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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード1 転生~ステータス画面~戦い
45/1018

1-45 店の前の

 店の前の路地から見上げる空は、(まばゆ)く光っている。夜の暗さを払うだけの星々が、空を埋め尽くしていた。星明かりの作る、建物の影の中に立っている私に、路地を抜けてきた風が触れる。肌寒さを感じない風だった。

 風が流れてきた先を見()ると、広場に向かって影を投げる、鐘楼の姿があった。


「帰りましょうか」

「あ、はい、そうですね」


 支払いを済ませ、お店から出てきたトーチライトさんの声で、私は我に返った。


「今日はごちそうさまでした」

「どういたしまして。はい、これ」


 小さな紙袋を、トーチライトさんは手で()げて持っていた。二つあって、そのうちの一つを私に差し出している。


「はい?」

「お土産」

「お土産?」

「稲荷寿司」


 おーぅ。


「いやいやいや、そんな、お土産まで、悪いですって」

「まだ、時間が早いし、宿舎に帰ったら、あとでお腹が空くかも知れないでしょう? ほら、私の分もあるし」


 それにもう、買っちゃったから、と付け加えて、トーチライトさんが笑った。

 いやー。もう、なんと言ったらいいのか。


「ありがとうございます」


 お礼。お礼。ひたすらお礼。それしかない。


「私がしたくて、したことだから」


 こういうこと、言えるようになりたい。頭を下げ続ける私に、気にしないで、と言ったあと、


「星、やっぱり、珍しい?」


 そう続けて、トーチライトさんが空を見上げた。


「そうですね。夜はもっと、暗いのかと思ってました」


 鐘楼広場へと続く路地には、幾つもの店が並んでいる。その店先には、ランプのようなものが()げられていて、淡く辺りを照らしていた。その淡さに重なるように、星の光が降っている。


「夜は、明かりいらずですね」

「そうねー、でも、馬車道に入ると暗くなるから、明かりを出しておきましょうか」


 む?


「これ、ちょっと、持っててくれる?」


 あ、稲荷寿司入り紙袋。


「はい、お預かりします」


 私が紙袋を受け取って自由になった両手を、トーチライトさんは何かを捧げ持つようにしながら、緩く握った。


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