1-41 お
お寿司屋の、それも個室って。
「あのー、お高いんじゃないですか」
「大丈夫よ」
さっき、おまかせコースというのを頼んでましたよね?
「気にしなくていいから」
うーむ、まぁ、はい。とりあえず、おしぼりで手を拭きますけど。
おぅ、ちゃんと、あったかい。
「失礼致します」
「どうぞ」
着物姿の、女中さん、でいいんだろうか。多分、コボルドさんだと思うんだけど。直立歩行のヨークシャテリアな感じ。なんか、かわいい。青い着物が似合ってる。
「灯りをお持ちしました」
楚々とした所作で部屋の隅にある小さなテーブルに、女中さんが提灯っぽいものを置いた。
「お点けしますね」
あれが、魔道具というやつですか。
おー、オレンジ色の光がゆったりと、部屋の中を満たしていく。
「ありがとう」
お向かいに座っているトーチライトさんが女中さんにお礼を言ったので、私もぺこりと頭を下げた。
「いえ。何か、ご入用のものはございますか?」
「今はいいわ」
「はい。それでは、お食事をお運びしますので、少々、お待ちくださいませ」
そう言って、女中さんはそっと、障子風の戸を閉めて去っていった。
「今の方は、コボルドさん、でいいんですよね?」
「ええ」
着物姿のコボルドさん。
建物は和風建築だったし、目の前にはお茶の入ったお湯呑みが。
あ、茶柱立ってる。
「お酒がいいなら、頼むけど?」
お湯呑みをじっと見ていた私に気を遣ってくれたのか、トーチライトさんからとんでもない提案が。
「いえいえいえ。私、十九歳ですし。未成年ですから」
トーチライトさんが不思議そうな顔をしてから、ああ、と納得した様子に変わった。
「あなたの前世の世界では、お酒は二十歳になってから、なんだったっけ」
「そうです」
この世界では違うんですか。
「成人年齢は、十六歳ね」
にょおぅ。




