1-40 うーむ
うーむ。
・魔物というのがいて、これはこの世界に住む人々共通の脅威である
・転生者が持つ固有技能は、魔物と戦うための切り札になる
ここまでは分かる。
・転生者の尽力の独占が起きないよう、相互監視のため、この街に騎士さんたちを各国が派遣している
ここがいまいち、良く分からない。共通の脅威である魔物と、直接的であれ、間接的であれ戦うための転生者の尽力という手段を、独占しようとするとか、意味が分からない。
「あのー、転生者の尽力の独占、というのが、どうにも良く分からないんですけれども。そういうことが、過去に起きたんですか?」
歩き始めたトーチライトさんが、少し間を置いてから、ないわよ、と言った。
ぬーん。
「でも、これからもないとは言い切れないじゃない?」
「その、利益独占的なことの予防のための、相互監視ということですか?」
「そんなところ……かしらね」
なんか、まだ、こう、情報が足りていない気がする。
そういうことが起きることを予感させる、何かがあるというのか。
「ブロッサムさんは、どんなことを知りたい?」
む?
「知りたいこと、ですか?」
そっすねー……。
「予防が必要な理由、でしょうか。何か理由があるから、そうしてるんですよね?」
下り坂が終わり、私たちは馬車道に出た。湖の上を吹き渡って届いてくる風は、少し冷たい。
「冷えてきたわね。急ぎましょうか」
そう言って私の方を見たトーチライトさんの顔は、とても穏やかだった。
「話の続きは、腰を落ち着けられるところでしましょう。今は、あなたに、この世界をただ、真っ直ぐ見て欲しいのよ」
真っ直ぐ。
「ええ」
それは、余計な先入観のないうちに、ということですか。
という言葉を飲み込んで、トーチライトさんが言うように、世界を真っ直ぐ、無心に眺めてみた。
窓から見た時と同じように、世界はきれいだったけど、それでも、どこか、寂しそうにも思えたのは、馬車道沿いの桜の花が風で散る様子を、私が儚げに感じたから、かも知れない。




