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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
149/1017

2-81 いつ頃

 いつ頃から暑くなるんだろう。


「日本と同じ、じゃないよな。さすがに」


 水路沿いの(ひら)けた道を、ぼんやりしながら歩いていると、ベンチに座っている人の姿がふと、目に入った。


「ヨリちゃーん」


 レインツリーさんが手を振ってる。


「あ、どうも」

「どしたの? なんか、心ここにあらずな感じだけど」

「ほへ?」

「ごまかさないで、おばちゃんに言ってごらんよ」

「いえ。あのー」


 むーん。


「もしかしたら、なんですけど」

「うんうん」

「私、夕ご飯にお誘い頂いていたのかも」


 おっさんが言った、晩飯は、というのは、もしかしたらそういう意味だった可能性が。

 奥さんが、あら、もう帰るの、と言ったのも、そのあとの、ぬーん……。


「私、ものすごくひどいことをしたかも知れません」


 奥さんがお昼ご飯の時、出かけたのも、夕食のための買い出しだったりとか。


「引き留められたリはしなかったんでしょ?」

「はい」

「じゃあ、いいよ。あの二人はそういうの、ちゃんと口に出して言えない子たちだから。それは、向こうの方が大人なんだから、ヨリちゃんは何も悪くない」


 だからね、とレインツリーさんが言った。


「そんな、泣きそうな顔はしなくていいんだよ」


 立ち止まって、深呼吸をしてみた。冷たい空気が肺に流れ込んでくるのが、心地よかった。


「ご飯、どこかに食べに行く? おごるよ?」

「いえ、食堂で食べたい気分なので」

「そっか。じゃ、帰ろうか」


 いつものように私の真横には並ばず、少し前に出て、レインツリーさんが鐘楼広場に続く道へと歩いていく。その後ろをついていきながら、私は振り返って、おっさんと奥さんのいるお店の方に頭を下げた。


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