2-40 付与
「付与術師って、私のファンタジー知識ですと、魔法の武器とかを作ったりするような魔法使い、というイメージなのですが」
「あー……うん。そう。武器というより、魔道具全般を作る人」
おぅ、全般。
ぬ?
「あ、それで、ルーペさんとお知り合いなんですか。お仕事仲間的な」
「そーねー」
ほひー。
「いや、まぁ、いいよ。この話は。なんか、分不相応に持ち上げられている感じがあってさ。付与魔術の勉強はしたけど、私が頑張ったのは基礎魔術だし。先人の優れた知恵に、触れられる立場にいただけというか」
先人の優れた知恵。
「最初の転生者。私の師匠。その人が、いろんな発見をしててさ。その発見の力を借りただけなんだ」
最初の転生者。ぬむむ。
「あのー、最初の転生者の方って、もしかして、魔導王さんですか?」
「うん」
トーチライトさんから習った、グランスローン王国の建国者。後世に自分の名前を伝えることを良しとはせず、歴史の上ではただ、魔導王と呼ばれている人。別名、第一の転生者。
うん、覚えてる。大丈夫。
「レインツリーさん、魔導王さんとお知り合いなんですか」
「それだけ、長生きしちゃってるってことかな」
あー、うーむ。
「名前は、私、知らないからね。何度も聞いたけど、口を割らなかった」
「そんな、尋問じゃないんですから」
あ、でも。
「では、なんとお呼びしてたんですか?」
「えー。聞く?」
「聞きます」
「いや、普通に、先生、とかだよ。みんなから先生って言われてた」
どんな人だったんです?
「ぼーっとしてる感じの人。でも、いつのまにか、仕事が全部片付いてるみたいな。なになにさん、向こうの書棚に今、あなたに必要な資料を置いておいたから、なになにくん、そこの机の引き出しに君のその作業の助けになりそうな資料を用意しておいたから」
なんだこの人って、初対面の時に思ったよ、とレインツリーさんが呆れ果てたような顔で言ったあと。
懐かしそうに笑った。
「周りの人たちを良く見ていらっしゃる方だったんですかね?」
「うん。誰が何をしているのか、全部、把握してたと思う」
「ひょほー、すごいですね」




