第二幕 忍び寄る影
三年前、ある晴れた日のことだった。
私は自分の持つ研究施設で町の伝承にある”とある化け物”の研究をしていた。
「フフッ、フハッハッハ。出来た。出来たぞ。最っ高の化け物が」
「主任、G308の様子が変です」
「どうした!?何があった?…!!」
生まれたての化け物の赤子を見ていると、どういうことか化け物が人間の赤子の様に成っていくでは無いか。
鰭の様だった部分が手になり、鱗のような皮膚もちゃんと人間の皮膚へと変化していく。
「何だこいつ……ウグッ」
斬撃が研究員諸共所内の柱を切り裂く。
「たっ助けてっ グハッ」
隣のフロアから、爆音が響く。
我が所の研究員たちが次々とやられていく。
「エマージェンシー!!所内に残っているものは全員退避!!」
しかし時すでに遅く、その化け物によって研究所とスタッフは灰と化してしまった。
私も命からがら逃げ出したが、瀕死の重傷を負った。
その一件で化け物には逃げられ、俺は全財産と左足を失った。
私は一応お偉方との繋がりもあり、公にはならなかった。
だが問題はそこじゃない。近くの病院に勤めている友人に聞いた話に依れば、あの化け物はヒトの姿で神力を使い、神の居なくなっていた神社に祭り上げられているそうではないか。
だがあいつは元々伝承の悪魔。
この街にも何らかの悪影響を及ぼすに違いない。
何とかあいつを止めなくては。