9-116 素晴らしい //
「素晴らしい。その通りです」
口から出てた。
「作り出そうとしている効果を決めるためのものである、力の器に」
丁寧に言葉を切ってお話してくださるこの人は、やっぱり、先生なんだな、と思う。
「魔力を通すことで響く音を、手探りで音声化し、作り出したものが、呪文です。鉄葉戦争の頃に、主に人族の手で発展してきたようですが、エルフやドワーフたちの本気の魔法の前では、当時はたいした成果を挙げることはなかったそうです」
なんとなくしか分からないけど。
「はい」
頷こう。
「ただ、転生者が現れてから、その状況は変わりました。僕自身も含めて、ということになりますが、その音の響きの音声化に、転生者は秀でていました」
音の響きの記憶、みたいなものがある、ということか。でも、ウミさんたちの名前を聞いても、私は何も思わなかった。
「魔導の大幅な拡張を行ったのは、魔導王です。あいつが全ての固有技能を言っていない可能性、というのも無論、あるわけで、日本語にアクセスする手段を持っていたのかもしれない。これは、本当に分かりません。有用なものを隠すような奴ではないので、もしそうであるならば、言わない方が良い、と判断したのでしょう。その上で、僕を日本語の共同研究者に誘った、ということになります」
情報の洪水が。
・魔導に使われる呪文は、日本語の可能性が高い
・転生者は、いまいち分かっていないけど、呪文の輪郭をはっきりさせる能力が高い
・魔導の大幅な拡張を成し遂げたのは、魔導王さん……だから、魔導王なのか?
・もしかして
これはね、とレイヴンさんが続けた。
「ブロッサムさんを介した、僕に対するメッセージでもあるような気がします。竜神の名前は、日本語ですね?」
この人はもう、色々なことが見え始めているんだな。
さすがだ。さすが、グースベリーさんの先生。
「そうです」
そして多分。
魔導王の、親友。




