1-32 では、あるけれど
では、あるけれど。
「あのー」
「はい?」
うーむ。
「どうして、転生者に対して、そんなに手厚く、ご支援を頂けるんでしょうか」
言葉に詰まったのか、グリーンリーフさんが黙り込んだ時間は、二十一秒もあった。
「そうですね……そのお話については、この世界の情勢のことをご説明する時まで、お待ち頂けませんか?」
ふむ。
「こう、複雑なあれこれがぐろぐろに絡み合ってる感じですか」
ものすごく複雑、という意味で、ぐろぐろ、という言葉を使ってみた。
「順を追って説明していく必要があるお話なので」
なるほど。
「分かりましたです」
グリーンリーフさんが、なんとなく、ほっとした、ように見えた。
「それでは、次の資料をご覧ください」
次の資料……あー、これか。
「ブロッサムさんは、元々は男性であったというご記憶をお持ちなんですよね?」
「記憶というか……上手く説明できないんですが、女じゃなかったよなー、私、という、実感みたいなものが」
「そうですか。でしたら、これから女性として生活していく上で、必要な知識をですね、お話させて頂こうと思っているんですが、よろしいですか?」
あー、まぁ、むーん。
「えー、あ、私と同じような境遇の方、というのは、どのような感じで、今、いらっしゃるとか、そういうお話を聞かせて頂けたりとかは」
ええ、構いませんよ、と言って、グリーンリーフさんが頷いた。
「お名前については伏せさせて頂きますが、そうですね、こちらの世界の男性と結婚してお子さんが生まれた方もいらっしゃいますね」
……おぅ。
「お子さん」
「はい」
……子供、産めるのか。
「他にも、何か?」
えーと、んーと。
「そういう方は、多いんですか?」
「いえ、元々は男性だった、というご主張をされる転生者の方は、それほど多くはありませんので、私の知る限りでは、お一人だけです」
あ、お一人。
「他には?」
なんか、攻め込まれているような気がする。
「少し、その女性の生活のお話からは、ずれる、と思うんですけど、えーと、転生者と、こちらの世界の人との間に生まれたお子さんに、固有技能が引き継がれたりとかは」
あるんでしょうか。
「そういった事例についての報告は、ありませんね。固有技能は個々の転生者の方、特有のもので、一代限りと言われています」
一代限り。ということは。
「同じような固有技能を持ってる人は、いないということですか」
「はい。複数、固有技能をお持ちの方もいらっしゃいますが、そういった方の固有技能についても、過去に存在した転生者の方がお持ちだったものとの重複は、今のところはない、という報告があります」
「なるほど」
うーむ、今のところ、か。
あと、複数持ちの人は、普通にいるのか。
「転生者の方の、この世界におけるお立場のお話にもつながりますから、詳しいご説明は、明日、させて頂きますね」
この世界の情勢のお話、というやつですか。
「はい」
むーん。
「もうよろしいですか?」
あ、はい。
「それでは、女性としての生活について、なのですが――」
そして、小学校高学年の時に男女に分かれてやるやつの、女の方の話が始まった。




