1-33 女は
女は、大変だ。
説明のためにグリーンリーフさんが机の上に広げていたものを、手早く片付けていくのを眺めながら、自分がこの先、経験しなければならないことを考えて、うへー、と思った。
女がここまで、面倒くさい生き物だったとは。
「本日、予定していたブロッサムさんへのご説明は、以上になります。お疲れ様でした」
お疲れ様でしたです。
「何か、お話させて頂いたことで、ご不明な点はありますか?」
ぬーん。
これから経験することなわけだから、ご不明な点だらけではあるけれど。言葉と図で説明されても、なんというか、実感が沸かない。
でも、まぁ。
「いえ、まぁ、たくさん、資料も頂きましたし、どうにか。はい」
一ヶ月後には、こんな簡単なことにどうして戦々恐々としていたのか、と自分を面白がる未来があるはずだ。
というか、そうであって欲しい。
「大丈夫です」
「そうですか」
グリーンリーフさんが立ち上がった。
「それでは、これから、宿舎の方にご案内致しますね」
私も立ち上がろう。よいせっと。
宿舎ですか。
「はい。お夕食のお時間まで、あと、一時間ほどになるかと思うのですが、それまで、お部屋の方で、ごゆっくりなさっていてください」
お疲れではありませんか、とグリーンリーフさんに言われて、肩がものすごく凝ってるのに気づいた。
「若干。でも、皆さんの方が」
色々と準備とか、大変だったのでは。
「お仕事ですから」
そう言って、にっこりグリーンリーフさんが笑った。なんだろう、嫌な言い方とかでは全然なくて、こちらを安心させるような言い方というのか。
「ここを出ましょう。ご案内します」
模造紙に近い紙質の手提げ袋に、『転生者のための世界知識』その他いろいろな手書き資料を入れていく。
忘れものはないかな。
よし。
「準備できましたです」
ドアを押さえて待ってくれていたグリーンリーフさんに頭を下げつつ、私は会議室を出た。




