第八幕 鍛錬
目隠しをされて連れてこられたのは如何にも和風な屋敷だった。
「はい、じゃあ康くんきみはまず、濡れた手でこのペンを使ってね」
渡されたのはあからさまに電流が流れるオーラを放ちまくったボールペンだった。
「いやいや、これ絶対感電するだろ!」
「じゃあ残りの三人は、ご飯でも食べようか」
華麗にスル―された。
しかも、
「彼はあれに耐えてからね」
とかぬかしやがる。
俺はやはり押さずに待っていたのだが、皆が食っている飯がとても美味そうだったので、仕方なく押すことにした。
バチッ
やばい音と共に俺の右手に電流が流れた。
しかし不思議と痛みはなく、むしろ少し気持ちがいいくらいだった。
それから出された飯は定番な感じの日本の家庭料理で、とても美味かった。
昼飯の後に開口一番博士が言ったのは、
「じゃあ毎日そのビリビリボールペン10セット(笑)」
だった。
その笑いに殺意すら沸いたが、ここは抑えることにした。
何日ほど経っただろうか。
修業は思っていたよりも努力と言うより通院という感じではあったが、博士いわく
「順調に進行した」
らしい。
その内容と言うのが、検査、電流の他に、体幹トレーニングと、色々な電解質の水溶液を飲むというものだった。
「じゃあそろそろ森に行こうか」
博士が急にそう言ってきた。
「そういえばさ、今何日ぐらいたってんの?」
そう尋ねると、
「まだ3日しかたっていないよ??」
と言われた。
なんだか時間の感覚がおかしくなっているのかもしれないなと思った。