9-114 少し、長めの間
少し、長めの間を置いてから、あいつは、とレイヴンさんが言った。
「確かに、そういうことをします。回りくどいところがある奴だったんでね」
レイヴンさんが続けた。
「ただ無意味なこともしません。加えて、理由を考えるプロセスを最も重視する。さっさと答えを教えてくれよ、と思う側からすると。非常に」
レイヴンさんが、笑った。
「苛々させられましたね」
なんか。色々と、ご苦労があったのだろう、というのが、今の言い方だけで良く分かるけど。でも、なんとなく、楽しかったのだろうな、という雰囲気も伝わってくる。
「いやいや、笑いごとではないですよ」
思わず、にこにこしてしまっていた。
「ですよね。すいません」
へこらねば。
「頭を下げたりする必要はないです。まあ、楽しかったですよ」
今でもね。そう言って、レイヴンさんが笑みを残したまま続けた。
「あいつが、面白いことが分かりそうだ、と言いながら、検証結果がメモしてある大量の紙の束を抱えて、僕の部屋に入ってくるんじゃないか、と思うことがあります」
そんな人だったのか。魔導王さん。ちょっと、イメージが変わった。
「そのー、わりと、自由な感じの」
「ええ。最初の頃は、ひどかったですね。幼児か、と思いました」
レインツリーさんには聞かせられない内容だ。
「まあ、死んだ人間のことを話しても仕方がないですね。ブロッサムさんの言う通り、魔導王が情報図書館に書き込みを残しているのは……もう、確認されたんですよね?」
う。この人もやっぱり、鋭い人だ。
「……はい」




