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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
150/1017

2-82 今日は、どう

「今日は、どうだった?」

「謎の作業をさせられました」

「そっか。謎の作業か」


 ゆっくり歩くレインツリーさんの表情は、後ろからは見えないけれど、謎の作業、という言い方に、なんだか、懐かしそうな雰囲気があった。


「もしかして、有名なんですか? あの、謎の作業」

「そうねー。まずは、思い通りに手先を動かせるようになりなさい、ということかな」


 ふーむ。


「あのー、質問なのですが」

「何?」

「細工師って、魔道具を作ったりもするんですよね?」

「そうだね」

「具体的に、どういったお仕事内容になるんでしょうか」

「あー、そういう方向の質問ね」


 そうねー、とレインツリーさんが言った。


「細工師の仕事は、魔力の流れる道筋を作ること。その道筋に魔力を流すための仕掛けを作る、仕上げの作業は、また、別の担当になるんだけどね」


 ふむふむ。細工師は、魔力の流れる道筋を担当する、と。


「詳しいことはよく知らないですけど、電気の回路とかそういう感じのやつですか」

「そうそう。電気の回路は私も詳しくは分からないけど、なんか、そんな雰囲気だね」


 銀のペンダントの表面に刻んである模様とか、ペンダントの形とかにも、そういう役割がある、ということ……なのかな。


「形とか、模様とか、そういうのが、道筋を作るんですか?」

「お、鋭いね。その考え方であってるよ」


 褒められた。

 むん? ということは。


「ルーペさんが当代随一、というのは、手先の技がすごい、ということだけではないんですね?」

「うん。リカルドは、消費する魔力に無駄が出ない道筋を作ることにかけては、天才だね」


 レインツリーさんが天才という言葉を使いますか。


「もうさー、私の方から、こんな感じっていう、意匠のアイディアを出すじゃない?」


 いしょう。


「あー、デザインのこと」


 デザイン。


「うん。そうしたら、こうした方が無駄がない、という逆提案が来るんだけど、言い方が昔は生意気でさー。ほんとに」


 でもね、とレインツリーさんが続けた。


「あー、こいつ、一生懸命なんだなって思ってね。少しでもいいものを作りたい。妥協したくない。できることは、全部やりたい。そういう考え方をするやつなんだよ、リカルド・ルーペは」


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