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銀のペンダント  作者: 上村文処
エビソード9
1010/1018

9-114 少し、長めの間

 少し、長めの()を置いてから、あいつは、とレイヴンさんが言った。


「確かに、そういうことをします。回りくどいところがある奴だったんでね」


 レイヴンさんが続けた。


「ただ無意味なこともしません。加えて、理由を考えるプロセスを最も重視する。さっさと答えを教えてくれよ、と思う側からすると。非常に」


 レイヴンさんが、笑った。


苛々(いらいら)させられましたね」


 なんか。色々と、ご苦労があったのだろう、というのが、今の言い方だけで良く分かるけど。でも、なんとなく、楽しかったのだろうな、という雰囲気も伝わってくる。


「いやいや、笑いごとではないですよ」


 思わず、にこにこしてしまっていた。


「ですよね。すいません」


 へこらねば。


「頭を下げたりする必要はないです。まあ、楽しかったですよ」


 今でもね。そう言って、レイヴンさんが笑みを残したまま続けた。


「あいつが、面白いことが分かりそうだ、と言いながら、検証結果がメモしてある大量の紙の束を抱えて、僕の部屋に入ってくるんじゃないか、と思うことがあります」


 そんな人だったのか。魔導王さん。ちょっと、イメージが変わった。


「そのー、わりと、自由な感じの」

「ええ。最初の頃は、ひどかったですね。幼児か、と思いました」


 レインツリーさんには聞かせられない内容だ。


「まあ、死んだ人間のことを話しても仕方がないですね。ブロッサムさんの言う通り、魔導王が情報図書館に書き込みを残しているのは……もう、確認されたんですよね?」


 う。この人もやっぱり、鋭い人だ。


「……はい」


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