2-4 と、いってもね
と、いってもね、とトーチライトさんが続けた。
「魔物の出現は、今日から二十日後の、四月二十七日だから、まだ時間はあるの」
二十日後。
「ぬーん、でも、二十日なんて、すぐじゃないですか?」
色々と、準備が必要なわけですよね。
「そうね。気を抜くことは、確かにできないわね」
ぬむむ。
「あのー、もし、あれでしたら、私のことは後回しにして頂いても」
「それは駄目よ」
きりっとした顔で、トーチライトさんが私を見た。
「こちらの世界に来たばかりのあなたを、そのままにしておくわけにはいきません。実際、あなただって、困るでしょう?」
それは……そうかもしれないですけど。
でも、緊急事態、ですよね?
「そういうことを、ブロッサムさんが気にしなくてもいいの。少しは図々しくなりなさい?」
いやー。うーん。
「魔物警報が出ていて街は今、静かだけれど、あなたの今後について、このことが影響を及ぼすことはないから、安心して」
むーん、うむ。
「そうですね。自分が今、できることをしますです」
「納得してくれたみたいね」
はい。
「それと、あ、そうそう。コールズくんから聞いたけど、馬車のことを気にしていたって」
あー、馬車。鐘楼広場の。
「えーと、まぁ、そうですね。いや、でも、いいです。大丈夫です」
「答えられる範囲になるけれど、できる限りの質問には答えるわよ?」
「私がどうこうしたりできるようなことでもなさそうですし、余計な好奇心は身を滅ぼしますです」
ええ。
「そう? いいのね?」
「うぃ」
多分、騎士たちの打ち合わせ、とかだろう。騎士の住む屋敷の方から来た馬車ともすれ違ったし、魔物警報が出ている時は遠くには行けないんだったら、あの馬車は鐘楼広場に向かった、と考えるのが妥当。騎士の乗る馬車が、既に到着済みの馬車と合流するんだとしたら、騎士同士の会合があったとか、そういう、予測は立つ。
これが正解かどうかは分からないけど、私が踏み込んでいいようなことでは、なさそうだ。
「じゃあ、この世界の説明に入るわね」
「あ、ちょっといいですか」
「何かしら」
「そのー、〈ステータス画面〉で作った時計があるんですけど、出してもいいですか?」




