2-37 名前が
名前が重要ではないのだとしたら、私はいったい、この世界に何で識別されているのか。
「着替えの時に、技能要素の中身は見たはず。認証鍵のところに何が書いてあった?」
思い出せ、私。
「情報図書館という言葉は覚えてる。意味が分からなかったから、そういうものがあるのかぐらいにしか、思わなかった」
……駄目だ。窓を見て、目を開いた時に感じた部屋の明るさは、外から差し込んでくる陽射しだったんだな、というようなことを考えたのは覚えてるのに。
「名称、ヨリコ・ブロッサムに対する、というところが、多分、別の表現になってた……そうか」
私には読めない記号が書いてあった。その記号は、今なら分かる、この世界の文字だ。でも、日本語として認識できない……暗号、とも違うけど。数字の羅列に近いのかな。
「世界が個人を識別するための暗号めいたものがあって、それが名前に置き換わった」
私が自分の名字を決めたあとに。
つまり、技能要素の中身が書き換わった。こう考えると、しっくりくる。
「うーん」
だから何、ではあるけど。
まぁ、個人を識別するための暗号というか、記号というか、そういうのがある、という話か。前世の世界にも、なんとか番号というのがあったし。
「技能要素の中身が書き換わる、ということの方が問題か」
それとも、これもまた、そういうものなのか。
・技能要素とは、そもそも、何なのか
夕ご飯の時にでも、レインツリーさんとトーチライトさんに聞いてみようかな。




