういうものなのか?
そうなのかな。
……そうだな。
うん。
「お願いします」
多分、三回目ぐらいのお願いしますを言って、リードウィンドさんに全てを任せるべく、私は目を閉じた。




